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1988〜1996年ブッポウソウ保護活動 
           「やませみ」(岡山県支部設立20周年記念誌)より
   
成功したブッポウソウ巣箱保護 
   丸山健司(支部長) 
 ブッポウソウは環境庁が発行する「緊急に保護を要する動植物の種」(レッドデーターブック)の希少種として掲載されています。
 県支部では昭和63年から平成3年の4年間に渡り岡山県内のブッポウソウの生息調査を行いました。その結果岡山県内に125羽を確認しました。中でも蒜山の川上村と加茂川町でその生息数の多いことが判明しました。
 川上村ではこの調査報告後すぐに村の予算を付け、木製柱を建柱し巣箱を掛けるなどして保護に乗り出して下さいました。その結果4巣箱の利用繁殖が確認されました。ただその後の予算継続がうまく進まず現在は中断された状態になっているようです。
 さて、加茂川町では、平成2年にNTTの協力を得て9箇所に巣箱を設置しましたが、その年は利用の確認ができませんでした。翌年平成3年には架設を10箇所としたところ1箇所の巣箱でブッポウソウが巣箱に入ろうとしました。どうも利用しにくそうであることから、土地所有者の谷口さんのご協力を得て巣箱の改良を行い、巣箱の出入口の口径を拡大し、穴の下の外壁に爪がかかるよう細板を張るなどの工夫をした結果、巣箱の利用に成功しました。その後のブッポウソウ巣箱はこの形状を引き継いでいます。平成3年以降加茂川町では3〜4箇所で繁殖確認がされて来ました。 
 昨年、平成7年11月に加茂川町では町制40周年を迎え、その行事の中でブッポウソウを「町の鳥」として指定して下さいました。この時に、加茂川町とのコネクションがうまく取れ、町の全面的協力が得られ、ブッポウソウ保護問題がスムーズに進みました。(詳細は中部幹事の経過報告を参照)
 また、日本財団(日本船舶振興会)ボランティア支援から977、000円の支後金も頂くことができ木製柱17本を町および町民の方々の快い協力を得て建柱することもできました。加えて、加茂川町の3小学校、御北小学校、津賀小学校、円城小学校の協力を得て巣箱の製作もできました。さらには、NTTおよびNHKの協力も得ることができNTTには電柱への、NHKにはテレビの共同アンテナヘの巣箱架設許可を頂き、巣箱架設は合計76個もの数となりました。 
  ここまでブッポウソウ保護を進めるためには、日本財団への支援金申請手続きを進めて下さった支部の方々、NTTおよびNHKの施設使用許可申請手続きを進めてくれた方、加茂川町の3小学校で小学生に巣箱作りを指導して下さった方々、そして、実際に木柱および電柱に巣箱を掛ける作業をして下さった会員の方々の熱意あるご協力を得ることができ、はじめて達成できた事業だったと思います。 
さらに、本事業遂行に掛かった費用は  結果:ブッポウソウ巣箱利用状況
(1)日本財団からの支援で木柱17本の建柱費 (1)日本財団支援金木柱(計17箇所)
   977、000円 利用巣箱 N0.40、42、44、45の4箇所 
(2)支部出費の機材購入費用  (2)NTTの電柱(計 30箇所) 
177、344円 利用巣箱 N0.17、22、29、の3箇所
合計1、154、344円
(3)その他 ボランティアによる費用等があります。 (3)NHKテレビ共同アンテナ(計17箇所)
    利用巣箱 N0.54、70、の2箇所 
    (4)空き電柱(計6箇所) 
    利用巣箱 N0.9、の1箇所 
    (5)立木(計6箇所) 
利用巣箱No.無し
 以上平成7年6月2日現在、76箇所中10箇所を利用してくれています。利用率13.2%で番で営巣すると合計20羽のブッポウソウが加茂川町に集っていることになります。やはり加茂川町は日本一ブッポウソウの棲む町です。  
 
  (注):旧加茂川町は、2004年吉備中央町となりました。
 
加茂川町のブッポウソウ保護対策 
   中部 正明(幹事)
 日本野鳥の会岡山県支部が加茂川町内でブッポウソウの保護活動をどのように取り組んで来たのか概要を説明します。 
・昭和63年(1988年) 5月29日 県西部・中部の生息調査
7月24日 確認個体数(加茂川町内)
電柱の巣穴の確認箇所数
繁殖の可能性が高いもの
15個体
19箇所
 9個体
・平成元年(1989年) 5月21日 県中部・東部の生状況調査
・平成元年(1989年) 6月4日 県全域・同時確認調査
確認個体数(加茂川町内)  6個体
・平成2年(1990年) 3月〜8月 巣箱架設と利用状況調査
巣箱架設数
巣箱利用箇所

 9箇所
 ナシ
・平成3年(1991年) 3月〜8月 巣箱架設と利用状況調査
巣箱架設数
巣箱利用箇所

 2箇所
 1箇所 
・平成3年(1991年) 6月23日 県全域・追跡確認調査
確認個体数(加茂川町内)

 4個体
・平成5年(1993年) 5月29日
6月5日
巣箱利用状況確認
巣箱利用箇所

 4個体
・平成6年(1994年) 3月13日 巣箱掃除
・平成7年(1995年) 4月2日 巣箱作り  20個
・平成7年(1995年) 4月16日 巣箱掛替  10箇所
・平成7年(1995年) 7月2日 巣箱利用状況確認、確認個体数
巣箱利用箇所
繁殖の可能性の有るもの
 10個体
  4箇所
  2箇所
・平成7年(1995年) 8月16日 加茂川町教育長と面談
・平成7年(1995年)  9月25日  (財)日本船舶振興会、協力援前金交付申請   
・平成7年(1995年)  11月11日  「ブッポウソウ保護」トーク
片山加茂川町長を囲んで
地元の方と野鳥の会会員と懇親会 
 

(昭和63年〜平成元年の調査で岡山県内の確認個体総数96羽、営巣の可能な巣穴68箇所) 
 
 加茂川町でのブッポウソウの保護を今後どのように取り組んでいくか!
 ・ブッポウソウの写真展を公民館や学校で開き啓発活動をする。
 ・巣箱掃除3月、巣箱作り4月、巣箱掛け4月、巣箱利用状況確認7月、こうした一連の作業を地元の方と野鳥の
  会会員と一緒に行う。
 ・ブッポウソウの生息状況及び巣箱利用状況を4月中旬から8月中旬までのブッポウソウの飛来、巣箱の出入りな
  どの記録を取る。
 ・木製電柱を鉄製やコンクリート製に建て替えるとき木製電柱を残して行くように地主の方に働き掛けて行き、特
  に巣穴の有る木製電柱は残すようにお願いする。
 
中部 正明(幹事)
 1996年2月、ブッポソウを町の鳥に指定した加茂川町では、営巣箇所の減少からこの鳥を救おうと、町内の御北小学校、円城小学校、津賀小学校の3校で、児童がブッポウソウ用の巣箱60個を作りました。そして、3月から4月にかけて野鳥の会では、町、中国電力、NTT等の了解を得て、この巣箱を無事にかけることができました。
平成8年(1996年) ・3月10日 巣箱架設、電柱確認と説明
・3月11日 木登り器の訓練、前年の巣箱清掃、巣箱移設
・3月17日 前年の巣箱清掃、巣箱移設
・3月23日 巣箱掛け7個
・3月24日 巣箱掛け10個
・4月6日 巣箱掛け10個
・4月7日 巣箱掛け10個
・4月21日及び5月1日 巣箱架設場所を地図に記録、巣箱の管理記録
・5月2日 巣箱架設場所の記録地図とブッポウソウのシールを
加茂川町内3小学校、中学校役場担当課に持参
・5月5日 日本船舶振興会の助成金で建てた電柱にプレートを
取り付け、写真撮影
   
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