廃プラ油化プロセスの開発が ごみ処理に変革をもたらす


先日、岡大物質応用化学科教授の阪田さんから 「PVC news」の6月号が届きました。塩化ビニル環境
対策協議会の会誌ですが、"テクノロジー最前線−実用化間近、塩ビを含む廃プラの『小型脱ハロゲン油化
プロセス』−" で産官学10者による共同研究の成果が報告され、阪田さんがこのプロジェクトのリーダー
をつとめられていることがわかりました。
 私は居住地域のごみ処理問題に取り組んでいますが、プラスチックがリサイクル分別の可燃ごみに一括さ れていることに疑問を持ってきました。中小型焼却炉では、燃焼温度が低いことと日々のバッチ処理のため にダイオキシン排出の元凶がプラスチックの焼却であると考えられるからです。とはいえ、廃プラの圧縮・ 減容設備が実用化していても化学的に処理する術がなく、廃プラ分別の提案をすることができませんでした。  参加企業が研究成果をもとに、処理能力1トン/日の実用システムを開発すみとの報告です。地方で今後計 画されるごみ処理施設に採用されれば、ダイオキシン排出が減るものと期待されます。  また、PVC newsは開発当事者の話から次のように述べています。「従来の資源リサイクルは再生用途 に問題を抱えるマテリアルリサイクルであったが、この開発は分解油が燃料や電気として使えるケミカルリ サイクルであって、下流が保証されている。」、 「プラスチックのリサイクルというより、石油資源の大 循環システムであると理解してもらいたい」 とも。
 昨年4月に当地で「ごみ処理広域化と溶融炉問題を考える」の学習・講演会(岡山の緑と水と空気を守る連 絡会主催)を開いたとき実行委員をつとめましたが、その報告が下記リンクの別稿です。拙文をご一読いた だければ幸いです。
その講演で、廃プラについては触れずでしたが、脱ハロゲンの油化が実現すれば、地方でのごみ処理が変わっ てきます。 阪田さんのリポートを有難く思います。
先だっての中百舌鳥会を機に、阪田さんに NPOエネミラにご入会いただきました。"イメージ"が先行して、 科学的思考に欠けるきらいがあるところへ、頼もしい味方を迎えて活動のレベルアップを期待するところです。 殊に、バイオマスエネルギー分野にご専門の知識・経験を吹き込んでいただければと望む次第です。
中西 卓