再び  Collins KWM−1
SSBの歴史を語るには欠かせない、世界初のSSB/CWトランシーバです
時を超えて、再び本機を手にすることが出来ました
もちろん一度手放したものとは、別のものです
USから取り寄せて、オリジナルどおり稼働するまで自分で直したというOMさんからQSYいただきました
なにやら、7MHzモバイル用に改造がしてあったとか
確かにその痕跡は残っていますし、付いてきたマイクロホンはMM-1でした
雑誌記事ほか、バインダ1冊に収まった関連資料も、合わせてQSYいただきました、貴重な情報源です
本体と純正電源516F-1 シリアルはいずれも100番台、すなわち初期モデル、そしてMM-1です
KWS−1と共に、音の良さが高く評価された3.1KHz幅という帯域幅を持つフィルタを採用

KWM-2以降、帯域幅が2.1KHzとなり、当時は音が悪くなったと言われたようですが、2.1KHz幅であれだけの音質が得られた言うところに、Collins社の持つ技術の素晴らしさがあったと思います
上蓋を開けるとこのような景色です
アルミ・シャーシは、どのものを見ても時の流れを超えて綺麗です
まずは、お決まりの清掃と、メカチェックから
直前までQSOに使われていたもので、実稼働は確認済みなのですが、自分なりにメンテを開始

メインダイヤル「赤」の色落ちだけはどうしようもありません、拭けば消えます!
お得意のPTOを採用(70K-1/クラップ型)
メカフィルは、455KHz 帯域幅3.1KHzです
放熱に配慮した真空管用シールド・ケースが多用されています
今では貴重なものです

この写真で、中にある「ひだ」が分かると思います
終段タンク回路は、バリL採用のπ-L型です
RFシールド・ケースに大きな穴が開けられています
大型のセラミック・トリマが見えています
これが、7MHz帯に改造した痕跡です
各セクション毎に、スライドSWを取り付け、ピアノ線でつないで、フロントパネルから切替が出来るようにしてあります(押すか引くか)
なかなかの力作ですが、OMの手で、オリジナルの13〜30MHzカバーに調整されて(戻されて)いました
高周波を扱う上での基本の一つ、不要な結合を防ぐ手段として、シールド板を採用します
本機の真空管ソケット、メカニカルフィルタ回りのシールドの様子です、さすがにきっちり押さえてあります

真空管ソケット2つともシールド板が取り付いてます

下部分の短い辺が、メカフィル入出力のシールド役
WARCバンド対応、です
OMの手で、このようなバンド構成になっていました

スピーカーも、薄型のものが上部パネル(開くことの出来る上蓋)に取り付けられていますので、こちらの一式でオペレートが可能となっています


右端下あたりに赤く見えているのがダイオード
オシリが見えているVRは、バイアス調整用
516F-1  左写真は上カバーを外した状態、右写真はシャーシ下を撮しています
高圧平滑コンデンサは、オイルコンデンサ、整流は、もちろん真空管で、チョーク・インプットです
バイアス電圧の整流のみ、ダイオードが採用されています(シャーシに固定/一見、セレン整流器みたい)
2017.03  JA4FUQ


Collins KWM−1 その後
お譲りした先の方から写真が添付されたMailが届きました
なんと、こちら(千葉県立現代産業科学館)で見ることができるそうです
URL: https://www.chiba-muse.or.jp/SCIENCE/index.html
2014.11.08 〜 2015.01.12 まで開催中の企画展/真空管展の中で展示がしてあるそうです
ご興味のある方、お近くの方はぜひこちらの館長さん(本物!)を訪ねてみてください
きっと、お話しに花が咲くことかと思います
もうQSYしてから何年経つでしょう
10年どころではありません・・・
大事に保管していただいていたようで、その後の劣化は送っていただいた写真からは感じません

最近のデジタル機の50年先ですが、果たしてこのような姿で存在できるでしょうか?
本品は、1958年生まれの現在御年56歳です
いただいた写真によると、真空管そのものや、管球式の無線機などの展示がなされているようです
「一つの時代を築いた製品たち」
と言うサブタイトルが付いています

千葉県の真空管産業
日立製作所茂原工場では、1964年(昭和39年)には、全国の真空管生産量の1/4を占める
そんな歴史が、この千葉の地にあるようです
しかしその前身が、理研真空工業とは知りませんでした
2014.11  JA4FUQ


Collins SSB/CWトランシーバー
世界最初のSSBトランシーバー KWM-1

その昔「泣く子も黙る」と言われたコリンズ社製
HF(13〜30MHz)トランシーバ 

KWM-1

 50年代後半の製品(1958年製)で、私の生まれとそう大差ない! 今でも完動します

 当時このトランシーバを買うお金でキャデラックが買えたとか!?

 下記の、KWS-1/75A4のあとに発売された世界で初めてのSSBトランシーバー(一体型送受信機)です

 1バンド100KHzで、VFOは、PTO バンド切替は、パネル左上の水晶切替によります
 ドライブ調整は、スラグチューン、ファイナルのプレート/ロード調整は、πL型

 その作りようは、このあとに発売されたKWM−2以上に立て込んだもので、良くもまぁここまでと感心します

 電気的/機械的に当時のお手本とされたマシンです

 

              
 さすが、金属部はアルミでとても綺麗、それも硬質・高品位なアルミニウムで、シャーシからケースに至るまで全て
 Collins十八番のPTOが中央に見えます
 そして、同じくお得意のスラグチューン機構が、その左手に見えます
 左下のアルミBOXは、水晶切替ユニットで、ここに装着した水晶で使用バンドが決まります
 3.1Khzメカフィルは、左上のIFTの右上、楕円状の板で押さえられています(9PのMTソケットに装着)
 KWM-2では、ファイナルケースに収まっているドライブ段6CL6は、本機ではケースの外(PTOの上、シールドケース入り)に配置されています
 当時の電源(516F-1)/パワー計・フォーンパッチアダプタつきのコンソール(312B-2)/スタンドマイク(SM-2)一式、純正がそろっている貴重ものでもあるでしょう
 大事にしてもらえそうな方が現れたので、ついに嫁に出しました(老後の楽しみにしようと、ずっと手元に置いていたのですが、涙をのんで!)
資料提供:JA4FUQ

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