2001年より制作を開始した倉敷市帯江にある不洗観音寺客殿の襖絵。2003年5月に第一期制作の杉板戸「遊犬図」を納め、2007年5月には当初予定の全ての襖絵を完成しました。描く題材、材料、描き方、表具までそれぞれにこだわった制作を行い、完成の姿は、2007年5月1日から5日まで一般公開されました。そのおり、全ての襖、板戸、取り組みの姿などを納めたカタログも制作されました。
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遊犬図
板戸一枚は、保存性も考えてあえて幅30センチ程度の杉板を三枚張り合わせて作っています。
板表面には薄くドーサ引きを全体にしたあと、絵の具をつける部分には黄土の下塗りをして定着を安定化させました。
安産祈願で有名なお寺と言うこともあり、遊ぶ子犬をモチーフとしました。また、人間がまず心を動かす対象として動物と言う存在を象徴しています。現代を象徴する姿として洋犬を加えています。
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鶴亀図
遊犬図の裏です。客殿襖絵の全体構成として、入り口から考えて、動物>植物>鉱物としました。
生物としての鶴と亀であることはもちろん、祝福をあたえる目出度い吉祥として描きました。
あえて中央二枚を描かず祝福とともに出ていくことを象徴しています。
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入り口から板戸、花鳥の描かれた襖を開けて見たところです。正面奥に見えている扇面貼り混ぜの襖は、四季の風物、干支がテーマとなっています。
実際の方位に干支を合わせて配置しており、同時に12ヶ月、四季の風物を右回りに廃してあります。
背景はプラチナ箔を用いました。
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四季花木図
遊犬図を開くと金箔を背景とした四季を象徴する花と木が迎えてくれます。
薄い金箔を何度も張り重ねて背景面をつくりました。長期に渡る絵の具の定着、安定を考慮して絵の具の乗る面には金箔を貼らないようにしています。
天然絵の具をふんだんに使っています。純粋に色、素材の美しさが伝わることを目指しています。
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瀬戸内春望図を開き、四季花木図の裏面を見る。
金地背景に干支と四季風物、左上より「子」からはじまります。
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四季・十二支扇形絵
「水仙」「子」「椿」「牛」「桜」「虎」「牡丹」「太陽」「僧」「花菖蒲」「兎」「龍」「あじさい」「巳」
金箔背景
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扇形絵は両面対峙する形で描かれています。 |
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四季・十二支扇形絵
「百合」「馬」「散華」「泰山木」「羊」「朝顔」「猿」「秋明菊」「月」「酉」「桔梗」「山茶花」「犬」「南天」「亥」「鶴」
プラチナ箔背景
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瀬戸内春望図
大濱紙を使って描いています。
不洗観音寺の立地が帯江という地名であることからわかるように、かってこの地は眼前に入り江が広がっていたにちがいありません。
その姿を実際に見える遠景を島影に見立て、眼下に広がる田園地帯を海の姿として描いています。
岬や入り江の様子、松など、鷲羽山などをモデルとして瀬戸内の典型的な風景としました。
<瀬戸内春望図右面を開いて扇形絵を見る
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瀬戸内春望図(右面)
裏面はプラチナ箔背景:四季・十二支扇形絵
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瀬戸内春望図(左面)
裏面は雪中竹林図
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瀬戸内春望図 全景 |
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雪中竹林図
客殿一番奥の部屋は水墨による雪降る竹林図です。
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瀬戸内春望図を中心として客殿入り口方面をみたおりの構成
ちなみに、一番左面の裏面が雪中竹林図である
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入り口から奥に向かっての構成 |
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