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2017年02月03日

 クラシック映画の名品 『模倣の人生』


 メロドラマにちょっぴり塩味を加えた物語です。夫に先立たれたコルベールは、娘1人をかかえて将来に不安を感じていましたが、たまたま知り合った黒人のメイド(ルイーズ・ビーヴァーズ)も、やはり娘をかかえて生活に困窮しているのを知り、引き取ってみたところが、これがパンケーキづくりの天才で、両人は共同して店を出したところ、とんとん拍子に成功します。

 このあたりは明るいハリウッド調なのですが、二人の娘が上級学校に入学したころから、展開は重苦しくなります。黒人メイドの娘が学校で差別を受け、ついには母親を突き放すようにして、家出してしまうのです。先行きが読めなくなりますが、ちょうどコルベールに恋人ができ、その娘が美人となって登場するというだ段取りで、「ハハーン」と一切が読めます。

 しかし、重厚な演出と役者の力演で目が離せなくなり、とくにラスト近くの黒人ばかりの葬送が醸し出す厳粛感と、そこに家出した娘の泣きが入る演出は、人種差別への怒りも重なり、長く印象に残るのでないでしょうか。なお、この原作は25年後に「悲しみは空の彼方に」(邦題)として再映画化されました。