*)上記寸法は絹枠に張る場合の糊代は、含まれていません。完成・最終サイズとして上記寸法を想定すると、一サイズ、幅の広い絹を使っての制作となります。
1)絵絹による制作を考えるとき、絵絹の縦目、横目、絹の性質について考える必要があります。
幅と表しているのが反物として売られているときの織幅です。絵絹による制作は、基本的にこの幅を実際の制作においての画面で、横幅として使います。反物として巻かれている方向が縦となるのですが、このことは、掛け軸を作りたいときなど、重要な事です。
また、織物の性質上、縦方向に強く(多く)縮む性質があります。月、太陽など、円形の具象物を画面に配するときなど、完成時の縮みを想定して、制作時には縦長の楕円として描くなど注意が必要です。一般的に、「重め」「三丁樋」など、厚い(重い)絹を使うほど、この縮み方は強くなる傾向が見られます。また、描法により、膠分が多くなる(絵の具が厚くなる)ほど、縮みが出てきます。 ただし、近年、縮みにくい絵絹なども開発されているようですから、自分の製作法を考え、縮みまで想定した作画が出来ると良いでしょう。
額縁制作を考える場合は絵絹の使い方、方向について、上記の限りではありません。ただし、縮み方向については、絹枠に張って描く場合、注意することが重要です。
最近では、(裏箔などを行った後)裏打ちを行い、パネルに張り込んだ状態で絹本制作を行うこともあります。屏風などと同じく、仕立ててから描く場合と同様ですが、制作中、透けるという性質から線描きが新鮮に行えることや、裏から絵の具をさせること(表面に厚塗りせずとも重厚な色合いを出せる)、絹枠ならではのぼかし作業や、描画中の画面の弾力(筆を入れるとき、刷毛を使うときなど)など、絹ならではのメリットが失われがちです。また、屏風、襖などの制作を考える上でも、接合部のにじみが出たり、張力が完成後にかわってしまい、吊れなど、不具合の原因となったりします。
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