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2017年10月24日

 名画の競作『カスバの女』
ジュネス企画

ジュネス企画
 戦前フランス映画の名作、ジャン・ギャバン主演の『望郷』(1937)は、アメリカで二度リメイクされているが、本作はその1つ、翌年にシャルル・ボワイエ主演、ヘディ・ラマール共演で製作されたもの。オリジナルがあまりにも感銘深いため、日本では公開されなかったものです。監督はジョン・クロムウェル。

 しかし、ほとんど同時期に撮影された本作は、リメイクではなく、競作と位置づけられるのでないでしょうか。登場人物名も音楽も同一です。たしかにギャバンのほうが存在感があり、人生の墓場たるカスバの雰囲気もよく出ていますが、こちらのボアイエも熱演だし、ラストシーンにも独自の悲壮感が感じられます。

 なお、懐かしのパリのシンボルとして、「香水」と「地下鉄」ということばが出出てきますが、当時のパリを知る人によれば、湿度の高い地下鉄では、パリジェンヌの香水のかおりが籠もって、独自の香気を発したのだそうです。

 いずれにせよ、出口なしの境涯からの脱出に命を賭け、破れたギャングの姿に、当時の青年は哀愁を感じ、共感を抱いたわけですが、80年後の時代閉塞下では、果たして如何?