当時としては画期的な製品でした
VHF帯で、5Wと言うハイパワーをトランジスタの終段で実現・・・・何を言っても筐体のコンパクトさにあります
コスト面を含め、1W携帯型・・・オールトランジスタ方式のRF出力の限界だった時代です
それ以上のハイパワー機は、終段は真空管で、送信時にはピーッというインバーター音がするもの、タクシー機の改造品も含め、それが当たり前の時代でした 真空管による5〜10Wのアンプとそれを駆動する電源、この容量を考えると当然筐体は大きくなります
車載に於いても、コントローラ(マイクとスピーカー)を運転席近くに配置し、本体(電源部を含む)はトランクの中に収納、というのがスタンダードなモービル局の姿でした
こちらでは、当時最新技術の結晶であったFDFM-2S と、FDFM-5をご紹介します
いずれも1968年の製造ラベル、全く別に入手したものですが、偶然にも同じ5月製造となっていました |
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FDFM-2S 144MHz帯 |
幅160 高さ70 奥行き185 単位はmm 約1.5Kg
マイクロホンは、手持ちのIC−71に付属のものを拝借していますが、多分純正もこのもの!? |
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フロントパネルには、FDFM−2 とプリントされていますが、実際はFDFM−2S 5W機です
背面に貼ってあるラベルには、ちゃんとFDFM−2Sと表示されています
1Wモデルと共通パネルなのでしょう
社名の表記は、INOUE COMMUNICATION EQUIPMENTS CORP となっています |
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背面です
フロントパネルもそうですが、リアパネルもシンプルそのもの
電源・アンテナ・外部スピーカーの接続端子のみ
蝶ネジは、単なるアース端子、もしくは底面になにかジョイントする際の固定用です
1968年5月と記されたラベルが貼られています
発売開始は、その前年1967年1月のようです |
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3CHフル実装です
終段は、2CS702三菱の石ですね
これで5Wを出力します
多分ですが、144MHz帯で1Wを超える出力をTrで実現した最初のモデルです
もしかしたら福山電機工業(FDK 今のALINCOの元)に、なにかあったかも・・・記憶がありません
頭にあるイメージは、インバータ内蔵で終段は球なのですが・・・
その頃、車に乗れる年齢ではなかったもので!? |
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各ブロックごとにユニット化された構造です
ここまでの設計とは一味変わってきています
この構造は、その後ずっと引き継がれました
いわば、INOUE/ICOMのお家芸かと・・・ |
2018.03 Tnx JA4BZ |
FDFM-2S、入手時のままでいました(受信感度が今一歩でした)が、FDFM-5の修理?の便に、本機も本気で調整を行いました
最終的に、5KHzデビエーション 1μV入力で、S/N26db こちらは、当時としては高感度な部類かと思います
SQのオープンには、−10db程度の信号強度が必要でした
送信は、入手当時からきっちり5Wが得られています |
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FM-20BM |
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こちらは、FDFM-2 1W機を10Wにパワーアップするブースターです(上記FDFM-2Sではミスマッチ!)
1969年当時としては、まだまだ珍しい(高価な)トランジスタ方式です
電源は、交直両用です |
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ご覧のように2ステージです
2SC1011 → 2SC703
AC電源も内蔵されています
ちゃんとした定電圧方式が採用されています
電源入力は、4Pコネクタを交直2本ずつ使用
差し替えて選ぶ方式です |
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リアパネルです
ラベルには、APR 1969 #1002 と |
電源トランスの横に見えている大きめの抵抗器
なんとPLの電流調整用です
そのPL E5/12V球・・・今では手に入らないかも、LED化で逃げるしかなさそうです |
左上3Pコネクタは、コントロール(スタンバイ)用
右上4Pコネクタは、電源用
DC/ACいずれもここから給電します
RFは、左M-Rが、トランシーバへ
右M-Rがアンテナ接続用です |
2022.03 追記 |
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FDFM-5 50MHz帯 |
筐体サイズ、デザイン、あるいは基板構成など、FDFM-2Sと全く同じです |
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入手時点では、送受信とも全くNG
受信は、IFノイズこそ出ましたが、信号の受信は出来ません
全く受信できなかったのは、第一局発の発振コイルの離調、調整により受信はできるようになりましたが、感度については20db程度利得不足
RF−IFすべて調整をしなおして正常レベルとなりました
クリスタルの見える左端の基板、上部が送信OSC部 下部が受信OSC部
その右が、受信のRF−1stMIX基板 その右が2ndOSCと1stIF基板、ここは最近の10.7MHzではなく5.25MHzで、ここから右側の455KHzの2ndIF・検波基板へ、選択度を稼ぐIFフィルタは、セラミックフィルタではなくLCによる集中IFTとなっています |
送信ユニットを取り外すことで受信ユニットの調整が可能に 構造などはFDFM-2も全く同じ |
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送信ユニット2枚を外しました、結構大変な作業です
ここまでしないと受信部の全体調整ができません
送信終段は、2SC106シングルです |
送信部は、逓倍−プリドライバ部と、ドライバ・終段部の基板2枚で構成されています
オシレータ部は、受信用オシレータと同じ1枚の基板です
オシレータ部がVXOらしい改造がなされていましたが、全く送信(発振)しません
オリジナルの回路に戻しましたが、それでも発振しません
どう見ても発振コイルの同調Cの値が小さすぎますが、回路図がFDFM-2と共通のためか、その値が記されていません
元ICOM 櫻井OMの記事を参考にCを変えたところ、同調コアを抜ききったところで無事発振してくれました
プリドライバ以降の調整が非常にシビア・・・なんとか安定に4W程度の出力が得られるようになりました(〜400MHzオシロが、とても役に立ちました)
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改めてフロントパネルです
FDFM-5には、フロントパネルにもM型接栓の用意があります
携帯運用を意識したのかな?
ケース後ろにパッチン錠を引っかけるような突起(爪)が出ています(TOP写真参照)ので、もしかしたら本体後ろに延長して接続する電池ケースの存在があったのかもしれません(私は、目にしたことがありません)
1WのFDFM-2にも、同様にフロントパネルにM型接栓があったようです
FDFM-2Sでは、爪だけが名残り・・・ |
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フロントパネル M型接栓裏です
バナナジャックが配してあります
M型接栓からバナナプラグにつなぐのでしょうか?
1.5D同軸ケーブルは、リアパネルのアンテナ接栓に接続されています
どちらか選んで使える???
入手時には、切り離されていましたが、メーカー出荷時、接続がされていたのかどうか??です
一見接続されて見える小さなセラミックCは、グランド側を結んでいるものです |
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この時代の設計は、全体的にゲインに余裕がない印象があります…供給電圧が低いと顕著に影響が出ます
13.5Vで使用することがスペックを満足させるために必要なようです(この時代の無線機は、いずれも基準動作電圧という表記があり、無視できません)
ここに気づくまで、12Vで動作をさせていて、今少しゲイン不足とか、動作不安定さに悩まされました(丸半日棒に振ったかも!?)
13.5Vの印加で、送信出力4W 定格5Wをやや下回りますが、ここはこれでOKとします
受信感度は、5KHzデビエーション 1μV入力で、S/N26db
SQのオープンには、−12〜3db程度の信号強度が必要でしたが、多分発売当時のスペックとニアリーイコールだと思います |