3/1//2007 吉備雑感日記  
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記録する道具

何事も記録しておこうとするからには、ことの大小はさておき、書き手にとってそれなりの意味がどこかに認められるからに違いない。備忘録はもちろんのこと、他人にとってみれば他愛のないことがらであっても、徒然なるがままに書き留めようとする行為は、たとえその書いている内容自体にさしたる意味が無かったとしても、その書いてみようとする行為自体に何らかの意味を本人が見つけているからのように思う。

こうしたネット上の記録もまたその一つの現れかもわからない。

一方、いわゆる古い筆記用具と呼ばれるモノたちはどうか?。筆の進みの早さ、墨色のかすれ具合、はたまた紙と鉛筆のなまめかしい関係。そこに記録され、残されているのは、単なる内容の云々を問うことを超えて、時としてもっと生身の、書き手の肉体の記憶といったものまで留め、記録した本人の全く予期せぬ何かを伝えてしまっていることもあるように思う。


もちろんそれが自分自身の日記帳であったとしても。
 

不洗観音寺客殿襖絵「瀬戸内春望図」制作の様子。ひたすら描く!
■ 不洗観音寺客殿襖絵「瀬戸内春望図」制作の様子。ひたすら描く!
 

■ 学生時代、芸術心理学なんて科目もあって、子供の描いた絵の中に何かを見つけるなんてテーマは大変興味深かったことを思い出します。

使っている色、ストローク、その速度、動き、構成。それなりの症例、データから導き出されたと思われる子供の心理・関係の対応付けには説得力が感じられ、まさしく!と感じたものでした。


「乗り板」の上に乗って描きます。
■ 「乗り板」の上に乗って描きます。
 

■ 長年こうして古いメディアと呼ばれるような道具を使って絵を描く中で、何を描いているかといった図像学的な意味はさておき、筆とか墨、岩絵の具、和紙、絹といった描くのに用いている材料、道具を使う作業自体の中にある種の価値観を強く感じるようになりました。

それぞれの作業で深く関係する「水の性質」。
この「水」を使う作業というところになんらかの普遍性に繋がる要素を見つけているのです。


客殿のコーナーを飾ることになります。2007年5月1日から5日まで客殿が一般公開される予定です。
■ 客殿のコーナーを飾ることになります。
2007年5月1日から5日まで客殿が一般公開される予定です。
 

■ パソコン、そしてネットワーク、今のメディアの有用性を感じることはもちろんの事ですが、その理解が一般化した今だからこそ、古いと思われているメディアの持つ新たな意味の発見もこれからどんどんされるとよいな〜と思う今日この頃です。


 


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