GONSET G-66B

私の生まれと同じ頃の(50年代)、世界を圧巻していたUSの良き時代の製品のひとつ
フロントパネルは、165H × 120H とコンパクト
BC帯を含む1.8MHz帯 〜 28MHz帯の6バンドを受信、構成は、高一中二のダブル・スーパー方式です
ただし、単一の周波数範囲を発振/可変するVFOと水晶発振子を使ったコリンズ・タイプのヘテロダイン方式ではなく、2050KHzの第一中間周波数に直接変換できるように可変する発振周波数をバンドごとに切り替え、選択度を稼ぐため、265KHzの第二中間周波数に変換して検波する方式で、日頃なじみあるコリンズ・タイプのダブル・スーパー方式とは異なります
高名なUS.Nationl HRO や、国産ではDELICA(今は廃業した三田無線研究所)のプラグインコンバータ(1500KHz出力)が採用していた方式と言えば、おわかりいただける方もあるかと思います
本機は、プラグインの部分をバンドSWで切り替えるようになったもので、車載に適したように非常にコンパクトに作られております
コイル群も小型化されていますから、HROのようなHighQなコイル設計は期待できません
が、DC6/12V、あるいはAC117Vで運用できる電源パックが用意されるなど、多方面での運用が可能な設計がなされています
Hallicrafters でも、同様の構成が採用された受信機SXシリーズがあります(第一中間周波数1650Kz、第二中間周波数50KHz台)

手前が本体(右はフロントパネル)
電源アダプタ部は、長いボルト2本で本体に固定
背面端子には+B電圧が出ていますので要注意
電源アダプタ部にはスピーカーが内蔵されています
ACコネクタのツバは、取り外さないと電源部を
ケースに収めると差し込めなくなります!
大きく分解したところです
まずは電源の動作をきちんと確認するところからのスタートです
ここでも使ってある12P角形ジョンソンコネクタ、昨今意外と入手しづらい状況があります
また、国内で入手したコネクタにあるピン番号と、G−66Bの回路図にあるピン番号が左右反対です(SWAN、National、Drake、GALAXYも、きっとUS全て!)
これは気をつけないと、本体を壊してしまいますので要注意です(コネクタにあるピン番号に頼らず、回路図で実体を確認しながら電源配線を行う必要があります)
12P角形ジョンソンコネクタを採用のUSのマシンを使おうとするときは、要注意です
写真の電源ケーブルは、自作したものです(本体に付属していませんでした)
電源アダプタ部(Model 3069)には、スピーカーも内蔵されています
またDC対応・・・チョッパー(バイブレータ)方式のDC−DCが組み込まれていますが、とりあえず今回は、AC仕様で進めていきます
意外と(思う以上に)コンパクトです
スケールは、36cmのものです
フロントから見て、右サイドを写したものです
AF出力トランスからパラフィンのようなものが熱で溶け出し周囲を汚していますが、動作には問題はなさそうです
ご覧のように3連のVC容量が大きい・・・バンドスプレッド用のVCはありません
ハイバンドは直列にCを入れることで可変容量範囲を制限させています(上手く考えています)
小容量のタイトVCは、BFOピッチ可変用です
こちらは、左サイドを写したものです
コイルパックの上に見える水晶発振子は、第一中間周波数から第二中間周波数に変換をするためのものです
フロントパネル下に見える小型のVC(つまみ付き)は、ダイヤル周波数補正用のものです
アンテナ接続は、カーラジオのアンテナ接続コネクタと同じものを採用、BC帯用に専用のレセプタクルの用意があります
隣に見える外部イヤホン端子(ハイ・インピーダンス)は通常のφ6ジャックです
外部スピーカーの接続は、電源アダプタ部に端子の用意があります(端子お隣は、+B電圧!)
底面を写したものです
下側がコイルパック(シールド)部の裏面になります
その奥(右)に見えるのがアンテナトリマVCで、その後ろ(右)にアンテナ接続端子が配置されています
ここに見えるVRは、Sメータゼロ点調整用のものです
フロントパネル上部に見えているのはBFOピッチ調整VCです
下向きにつまみの付いているタイトVCは、ダイヤル周波数補正用のものです
ご覧のようにAF/RF利得調整は、1軸の2連VRです(SSB/CW受信については後述)
本体は、突起物を除き、ここに写っている面のサイズで 225 x 165 と、非常にコンパクトです
メカの補修/清掃
バンド表示切替、あるいはダイヤル・スケール(周波数表示)については、糸かけ機構が採用されています
その位置調整や、ダイヤル機構についてはバーニア機構が併用されているので、こちらもメンテが必要です
入手した状態では、バーニア機構の油脂が固まっていて、バリコンが回りませんでした
また、回転して各バンドを表示・展開する機構(左写真は14MHz帯を受信する位置)の表示位置がずれていました
Sメータは、レトロ! いや当時は最新かも!?
受信ダイヤル機構です
長いシャフトが選局ダイヤルで、バーニア機構を使って減速してギアを経由、
 1.バリコンを駆動します
 2.バリコンと同軸で、大きな円周のドラムを回し
   ダイヤルの指針(カーソル)を動かします
下に見える小型のタイトバリコンは、BFOの周波数調整用のものです
電源のエージングを済ませたところで、個々の動作確認まで手が回っていません
AFのわずかなノイズが出る、音量調整で変化する、まだここまでのチェックです(2014.05)

あれから、もう1年・・・時の経つのは早いもので、ここで改めて点検調整をスタートしました(2015.05)

整流器はセレンです!(2個の青い物体)
電源部に内蔵のスピーカーが見えます
メカ・VRのクリーニング・注油からの再スタートです
ダイヤル・メカに続き、メカ的要素のトラブルの最後は、BFO可変VCのローターとステータの接触・・・変形が原因でしたが、ビートがかからないはずです
本機のシャーシとアース間で電撃を受けました! 
とりあえずは、ACコンセントを逆に差し替えました
AC一次側にあるCのリークと思われます、何とかしなくては!

電源部はご覧のようにドッキング方式
一通りの動作をすることが確認できましたので、調整を開始しました
IFTの調整は、すぐに出来ましたので、SSGをつないで、OSCの周波数から本格にトラッキング調整をスタートです
14MHz帯のダイヤル展開が、今一歩の感はありますが、ほぼ完璧に調整が出来ました(14MHz帯に関しては、先オーナーが何かしでかした跡があります)
データでご紹介すると
7.150MHzで、S/N10dbを得るのに
  1.AM 400Hz30%変調 1.2μV
  2.SSB/CW 0.2μV
このクラスの受信機としては、どちらかというと信じがたい数字です(スペック上は、AM 1.5μVです)
実際に7MHz帯SSBを受信しても十分実用になります
周波数安定度もそこそこ実用範囲!ダイヤルから手を離してラグチュウをワッチできます
もちろん適当な?ドリフトは生じますが、QSOが聞き取れなくなるような変動はありません
フィルタが無いおかげで?良い音質で受信が出来ます
このSSB/CW受信については、AGCはOFFでレベル合わせは手動・・・AF/RF利得VRにひと工夫があって、AF音量を上げる方向(時計方向)に回すことでRF感度も上がるように動作/マニュアル受信に、この手の連動があった!!
感度測定には、AF/RFとも最大ゲインで臨まないといけない、ということになります

上部の多くの穴が空いて見えるシールド部が
コイルパック部分 =ここが調整のメインに=
毎回驚かされるのが、基本的な性能は、半世紀前のものと、最新のものとに大差がないと言うことです
AM受信機にBFOだけ追加されたようなこの受信機であっても(プロダクト検波の採用のない受信機であっても)、それなりにSSB受信に耐えます
抑圧・ノイズにどれだけ強い、音質がどうこうではなく、シンプルに通信が聞き取れるかどうかですが・・・
ダブル・コンバージョンとはいえ、IF2050KHzですから、局発はかなり高い周波数を一発発振しています(写真にあるように3連VCで・・・想像して下さいませ)が、それなりに安定しているものですからオドロキです
余談ながら
本機のB電圧は、最大でも220Vと、一般から見て低めの電圧で設計してあります
そのせいでしょうか、真空管の劣化はほとんど無いように見受けられます
250V以上かけて使うような設計にしないことも、真空管寿命を延ばすことにつながりそうです
2015.05  JA4FUQ

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