第9回海外探鳥旅行
シロフクロウと出会う。カナダ・バンクーバー探鳥記
丸山 健司

   平成19年3月10日から15日の4泊6日で支部第9回海外探鳥旅行としてカナダのバンクーバーにシロフクロウを探しに行きました。



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   気候は岡山とほとんど変わらず。まだ薄手のコートが必要な感じでしたが、すでにソメイヨシノはほころび初め、ハナスモモの濃いピンクの花が街の中で咲き誇っていました。参加者は総勢13名(うち岡山から8名、藤沢市から1名、神戸市から2名、バンクーバー滞在者2名)でした。   今回の現地での案内は、バンクーバーで旅行会社を経営する川端雅章氏にお願いしました。
予ねてより、山田さんが噂を聞いて是非お願いしたい方として今回お願いを致しました。川端氏は岡山県出身で車中では岡山弁、美作弁が飛び交いとてもカナダに居る雰囲気では無く、面白い旅でした。ちなみにバスの運転手は沖縄出身の女性でした。川端氏はカナダにおけるナチュラリストとして著名な方でカナダの野鳥はもちろん、動物、自然、そしてカナダ民族学にも通じた方です。そんな彼に惚れ込み、来年の話ですが、2月には岡山へ帰られるとの事でしたので、来年の支部総会で講演をお願いしました。ご期待下さい。

    さて、旅の話ですが、10日(土)10:20にバンクーバー着その足で早速探鳥に出かけましたが、あいにくの小雨模様、11日(日)は大雨、12日(月)晴れ、13日(火)晴れ時々小雨と天気には恵まれませんでした。しかし、この4日間の探鳥の中で確認できた鳥は89種になりました。その中でも今回の探鳥旅行の大きなお目当であるシロフクロウを主体とする白もの4種、シロフクロウ、ハクガン、シロハヤブサ、ナキハクチョウと日本では稀な黒もの4種、アラナミキンクロ、ビロードキンクロ、ウミバト、クロミヤコドリ、さらにシロフクロウを始めとするフクロウ類5種アメリカワシミミズク、アメリカキンメフクロウ、メンフクロウ、コミミズクについて報告します。


シロフクロウ;
   北極圏で繁殖するシロフクロウであるが、冬季にバンクーバー近郊に姿を見せ今年は9羽が見られたとのこと、その姿を求め3日間毎日シロフクロウが居ると言われるバウンダリー湾公園に足を運びました。潮が引いている時は沖合い1km程が干潟となり、その内堤防から100m程がまばらな草地となっています。その草地の中に大きな流木が散在しています。その流木の上にチョコンと座っているのを探すのですが、これが良く目立ちます。双眼鏡で草地の流木を目当てに一望するとその白さと大きさから一目で探すことができました。とにかく大きいなフクロウです。全長58
cm、翼開長1m32cm、体重1830gあります。1日目小雨の中4羽、3日目晴れ日で3羽、4日目晴れでなんと7羽が姿を見せてくれました。その他このバウンダリー湾公園では、ハマシギの大群が居たり、ハクトウワシは5〜6羽が上空を飛び堤防内の草地ではハイイロチュウヒ、コミミズクを見ることができました。




ハクガン:
   ハクガンは北極圏で2万羽程が繁殖していると言われる種です。バンクーバーではライフェル・バード・サンクチュアリのあるウエスタン島に約1万羽が越冬していました。
ここはジャガイモ畑をハクガンのために冬季は農家から借り上げて餌用ジャガイモを畑に残しているそうです。また、ジャガイモ畑以外の畑や牧草地は緑の草に覆われ、その草を採餌していました。大きさはマガン程あります。青空に大きな群れで飛び立つハクガン、バンクーバー近郊の雪を被った連峰をバックに飛ぶハクガンの美しさには素晴らしいものでした。



シロハヤブサ:
   シロハヤブサは偶然でした。デルタタウン付近の畑地でナキハクチョウを見に立ち寄り、大きな群れには道路の事情で近づくことができず手前の小さな群れを見ていたところ、頭上をハヤブサが飛び近くの木に止まりました。確認したところシロハヤブサと判り、ナキハクチョウどころではない全員シロハヤブサにクギ付けとなりました。
シロハヤブサはバンクーバー周辺でもめったに見ることがでないので今回のチェックリストにも掲載されていませんでした。ハヤブサの全長は40cmですがシロハヤブサは56cmあり大型です


ナキハクチョウ:
   アラスカからカナダ西部の海岸地方で繁殖しています。バンクーバー周辺の畑地帯で良く見かけました。体重10kgもある大きな鳥です。英名トランペットスワンで鳴き方はフォァン、フォァン、フォァンでトランペットと言うよりはホルンの様な声でした。コハクチョウのグファー、グファー、と比較すると低音で聞き心地は良い印象を受けました


ハクトウワシ:
   ハクトウワシは白もの4種の中に入っていませんがここに紹介します。なぜ、白もの4種に入って居ないかと言いますと、わざわざ探さなくてもこの時期バンクーバー周辺ではふんだんに見ることができるからです。
サケの遡上時期になりますとサケが遡上する河川やサケの捕獲場付近へ移動するとの事でした。バスの中からは、デルタタウン近郊のトウモロコシ畑やジャガイモ畑の中にまるで日本のトビの様に降りている姿が多数見受けられました。
それでも、やはりハクトウワシは圧巻です。営巣木を2箇所紹介して頂きました。

両方とも海岸に近く、ウエスタン島に渡る橋の手前の大木に1巣、ウエスタン島に渡ってライフェル・バード・サンクチュアリの案内所手前の木に1巣、どちらも2羽が巣の前に長時間留まって私たちの動向を見ている様でした。


   さらに、ビーチグローブ公園ではハクトウワシが鳥を捕まえて羽をむしって食べている姿を目の当たりにしました。むしった羽がパラパラと落ちてくる様子は何とも言えない驚きでした。



    さて、次に黒もの4種ですが、アラナミキンクロ、ビロードキンクロ、ウミバト、クロミヤコドリクビワキンクロを加えて5種とします。ビロードキンクロを除く4種はなんとスタンレーパークの外周で見ることができました。スタンレーパークの素晴らしさは次の項で触れますがとにかく素晴らしい都市公園です。ウミバトが陸地から見えるのが驚きである。双眼鏡では少し無理で、フィールドスコープを用いて2羽を確認できました。


   クロミヤコドリは全身真っ黒、くちばしと足が赤く、海岸の岩場に好んで居るようです。スタンレーパークでも海岸の岩場でした。もう1羽は、クロキョウジョシギを探しにツワッセンフェリー埠頭に出かけ探したのですが見つからず、なんとこのクロミヤコドリを見つけフェリーが着いたらとても道路駐車はできないのですが、フェリーが着く前だったので反対車線は頻繁に車が通ていましたが駐車した道路は街へ向う車も無く小雨の中バスから降りて見ることができました。



   

   ビロードキンクロ、アラナミキンクロが大群で見られる場所はホワイトロックの海岸で、ここは沖合の波消しブロックまで約300m程桟橋がありました。この桟橋から真近に大群を見ることができました。ホワイトロックに行ったのは3日目でしたので天気は良かったのですが、風が強く寒さが倍増され、さらに波も高くやや見にくい海面でありましたが、双眼鏡で十分見られる近さが何よりでした。ビロードキンクロ、アラナミキンクロの他にヒメハジロ、アカオタテガモなど可愛いカモやハシグロアビも見ることができました。車の駐車場では、どこにでもたくさん居ると言われるイエスズメを始めて見ることができ、かわいい声で鳴いていました。



   

   次にフクロウ類5種ですが、シロフクロウ、アメリカワシミミズク、アメリカキンメフクロウ、メンフクロウ、コミミズクの内シロフクロウとコミミズクは先のバウンダリー湾公園で記載しました。

   アメリカワシミミズク、アメリカキンメフクロウはウエスタン島のライフェル・バード・サンクチュアリ内で見ることができました。アメリカワシミミズクはすでに抱卵に入っていて、巣の中でピクとも動かずフィールドスコープ内に入れてもらわなければまず探すことは困難な木のこぶと思われる様な木隠れ状態でした。それでもよく見ると大きな耳状の飾り羽が目立つ大きなフクロウでした。


   アメリカキンメフクロウは体長20cmの小さなフクロウです。針葉樹の枝にチョコンと止っているのですが、これも居場所を教えてもらったから見ることができましたが、なかなか見つけるのは困難なフクロウです。

このサンクチャリでは、地元のバードウォチャーも姿をみることが難しいと言われているアメリカサンカノゴイや配色も鮮やかなアメリカオシも見えました。




  また、ライフェル・バード・サンクチュアリの周辺にはメンフクロウの巣箱を多く見かけましたが、ここでは見ることができず。シロフクロウを見たバウンダリー湾公園近くの農家の牛小屋の屋根裏の梁に居るの見るため農家の方に許可を得て牛小屋に入れてもらいました。小屋の中では自由に動き廻るヨークシャー牛の横で牛の糞を踏んでもいいように全員が靴に弁当を包んでいたビニール袋を履いて、川端氏が照らすライトの光を頼りに2羽が並んだ姿を見ることができました。牛小屋の隣の納屋では放し飼いの鶏が私たちに驚き数匹のヒヨコを引き連れて隠れる姿も見ることができました。


   さて、バンクーバーの探鳥地、バウンダリー湾公園のシロフクロウ、ウエスタン島のハクガン、デルタタウン付近の畑地でナキハクチョウ、ツワッセンフェリー埠頭のシギ、ホワイトロックの海ガモ、を紹介してきましたが、まだ出てない探鳥地を次に紹介します。

   あまり知られていないマニアの探鳥地として川端氏が案内してくれたのが、バンクーバー国際飛行場のすぐ北隣にあるアイオナビーチパークここは汚水処理場で大きなラグーンが4つあり、オオホシハジロやヒメハジロ、ウタスズメ等を見ました。

   今回の探鳥地はほとんどがバンクーバー市街地より南部地域が主体でしたが、1箇所北部地域(バラード入江より北部)の山間部へ行きました。カピラノ渓谷にあるサケの孵化場に寄りました。カピラノ渓谷はカナダでも有数の温帯雨林を形成していてダグラスファーと呼ばれるベイマツの森でうっそうとした森林でした。サケの孵化場は遡上期ではなかったので採卵は見られませんでしたが、シロザケの稚魚の様子を見ることができました。2日目の大雨の中でしたので渓谷の川は水かさを増し濁流の様に勢いよく流れていましたが、その中なんとアメリカヤマセミが出現皆で必死に追いかけました。さらにメキシコカワガラスが岩場を出たり入ったりしているのを発見しました。


   

   次に紹介するのは、ツワッセンフェリー埠頭に行く途中のバウンダリー湾に面した小さな公園ビーチグローブ公園です。落葉樹の林ですが、大物、小物が出てくれました。鳥を捕まえて羽をむしり取って食べているハクトウワシ、少し離れてハヤブサが止っている。すけた樹幹でハシボソキツツキ、枝先に止ったセジロコゲラ、その他アメリカコガラ、アメリカキクイタダキ、ルビーキクイタダキ、ムナオビツグミ、ホシワキアカトウヒチョウ、メキシコマシコ、オウゴンヒワ(ゴールドフィンチ)、ベニヒワ等たくさん見えました。頭上をカナダヅルやアカオノスリも飛び回ってました。






    さらに飽きたらず予定に無かった大物ステラーカケスを探しにアメリカとの国境近いキャンベルバレー公園に向いました。落葉樹を主体とした明るい林の中ハックルベリーが若葉を出し始め、湿地にはイエロースプリングランタン(黄色花のミズバショウ)が咲き誇っていました。アメリカコガラやクリイロコガラは手の上に餌を置くと手の上に乗って餌を取ってくれます。アメリカキバシリ、シロハラミソサザイ、ムナオビツグミ、コマツグミ、ホシワキアカトウヒチョウ、ゴマスズメなどが見られました。ステラーカケスの出現を待って公園中央の園地で待機している間は、ダグラスリスが私たちのお相手をしてくれました。結局ステラーカケスとは面会できませんでした。



  今回の探鳥地は川端さんに選定して頂いた地でどこも印象に残る素晴らしい場所でしたが、もしバンクーバーに行かれる機会があり、少し時間が有った場合は、スタンレーパークに行かれることをお薦めします。街中に位置した広い整備された公園です。しかし、温帯雨林の森林を保全していて自然をそのまま残した公園であり、野鳥もたくさん見ることができます。さらに時間が有りましたら、ライフェル・バード・サンクチュアリへ足を伸ばして下さい。入園料が少し必要ですが、さらに多くの野鳥と出会えると思います。





   最後に、この探鳥旅行を企画して下さった山田さん、そして現地で素晴らしいガイドを務めて下さいました川端さんにお礼申し上げます。




旅費概算
      航空運賃 \73,000
燃料サーチャージ・空港税 18,040
現地ホテル代・食事代・ガイド・バス代など 83,660
別途食事代(夕食3回・朝食4回) 約12,000
合        計       ¥186,700
参加申込が遅くなった人の場合、航空運賃が¥16,000高くなりました。


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