JRC JST-145D
1990年代中頃からから2000年代初頭まで、日本無線より発売されたものです
発売時の価格は、¥275,000でした
上位に、JST-245Dという、アンテナ・チューナーを内蔵し、オプションのフィルタもいくらか(BWC用)標準装備し、50MHz帯もカバーする兄貴分がありました(こちらは、¥330,000でした)
本機は、HF帯専用で、アンテナ・チューナーが必要な場合は、外付けのオプションの用意がありました
フィルタ類に関しては最低のものしか装備がありません、残りはオプションです
市場に出回ったのは、兄貴分というかオプションの少ない(実装されたものが多い)というかJST-245Dのほうが多かったのではないかと思われます
これらは、JRC最後のアマチュア無線向け商品かと思います
船舶無線が衛星電話化され、CWも使われることのなくなった現在、JRCとしても製品ラインアップを大きく変更せざるを得ない状態になったといえます(同じ無線でも、アナログ技術分野から、デジタル技術分野へ・・・いわゆるIT系に移行)

大型のLCDディスプレイが目につくデザインです
リアパネルです
空冷ファンは、電源部を冷却するためのもの
232cは標準で装備

本機は、
1.8MHz〜WARCバンドを含む28MHzバンドまでカバーする、AC電源内蔵の出力100Wのトランシーバです
モードは、SSB、CW、A3H、AFSK、FMに対応
100KHz〜30MHzをゼネカバ受信できます
受信は、アップコンバージョンタイプのクアドラプル・スーパー・ヘテロダイン方式(第一IF:70.455MHz、第二IF:9.455MHz、第三IF:455KHz、第四IF:97KHzです(FMは、トリプル・スーパー・ヘテロダイン)
DSP処理採用直前のアナログ方式採用の最後の設計と言ってよさそうです
回路全体で見て、いわゆる業務用系の匂いがします
もっとも特徴的なのは、送信ファイナル回路
SEPPが採用されています
通常は、PPがほとんどでしょう
DDSについても、最小2Hzの分解能をもつ低フェーズノイズといもので、送信時の帯域内スプリアスや混変調ぽい受信時の影響が少ないことが期待できます

意外と小型軽量です
巾350 x 高さ130 x 奥行305mm  重量:約12Kg
JRC最後のトランシーバを入手しようかと手に入れたもので、オプションとか50MHz帯に興味はないもので、シンプルな本機としました

上蓋(上ケース)を開いた状態です
黒いヒートシンクは、ファイナル部
ファン2個で強制空冷される仕組みです
右のシールド・ケースの中は、LPF部
左は、電源部
こちらにも強制空冷のファンが1個用意されています
こうしてここだけを見ると、極めてシンプルに見えます
シャーシ上面
ファイナル部・LPF部を持ち上げた下にある基板です
TX/RXユニットと称されているものです
IFフィルタは、基本(最低?)のものしか装着がありません
送信モニタ・ユニットも、オプションです(JST-245も)

CPUユニットは、フロントパネル裏、下シールドの中です
下蓋(下ケース)を開いた状態です
シンセサイザー・ユニットと称されているものです
本機ですが、例えばJST-135のような、ここまでのJRC製品によく見られたマザーボードにユニット基板を立てる方式ではありません
基板右は、電源部です
RF系ですが、都合2枚の基板でエキサイター完成という形です

ケース・外観以外、内部に錆びほか異常は見当たりません
年期のわりに、保存状態は非常にいいものでした

さて、最後はお決まりのスペック紹介
まず受信感度
 SSB  0.2μV  S/N 10db 
 AM   0.7μV  S/N 10db(これは優秀かと)
14.200MHzでこのような値でした

送信パワーについて
 各アマチュアバンドにおいて、110Wでほとんど変わらず

いずれも、オリジナル・スペックは、十分に満足しています  
アンテナをつないだ第一印象は「静か」です 
 2023.11   JA4FUQ

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