アインシュタイン方程式とその特徴

一般相対性理論の基本方程式は

ニュートン万有引力の場宇宙の物質+宇宙のエネルギー

アインシュタインはニュートン万有引力の場を次のように書き換えた
ニュートン万有引力の場→時空の曲率

時空の曲率= 目に見える物質+目に見えない物質+ 宇宙全体のエネルギー+暗黒エネルギー

以下が一般相対性理論の基本方程式

Gμν+Λgμν=κTμν

と表され、アインシュタイン方程式と呼ばれる。ここで Gμν はアインシュタインテ ンソル、gμν は計量テンソル、Λ は宇宙項、 (後にこの宇宙項をハッブルの宇宙観測により宇宙が膨張していることを発見し放棄した) Tμν はエネルギー・運動量テンソルである。 しかし、最近の宇宙観測で宇宙が急速に拡大膨張しているいることが観測されたことにより、 右辺の暗黒のエネルギーがこれに相当するのではないかといわれ別の形で宇宙項が復活した。

目に見えない物質とは
銀河の回転スピード(回転速度は目に見える物質だけで計算すると説明がつかない)や遠くにある星 (クエーサー) {クエーサーとは準恒星と言われ宇宙が生まれた約120〜100億年前に生まれた星のことで銀河の元になった物かも知れない。 その位遠くにあるのだから太陽と同じ恒星であるはずは無く銀河の中真にあるとされる大質量のブラックホールかもしれない} などが中間にある銀河などで相対論的に曲がって地球にくる光の観測により目に見える (宇宙のエネルギー密度の約5%程度)物質の5倍はあるとされている。残りの70%は宇宙全体のエネルギー+暗黒エネルギーとなる (殆どが暗黒エネルギー)

暗黒エネルギー
正体は分かっていないが真空のエネルギーかもしれないこのエネルギーは宇宙を加速膨張させている。

般相対性理論の検証
1915年11月のある日、水星の近日点(水星は太陽の周りを楕円軌道で回っているがニュートンの重力理論では100年で43 秒角ずれる[近日点とは太陽にいちばん近ずく点])一般相対性理論で誤差を計算したところぴたりと一致した。それにより 般相対性理論が正しい事を検証できた。あまりの喜びで心臓が高鳴った「喜びと興奮で何日も我を失った」と同僚に述べたと言われ ている。
また、物理学者エデトンが率いた遠征隊が1919年に日食を観測し、太陽の脇を通過した星の光がアインシュタインの予言どおり に屈折したことを観測した。このニュースは世界中の新聞の1面を飾った。

宇宙項について
アインシュタインは当初一般相対性理論を発表するにあたり静的宇宙を想定していた。当時の考え方として宇宙は膨張も収縮 もしていないものと考えられていたので、一般相対性理論の式を考えたとき宇宙項がないと重力によりやがて宇宙は収縮し 潰れてしまうことになることに気がついた、そのため静的な宇宙を実現するためやむなく宇宙項を導入した。
しかし、上記のとおりハッブルが宇宙が膨張しているのを発表したことにより宇宙項を放棄した後にアインシュタイン はこれが生涯でも一番の過ちだと述べている。このとき宇宙項を導入していなければ宇宙が静的ではないと予言してい たかもしれない。
最近の観測で宇宙は加速膨張していることが観測された、この加速膨張は真空のエネルギーと考えられている。真空の エネルギーは斥力で真空が(宇宙)が膨張しても一定だと予測されている。アインシュタインは2度過ちを犯したことになる。

非相対論的極限でニュートンの重力理論に収束することから、右辺の比例係 数 κ (アインシュタインの定数)は、
κ =8πG/c4

Gμν+Λgμν=(8πG/c4)Tμν

となる。G は万有引力定数、 c は光速である。4次元空間を考えれば、テンソル は対称なので、アインシュタイン方程式は、10本の方程式からなる。
アインシュタイン方程式の左辺は時空の曲率を表し、右辺は物質分布を表す。右辺 の物質分布の項により時空が曲率を持ち、その曲率の影響で次の瞬間の物質分布が 定まる、という構造である。真空の時空であれば、右辺をゼロとすればよい。例え ば、重力以外の力を考えないと、次のようになる。右辺のエネルギー運動量テンソ ルが増加の場合、左辺も増加しなければならない。これは時空の曲率が増加するこ とを意味する。アインシュタインの解釈によると重力とは時空の湾曲によるもので あったから、曲率の増加は重力の増大を表す。

右辺のエネルギー運動量テンソルの 増大は質量が増大する事を表し、この方程式によると、それは左辺の時空の曲率、 つまり重力がさらに増大することを意味する。すなわち、重力は非線形で、重力自 身は自己増大してゆく。通常の恒星のモデルでは、核融合による、生じる光(電磁 波)の輻射圧とガスによる圧力が、重力と釣り合うように恒星の半径が決まる。星 が燃え尽きて支える力がなくなると、重力崩壊し、電子の縮退圧で支えられる白色 矮星 か、中性子の縮退圧で支えられる中性子星、あるいは、ブラックホールにな ることが予測される。

アインシュタイン方程式の数学的な特徴は、次のような点にある。 座標変換に対し、共変的であるので、「時間座標1+空間座標3」のみではな く、「光の進行方向2+空間座標2」といった分解表現も可能である。 非線形の2階の偏微分方程式(楕円型偏微分方程式および双曲型偏微分方程 式)である。 時空構造を論じていながら、時空全体の大域的構造やトポロジーを仮定しない。 得られる解には、特異点が存在する(特異点定理)。 アインシュタイン方程式の厳密解 アインシュタイン方程式自身に何ら近似することなく得られる解析解のことを厳 密解という。良く知られている厳密解に、次のものがある。

シュヴァルツシルト解
カール・シュヴァルツシルトが1916年に発表した解。真空で球対称を仮定 した解で、ブラックホールを表す最も単純な解。

カー解
ロイ・カーが1962年発表した解。真空で軸対称時空を仮定した解で、回転 するブラックホールを表す最も単純な解。

ドジッター解
ウィレム・ド・ジッターが1917年に発表した解。真空で宇宙項がある場合 の膨張宇宙解。ド・ジッター宇宙を表す。 フリードマン・ロバートソン・ウォーカー解 アレクサンドル・フリードマン、ハワード・ロバートソン、アーサー・ウォ ーカーが1922年に発表した解。時空の球対称性を仮定し、物質分布を一様 等方な流体近似した解で、ビッグバン膨張宇宙を表す解。

ゲーデル解
クルト・ゲーデルが1949年に発表した解。物質分布を規定するエネルギー・ 運動量テンソルを、回転する一様なダスト粒子として仮定し、ゼロでない宇 宙項を仮定した解で、ゲーデルの回転宇宙を表す解。

現在でも、新しい解(解析解)を発見すれば、発見者の名前がつく。ただし、同じ 物理的な時空であっても、異なる座標表現を用いて、異なる解のように表現される ことがあるので、注意することが必要である