宍戸式811イントラ反転mk2パワーアンプ

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中国製811Aを使ったイントラ反転パワーアンプの2台目を製作しました。回路MJ誌の1995年05号144Pの記事を参考にして終段に811Aを使ったアンプを 作りました。回路は概ね製作記事のとおりですがトランスは、今では入手が難しいので製作記事どおりではありません。また、初段は12AU7指定ですが12AU7の高信頼管の5814としています、 ドライブ管は記事では6F6ですが、6L6GCに変更しています。
出力トランスFW20Sは塗装のはがれたところがあたので塗装をやり直しました。オリジナルは黒ですが、ブロンズのハンマートーンに変更しました、NC-10もオリジナルは白ですが同様に塗り替えたのでブロンズのハンマートーンになりました。

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 アンプをひっくり返してみた内部配線です。5814の初段周りの配線と6L6GTのドライブ段です。5814はSRPPとし6L6GTと直結にしています。 コンデンサーおよび抵抗類は近くのパーツ屋さんで購入した汎用品を使っています。NFBはFW-20Sの2次から5814カソードに2.6dBかけています。 MJの記事では6L6から5814P-K帰還と811Aカソード帰還をかけていますが今回の製作例ではメインのNFBのみとしました。

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 811Aの出力段周りです。出力トランスはタンゴのFW20Sです。811Aの1号機で外したものです。今回作成した意図は出力トランスでどのように音が変わるか試してみたかっ ためです。1号機で外した後に変化があたことは確かですが、記憶はあいまいなのでどう変わったか知りたいからでもあります。
811AのDC点火は10000μF1個で十分にハムを取り切れています。バルボルで残留雑音を測定したところ2.6mV位ありました。B&W805では気にならないレベルです。
中央に見えるのがタンゴNC-10ドライブトランスです。回路図のとおり電流打消しのため2次側は通常のトランスドライブとは反対に接続しています。これにより811A にグリッド電流を流しの6L6プレート電流で磁束を打ち消すようにしています。通常ドライブトランスに電流を流すと特性が悪化しますが電流打消しにより改善されます。

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ヒーター用のブリッジダイオードはチョークコイル取り付け用のボルトを利用してシャーシ内部に付けています。また、6L6と5814のヒーター巻線がないのでヒータートランスだけ別に付けました。

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電源トランス周りの配線です。整流はファーストリカバリーダイオード(メーカー不詳)の両波整流としていましたが1S1891のブリッジに変更しました。理由は 全波整流ではB電圧が 低すぎることが分かったためです。最終的に回路の検証のために電圧を測ったためわかりました。1S1891は耐圧が800Vなのでブリッジでないと耐圧が持ちません。 電源トランス周りです。トランスはタンゴSTー350です。ここは1号機と同じです。ヒーターの容量とB電圧が丁度良い具合になります、横に見えるのは811Aグリッドへ供給するための 電源で3端子レギュレーターで作りました、なにせグリッド電流を流すので通常のバイアス回路では間に合いません。

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出力トランスはFW-20Sです。インピーダンスは2.5kΩにしました。

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ドライブトランスのNCー10とハムバランスの巻き線抵抗です。5Ωですが製作記事どおり10Ω位のほうが良さそうです、雑音最小点にすることができませんでした。

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オシロで出力の波形を観測してみました。1kHzの正弦波を入力してバルボルで測ると8Vでしたので出力は8Ωで8Wと計算できます。

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出力10Wの波形です。カットオフしていますが、入力を上げていくとさらに出力は増大します。従って無歪出力は8Wといったところです。

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1kHzの方形波応答です。少々オーバーシュートが表れています安定しています。負荷は8Ω純抵抗です。

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10kHzの方形波応答です。1kHz同様ーバーシュートが表れています。

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 周波数特性はご覧の通りでした。20kHzから上昇し50kHzにピーク(2.3dB)それ以上では減衰しています。MJ誌の記事にも書いていますが。FW20SとNC-10との 共振によるものと思はれます、FW20Sの2次側にダンプ用に抵抗とコンデンサーを入れれば解消するとは思いますが、このままでもそれといった違和感はないので このままにしておきます。
 出てきた音は低音にエネルギーが集中しておりシングルアンプでこの音は驚きです。B&W805をやすやすとドライブできます、低能率のスピーカーでもやすやすとドライブ出来ると思われます。 高音は直熱陰極管特有の澄み切った音です。低音に不満を持っている人におすすめのアンプに仕上がっています。単純に比較はできませんが1号機(FX20S)との違いは 中高音透明度の差のように思います。FX20Sの方が更に中高域の透明度が上がったように思います。