令和2年度
第54回
岡山県公立小中学校教頭会定期総会 会長挨拶
岡山県公立小中学校教頭会 会長 妹尾 淳一
薫風の候、副校長・教頭先生方におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。 昨年5月14日(火)岡山市民文化ホールにて行われた第53回県教頭会総会から令和元年度がスタートしました。研修大会等の推進や研修組織の確立等に取り組まれた研修部、県教委や各教育事務所、岡山市教委への要請活動に取り組まれた要請部、組織部調査の実施および集計結果の公表等に取り組まれた組織部、「わが校の教育実践」の編集校正発行に取り組まれた研究調査部、それぞれ各部役員の先生方、そして取組へご協力をいただいた各地区の先生方には大変お世話になりました。 7月31日(水)〜8月2日(金)に開催した全国教頭会研修大会滋賀大会へは100名を超える先生方が岡山から参加してくださり、たいへんありがとうございました。各分科会会場では全国各地から参加された先生方との交流ができ、全国大会ならではの有意義な研修ができたと思います。 また、県教頭会研修会は、11月1日(金)県北の鏡野町にて県内各地から多くの副校長・教頭先生方にお集まりいだだき、盛大に開催することができました。記念講演では、ボトムアップパーソンズ協会代表の畑喜美夫氏より「自ら考えて積極的に行動する力を育むボトムアップ理論」についてご講演いただき、「承認されること・すること」人は認められること、認めることを通して、自ら考え積極的に行動し、自己肯定感・自尊感情・自己存在感を培うことを教えていただきました。 順調に令和元年度の教頭会行事が行われていました11月以後、中国で発生した新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるうようになりました。年が明け、2月27日(木)には安倍首相より、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に臨時休業の要請があり、期間の対応に地域の違いはあれど県下もほとんどの学校が休校となりました。「令和元年度の終了」を子どもたち、保護者、我々教職員に突然つきつけられてしまいました。当該学年1年間の最終月である3月の大切なまとめの時間が無くなり、学習面・生活面はもちろん、子どもたちとの貴重な時間を十分に過ごせなかったことは我々教職員にとってもたいへん残念でなりませんでしたが、命を守るためには致し方ない措置と考えることにしました。 そして新型コロナウイルス感染症の勢いは止まることなく、なんとか通常通り始まった新学期も数日を過ごしただけで、4月16日(木)の全国非常事態宣言をうけ、県内のほとんどの学校がゴールデンウィーク明けの5月6日までの休校となりました。 新型コロナウイルス感染症の影響で世界中の機能が停止している中で、昨年度末3月からの東京や県の会議もすべて中止となりました。例年通り行われる予定だった5月14日(木)の第54回岡山県公立小中学校教頭会総会も「3密」を避け感染拡大防止のため、やむなく中止とし、総会要項配付による承認といたしました。総会を開催することはできませんが、事務局や各部役員の先生方のご尽力により作成し、お届けした本総会要項についてしっかりご確認いただき、ご承認をお願いしたいと思います。ただ活動計画および予算等については、情勢により延期あるいは中止の可能性があることをご了承ください。 さらに、今年度8月5日(水)〜7日(金)に予定されていました第62回全国公立学校教頭会研究大会岡山大会も中止となりました。今回の全国大会は、第12期全国統一研究主題「未来を生きる力を育む魅力ある学校づくり」を踏まえて、「豊かな心と未来を拓く力を育む 開かれた学校づくりの推進」をテーマに掲げていました。全国大会運営のために、一昨年度から実行委員会の先生方や事務局の皆さんを中心に、全国から約3,000名の副校長・教頭先生方をお迎えするために大規模な準備をしてくださっていました。また、各分科会発表担当地区の先生方には取組の準備のために多くの時間をかけてこられたことと思います。岡山市内の各会場で全国の先生方にご発表いただく機会がなくなってしまったことに大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。先生方の取り組まれた発表内容は冊子にして全国の先生方にご覧いただくことで全国発表に代えさせていただきます。 さて、教頭は「学校の要」と言われます。教頭には様々な案件が舞い込み、それぞれへの対応に追われます。一日があっという間に過ぎていき、必ずやらなければならない報告書などの作成は勤務時間をとっくに過ぎたころからとなり、当然帰宅時刻は遅くなります。一つの仕事を処理している間にまた次の依頼が職員やメール等でやってきます。副校長・教頭先生方はそんな毎日をお過ごしのことと思います。本当は仕事に追われて苦しいのに、職場の雰囲気を暗くしてはならないとあえて明るく振る舞ったり、さらに学校外の地域からの要望や要請に対応しつつうまく繋がりをもとうと頑張ったり、「働き方改革」が叫ばれている状況下で自分自身の働き方はどうなのか、教職員に働き方の改革を指示している自分に滑稽さも感じてしまいます。 こんな業務を日々こなしている副校長・教頭先生方にとって、同じ仕事に携わっている仲間との意見交流や情報交換ができる研究会は貴重な場となり、スキルアップにも繋がります。一人職種である者同士が同じ仕事をしているからこそ共感し合い、自身の職務遂行の参考にもなり、日々の激務の疲れも癒やされる場面があると思います。本年度は、県教頭会主催の研修会も中止になる可能性が大きいのですが、この非常事態をみんなで乗り越え、また有意義な研修ができる日を待ちたいと思います。 新学習指導要領の本実施が本年度は小学校、来年度は中学校となります。新学習指導要領では、子どもたちが未来社会を切り拓くための資質能力を一層確実に育成することを基本的理念としてあげています。その際には「社会に開かれた教育課程」を重視し、「確かな学力の育成」「豊かな心、健やかな体の育成」をめざしています。我々現場の教師には、知識の理解の質を高め、資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」の観点からの授業改善が求められるとともに、学習内容を深く理解し、資質・能力を身につけ生涯にわたって能動的に学び続ける児童生徒の育成も求められています。ただ、現在の先の見えない休校続きの中では、思うように授業もできず、新学習指導要領本実施はなかなか難しい状況にあります。新型コロナウイルス感染拡大収束への取組を行いながら、各校でできることを徐々に進めていきましょう。 最後になりましたが、令和2年度全国教頭会研修大会岡山大会開催に向けて岡山県公立小中学校教頭会をあげて取り組む中での新型コロナウイルス感染症の発生となりました。まさに出鼻をくじかれる事態となってしまった令和元年度でしたが、我々県教頭会役員と教頭会事務局が力を合わせ活動してきたことに対して、会員の皆様方には多大なるご理解とご協力をいただきましたことに心より感謝申し上げます。本挨拶文を書いている現在では、県内各市町村で対応が異なりますが全国非常事態宣言が解除され全国的に学校再開となる可能性も示されています(5月11日現在)。皆さんに本挨拶文を読んでいただく頃にはまったく違った状況になっているかもしれませんが、無事学校再開となり今まで通り子どもたちの元気な声が響きわたる、活気ある小学校、中学校となっていることを切に願っています。非常事態の中での令和2年度の幕開けとなりましたが、県教頭会員の力を出し合って取組を進めていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。 |