SONY CDP22ES 修理記録
2005/12/05
CDP222ES
かなり古い物ですがSONYのESシリーズのCDプレーヤーです。このシリーズは音質重視設計の思想で作られた
ものだと記憶しています。ただしESの名を冠しているとはいえ一番下のクラスでした。要するに安物.......とい
うことです。詳しくはこちらをどうぞ
WEBで仕様を調べてみると2倍オーバーサンプリングとなっています。最近ノーオーバーサンプリングが巷では持てはや
されているのでちょっとその音も聞いてみたいと思っていたので、2倍ぐらいならそれに近い音質ではないかと。また、
デジタルアウトの付いているデコーダーを積んでいるので上手くいくとトランスポートに改造もできそうです。
とはいえこのプレーヤー再生不能でジャンク扱いの¥200ーでした。いくら安いからといって再生できないのであれば買
はないのが普通ですが。.......?
中を剥ぐって調べてみるとディスクトレイの動きが悪くCDを取り出しできないだけで他はすこぶる調子が良い状態だった
ので少々手を入れて整備してやれば使えそうです。
CDドライブユニット
悪いところはドライブと分かっているのでさっそくこのユニットを外してみることにしました。
ドライブユニットはネジ3本を緩めると簡単に外すことができます。シャーシとドライブユニットはアース線で接続してい
るのでこれも外します。コネクターが何本も接続されていますが、芯線の本数がどれも違っているので組み立てるときコネクタ
を間違えて迷うことはありません。私のように自分で直そうなどと思うものにとっては好都合です。
DACとフィルター
バーブラウンのDACが使われています。16BITの今となってはちょっと古いものです。実はこのDACを使ってノー
オーバサンプリングのDACを作ろうと思い壊れたCDプレーヤー探していました。運良くジャンクで出ていたので購入した
しだいです。
ケミコンの両側に見える黒い塊がフィルタのようですがどのような回路になっているのか分かりません。2倍のオーバーサン
プリングでは遮断特性を重視しなければならず、高次のフィルタを実現するためにこのようにユニットにすると特性を実現しや
すいのでしょう。
フィルターとDAC周辺のコンデンサーはELNAのデュオレックスを使っています。ほかにもニチコンのミューズを使ってい
て巷でオーディオ用として販売されている物を多用し音質に気を使っているのが見受けられます。
ドライブユニット単体
ここまでは簡単に外すことができました。どこが悪いのか調べたとき、上の蓋を外してCDのトレイに手を掛けて押してやると
ガリガリと不信な音を立ててトレイが動くので、間違いなくメカの部分に不調があるのは明らかです。
正常な物と比べた分けではないのでどこが悪いのか細かいところまでは分かりません。ドライブユニット単体にして
手で押してみても異常は感じられません。
ディスクトレイを外す
このトレイを外すのに苦労しました。トレイをスライドさせても外すことができません。目を凝らして止めネジはないか探して
みましたが見当たりません。後から思えば簡単なことでしたが2〜3日粘りました。ベース部分に4個の留め金があり上側に外れ
ないようになっています。この留め金を指で押して広げてやると上側に外すことができます。
下側の写真はトレイの裏側です。稼動部分は鉄板でできておりトレイを動かす機構の一部としてギザギザの付いたレールが付い
ています。この部分が本体側にあるギアと噛み合って動くようになっています。
トレイモーターと駆動ギア
モーターとギアはゴムのベルトで繋がっています。このように古い機種では普通ゴムが伸びて滑っていることが多いので、てっきり
ゴムベルトを取り替えれば修理できるだろうと注文しました。因みに¥200ーだったと思います。
さっそく取り寄せたベルトが来たので修理完了の運びでしたが、トレイは出るようになり使えるようになったものの、変
な音がするのは変わりありません。いやな予感です、また調子が悪くなりそう。
原因判明
しばらく使っていましたが案の定トレイが出なくなりました。仕方なくトレイを分解して観察してみると、駆動部分のレールが
プラスチックでできています、この部分が破損していました。
このプラスチックのレールはベースの鉄と一体整形してあるようで力が加わると剥がれてしまい構造的に弱い部分のようです。
たぶんほかの筐体でも同様の故障が起きているのではなかろうかと想像できます。最初は瞬間接着剤で固定し修理しましたがしばらくす
ると剥がれてしまいました。接着剤で修理したぐらいでは強度が十分ではないようです。
パテで補強する
レール部分を補強するには何か添える物が必要です。ホームセンターに行けばエポキシパテを購入することができます。粘度のように
なった主材と硬化材が別々に詰められています。これを粘度遊びをするようにコネて混ぜ合わせて使います。
トレイの部品と当たらないようにパテを詰めて補強します。そうしないと今度は全くトレイが出なくなってしまいます。反対側はギアが
あたる駆動部分なので補強することはできません。
パテが固まらない間に組み立てて動作確認しておきます。全く問題なく動作するようになりました。
さて、このプレーヤーの2倍のオーバーサンプリングとバーブラウンのDACの音質はどうでしょうか?この当時はオーバーサンプリン
グの技術も発展していなく2〜4倍がせいぜいったと思います。そのため出力に高調波が出ないようにするためアナログフィルターの遮
断特性を急激にしていましたが、これによる音質への影響が大きく次第にデジタルフィルタは高い倍数になりアナログフィルターは音質の
良い遮断特性の緩やかな物になっていったようです。最近のDAC−ICは8倍ぐらいのオーバーサンプリングに対応できるようになって
おりCDプレーヤーは安いものでも4倍以上の物がほとんどです。
アマチュアではこのオーバーサンプリングを嫌ってオーバーサンプリングしないDACを自作したりして楽しんでいるとも聞きます。
このCDPはなかなか元気な音がしています。我が家の自作DACもバーブラウンのDACではありますがそちらの方がおとなしく感じ
ます。情報量はさすがに自作DACの方が勝っているようです。