ローマ時代、実人生において、マルクス・アウレリウス帝が哲学を
実践する中で紡ぎだした言葉の数々。心の内から発せられたそれら
の言葉は、今から1800年以上も前に生きた人物のものとは思え
ないほど、今もなお私たちの心を揺さぶる。今も昔も、人間の核心部
分は何一つ変わらず、人生の心理は永遠に一つだからである。
* 教えてやるか、耐えるか
人間はお互いに、相手あってこその存在だ。
そうであれば、相手に教えてやるか、でなければ、辛抱せよ。
* 見返りを求めてはならない
善い行いをして、それが誰かのために役立った時、どうして君はそれ
以上の期待するのだろうか。よくやったと褒めてもらいたいとか、
お返しの代わりに何かを頼もうとか、それは愚か者の考える事では
ないか。
* 悪行とは自分への不正
悪い事をする人は、自分自身に悪い事をしていることになる。
不正をしている人は、自分自身に対して不正を働いているのだ。
自分の本性を汚し、自分を悪人にしたのだから。
* 生きる術とは武術のようなもの
生きる術というのは、どこからくるとも知れぬものに用心しながら、
しっかりと身構えているという姿勢において、舞踏と言うより、
武術に似ている。
* 人を行動で判断する
理性のある人間の良い面と悪い面は、感情にこそ出ることはないが、
行動には表われる。それゆえ、人の長所や短所は、その人の感情より
も、むしろその人の行動で判断しよう。
* 最大の復讐とは?
敵に対する最大の復讐とは、自分が相手のようにならないことだ。
* 今日が最後の日であるかのように生きよ
人格を完成させるには、一日一日をあたかもその日が最後の日で
あるかのように、激しく感情を高ぶらせることなく、誠実に過ごす事
である
* 自分の判断力を信じる
君の意見は、内なる自然に反しているのか。それとも、理性的な人間
としてのあり方に反しているのか。
それを判断することが出来るのは、君の心だけである。
そして、君にその判断力ある限り、君は自己欺瞞から解放され、他人
と親しみ、天の意志に調和して生きられるのである。
* 自分の行動を観察せよ
注意深く観察してみなさい。そうすれば、全てはある目的のために
起こっていることが分かるだろう。その出来事が、その時々に、
その出来事の意味を明らかにするという事ではないが、まるで何か
の導きの手が、それぞれの出来事に独自の意義を与えているかの
ように、一連の出来事は確かにある意味をはらんでいる。
自分自身をじっくりと観察し続けなさい。そして、あらゆる行動は善
なるものでなければならならない、という信条に従いなさい。
「善」とは、人間がとるべき正しい道である。
以上 前編です
後編は、次号で、以下の項目です
*死は人生の自然な流れ
*人は今を生きる
*名声に執着するという事
*生きているという充足感
*本当に必要なことだけをする
|