「地域と共に歩む」
 倉敷市立茶屋町小学校  佐 野  薫

 平成29年4月。私は,新任教頭として倉敷市立連島東小学校に赴任しました。赴任最初に,校長より,「教頭として,学校を核とした地域の活性化のビジョンをもちなさい。そして,まずは,これまでの地域連携の活動を継続・発展させてほしい。」という言葉をいただきました。この校長の言葉を実行しようと,地域と共に歩む2年間がスタートしたのです。
 連島東小学校は,以前より地域連携が熱心で,地域の方々が積極的に学校の教育活動に関わってくださる風土ができていました。また,ちょうど平成29年度より地域学校協働本部を立ち上げて,より組織的に地域連携を進めていく時期でもありました。これまでばらばらにボランティア活動がなされていたものを,「学習環境整備支援部門」「安心・安全な生活支援部門」「学習支援部門」「豊かな体験活動支援部門」の4部門に組織作りをして,ボランティアの方々全員が共通理解のもとで支援活動ができるようにしました。どの部門のボランティアの方々にもたいへんお世話になりましたが,特にお世話になったのが「学習環境整備支援部門」の皆様です。初体験の芝刈り。最後までうまく芝刈り機を操作できなかった私ですが,いつも私を優しく励ましてくださり,頼りない私の代わりに芝生広場の整備を毎月してくださいました。また,花壇整備では,「子どもたちのためだから」「学校のためだから」と,花の植え替えや草取りなどを毎月してくださいました。ボランティアの方々と作業をしながら話をすることで,私は,地域の歴史や人間関係を学ばせていただきました。ボランティアの方々が毎日のように集う学校は,地域のサロン的な存在になっていました。
 平成30年7月の西日本豪雨の際には,避難所になりました。避難所対応には,学区の社会福祉協議会の方々が中心となって地域の方々やPTAの方々が支援に当たりました。皆さんの行動力と団結力には感動しました。連島東学区は,以前より学区の社会福祉協議会が中心となって学区一斉の避難訓練を開催したり,平成29年度には,講師を招いて防災に関する学習会を行ったりしていました。すばらしい避難所運営や支援は,まさにこれまでの連島東地区の皆様が地道に取り組んできた成果だと思います。この行動力と団結力がある地域だったら,学校で何かがあっても支えてもらえるという安心感がもてました。学校は,地域に支えられ,そして,地域と共に歩んでいくことが大切だと改めて感じました。 
 平成31年4月。私は,倉敷市立茶屋町小学校に転勤しました。児童数約1200名,教職員数約100名という大規模校です。このような大規模校の勤務が初めての私は,戸惑うことばかりの毎日です。校長や教頭からの的確なアドバイスをいただいたり同僚の先生方に支えてもらったりしています。また,PTAの方々や地域の方々から優しい声かけをいただき,少しずつ慣れてきています。「茶屋町」と言えば,鬼祭りと鬼太鼓。そして,錦莞筵(花むしろ)の磯崎眠亀です。現在も活気ある地域ですが,錦莞筵の製造が盛んだった頃は,現在とは違う風景と賑わいがあったようです。歴史好きな私にとっては,とても魅力的な地域です。また,今年の夏には,倉敷市初の幼稚園との複合施設と第二運動場が完成し,今後の茶屋町小学校の発展を地域から期待されています。これからも私は,地域の方々と交流を深め,茶屋町の伝統や文化を学んでいきたいと思っています。そして,「地域と共に歩む」学校をめざしていきたいと思います。