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2017年10月28日

 現代の独裁国にも通じる『絶壁の彼方に』
ジュネス企画

ジュネス企画
 追いかけ型、巻き込まれ型のサスペンスといえば、『三十九夜』や『第三逃亡者』、『越境者』、それに『北北西に進路をとれ』あたりの定番を思い出すが、本作(1950)はその中でも秀作に属しよう。

 成功の主因は、舞台を政治的な内情の一切不明な秘密国家(State Secret)=独裁国に設定し、その国の言語を他国人には不通なものと設定したことにある。監督シドニー・ギリアットをはじめ1950年代の製作者の脳裏にあったのは、無論ナチスドイツであったろう。

 事実反戦映画風の趣向が見られるが、架空の独裁国としたことで物語の展開が自由となり、さらに言語がわからないということで不気味さや不安を助長させることに成功、サスペンス映画の中では長く記憶されるものとなった。

 同時に、現代の独裁国家にも通じる普遍性もを備えることになったのだから、何が幸いになるかわからない。ぜひ、一見をおすすめしたい。主演、ダグラス・フェアバンクスJr、グリニス・ジョーンズ。