自然エネルギーの利用について

“地球上の誰もが手に入れられて、しかもタダのもの、それは太陽エネルギーである”

 はじめに

事例紹介 @太陽炉  Aヘリオトロープ  Bベクショー(フィンランド)、サムソ島(デンマーク)の先進例

C銘建工業木屑ST発電  D八木町畜産GE発電  E京都市生ごみGE発電 F神戸市生ごみFC発電

    G中国地方の太陽光発電・太陽熱利用   H中山おひさま発電所 PV

   □ 日本のエネルギー政策は遅れている: 専門家のエネルギー認識と官僚の縦割り 原発へのこだわり

      □ エネルギービジネスの時代が来た: 新エネルギー利用特別措置法 RPS

       地球温暖化防止  化石燃料から自然エネルギーへ
     エネルギー消費は増え続けるという認識の誤り電源の小規模分散化 

    廃棄物発電は?(新エネルギーとして自然エネルギーと同列に扱うのはX )

 

1. 太陽エネルギー 

  地球上に降り注ぐ太陽エネルギーは 42兆kcal/秒、これは1988年世界年間エネルギー総需要量の約100倍、

  日本全土では 150kcal/秒と言われており、1990年度の一次エネルギー消費量の約100倍に相当する。

  太陽光発電 Photovoltaics  (設備容量kWは DCベース、発電量kWhはACベース)

1)PVの特性: ○ 無尽蔵、地域による偏在がない。 夏、午後の電力需要ピークに対応できる。

X 貯めることができない。 エネルギー密度が小。 設備のkW単価が高い。

 

2)発電量の可能性: 気象庁の日射量データによる日本全土平均の日射エネルギー量は 3.84kWh/u/日、 

              PVシステムの変換効率を10%とすれば 0.38kWh/u/日 を得ることができる。

        1990年度の日本の年間総発電量8600億kWhを PVだけで賄うと仮定すれば、必要なPV設置面積は

6100kuで山口県の面積に相当する。住宅用のPV3kW設備が年間3000kWhの電力量を得るとして、上記の総発電量を賄うには3000万世帯あれば足りることになる。

3)実績(2001年度末): 住宅用 29,389件 27万kW   非住宅用 13万kW

4)設置費用: 現在80万円/kW (NEDOは2010年度482万kW達成のために10万円kWを目標に)

5)助成金: NEF(住宅用)は 9万円kW 10kW未満、 NEDO(事業用等)は1/2  

6PVシステムの構成: 太陽電池モジュール  パワーコンディショナ(インバータ、保護装置) 取引用計器、設備容量(DC)と出力(AC)

7)工事ノウハウ: 設置屋根  系統連系  メーカ保証と避雷対策   “業者に騙されないために”

8)新技術: セルの変換効率   球形セル  製造技術(コストダウンのために)  新型モジュール

 

パッシブソーラー

太陽熱温水器

ソーラークッカー

 

2. 風力発電

年間平均風速6m秒以上の地域は、日本全土の1/7に相当する。

風車建設の阻害要因を考慮して、合計2500万kWの風力利用可能性があると推定される。沿岸設置も課題

2010年度の目標は300万kW(1999年度の実績は8.3万kW)

事業用ウィンドファーム: ユーラスエナジー社(東綿系)が最大シェア北海道苫前町で2万kW 青森県東通村で3万2500kW他

 市民風車発電

   北海道グリーンファンド:      2億2000万円 浜頓別町で1000kW x1  2001/9月運開

   自然エネルギー市民ファンド:  2億円 青森県鯵ヶ沢町と秋田県天王町で1500kW x2 2003/2月運開

 問題と課題: 風況調査、関連法規、景観、建設条件、送電線・系統連系等のFS  RPSでの競争力 

  

3. バイオマスエネルギー

        陸上植物の生体量(バイオマスは約1.8兆トン、そのエネルギー貯留量は約7500億kW,この90%近くを森林が占めている。森林はまさにエネルギーの巨大な貯蔵庫なのである。植物体に貯めこまれたエネルギーは、一連の化学的・物理的な変換を経ながら、最終的には低温の熱となって放射される。バイオマスエネルギーの利用というのは、こうした循環のプロセスに人間が介入して、そこに貯められた化学エネルギーを取り出し、有用な燃料に変えることである。

 

1)バイオマスエネルギーの特性:○貯蔵型エネルギー 廃棄物を有効活用して循環型環境作り 中山間部の産業活性化
                X エネルギー密度が小  設備費負担が状況によっては厳しい

2)目標             1999年度         2010年度

     バイオ発電              8.0万kW            33万kW

       バイオ熱利用             ----                67万kl (原油換算)

       黒液・廃材等             457万kl            494万kl (原油換算)―

3)バイオマス利用の型  <発電、熱利用、燃料(ペレット)>

 a, 廃棄物活用型: 意図せざる副産物

木質系=森林伐採、製材屑、建築廃材

  畜産系=家畜糞尿

     パルプ工場の黒液、合板工場の廃材、古紙

     生ごみ

. 採取型: (自然林からの)薪炭材切り出し

. 人為的育成: エネルギー利用バイオマス(成長の早い木本種、草本種)を栽培

4)バイオマスエネルギー利用の問題と課題

     中山間部でバイオマスエネルギー利用を産業活性化の柱と捉えて、研究・開発、助成を進める。

  日本の木材の現状自給率20%を高めるために、建築に国産材を使う。 ペレットストーブなど燃料としての利用を広げる。
  熱帯・亜熱帯の荒廃地などでプランテーションするために早生樹種を開発する。

 

4. 小水力発電

  ・流れ込み式ミニ・マイクロ発電    ・岡山県で既設は県企業局の中小発電所が18、他にJA所有のものあり

  ・日本の未利用水力資源は40kW、このうち2.5万kWを日本自然エネルギー社がH22年度までに開発予定

  ・中国で石炭火力発電に代わる電源として、小水力発電がクローズアップしている。

  

5. その他の自然エネルギー: 地熱発電、潮力発電など

 

   ・要点:発電にこだわらず、積極的に熱利用(熱電併用、熱単独)を考えること。 

 

 

 

おすすめの本: ソーラー地球経済  ヘルマン・シェーア著 今泉みね子訳  岩波書店

おすすめTV番組   6/17(火)22:00〜 テレビせとうち  日経スペシャル 「ガイアの夜明け」

   内容: @風と共に生きる〜風力発電にかける男たち〜  A風力発電開発ベンチャに密着   B風車ビジネスにかける夢