Create Design社 RF-GENERATOR アマチュア向け改造実験
13.56MHz高周波電源 → 3.5 〜 28MHz帯リニア・アンプ

TR 2SC2652 → MosFET SD4933

完成形 外付けLPFとセットです
縁あって入手していました
あのアンテナでおなじみのクリエートデザイン社製の高周波電源です
いつかは・・・と、数年手元に置いてありました
作りはとてもしっかりしています(電源内蔵で、500W連続稼働仕様)

オリジナルのままで(13.56MHzの定数で、ドライバアンプの入力にATTで減衰させた)14MHz帯の出力を入力して試験すると、そこそこの性能
・パワーゲイン
・リニアリティ
が得られることが分かりました

半導体リニア・アンプに手を付けるのは初めて
良い教材かと思い、オールバンド化(ICOMバンド情報で自動切替)を目標にスタートしました
当初は、数W〜10Wクラスエキサイタのための簡易200Wアンプにと思っていましたが、意外と実用になりそうと言うことで、少し本気になりました!?(できるところまで実験を進めようと思いました!)
ファイナルアンプは、2SC2652 x2 このものを2組使っての合成です
アマチュア業界で言えば、八重洲 FL−7000  アイコム IC−2KL リニア・アンプと同様の構成です
13.56MHzの水晶発振回路と、ドライバ回路がその前に入っています
ドライバ回路の入力では5mWもあれば、フルパワーがでますが、リニアリティはイマイチ
エキサイタから最大20W程度で、直接ファイナルアンプをドライブするようにしました
まずは、28MHz帯という元の設計より高い周波数での安定動作
そして、各バンドに必要なフィルタ(LPF)を、切替を含めてどうするか・・・が、今回のテーマとなりました
ケース背面というか、外部とのやりとりはこんな感じ
このようなバラックでも、動作に問題はないようです

RF系の切替は、手持ちの同軸リレーを2個繋いで行いました(スルー回路は、変換コネクタでリレーどうしを直結!)

バンドフィルタ(LPF)は、自作しようと思って「トロイダル・コア活用百科」も購入したのですが、手を抜いて?AMERITRONの製品(ARF−1000)を入手し、RF回路の途中に入れました(本体横から、同軸ケーブルと、制御ケーブルを出し入れしています!)

左に見える「白いもの」は、モーターにも使える調光ユニットです
コンバイナ(出力の合成)以降については、フィルタ部分を除きオリジナルのままです
元のπ型フィルタのところを外に取り出して、そこにARF−1000を接続しました
電源/制御部(保護回路など)もオリジナルのままです(ドライバーアンプは取り外しました)
元の状態では、出力フィルタは、π型1段と貧弱・・・そして、21MHz以上で、それ以下のバンド出力の半分程度しか得られませんでした(電流だけは流れる!)
RFアンプ部の定数(C)については、FL−7000等を参考に変更しました(全て計測して決めたわけではありません、この横着の結果が、そこそこOKでした)
ADF−1000は、14MHz以下については、何も問題はなかったのですが、21MHz/28Mhz帯についてはカットオフ周波数が低めにでて、パワーがロスすることが分かりましたので、Cのみ変更してカットオフ周波数を持ち上げました
リニアリティ(適正ドライブ)チェックは、TwoTone信号の波形を見て決めます
空冷:オリジナルのままでは排気側でも「もの」が飛んでいくくらいの勢い、また送風音も大変大きい強力な仕組みでしたので、モーターにも使える調光ユニットを途中に入れて調整が利くようにしました(元々は連続仕様ですから、強制空冷が強力なのは当たり前かも)
緑色をした蛇の目基板が、今回のミソのひとつです
AVRを使って、ICOMバンド情報(電圧情報)から対応するリレーを駆動し、さらにARF−1000のバンド切替リレーを駆動します

スタンバイは、同軸リレーを駆動するのみ(出力側はAC100V駆動、動作音が大きい!)
フロントにある、オペレーションスイッチにあるLEDの点灯電圧を横取りして、無線機本体からのスタンバイ信号と組み合わせて(ANDで)使用しました
こうすることで、元々持っている保護回路が働くとLEDが消灯、強制的に受信状態になります

ご覧のように、電源とRF部が、体積を2分です(基板の下は電源部)
蛇の目基板の右は、オリジナルの水晶発振/制御基板です
TwoTone波形/ダミーロード負荷
14MHz帯 フルパワー時(500W:ドライブ20W程度)

各バンド出力について大きく変わりませんが、やはり28MHz帯においては、ローバンドに比べ30%位のパワーダウンが認められます(波形の頭がつぶれない範囲、流れる電流も減少)

各バンドで、最大パワーで使用することを求めるには、調整あるいは定数の変更などまだまだ改善点があるのかも知れませんが、当初の目的どおり軽く使うのであれば、これで十分そうに思われます
3.5〜28MHz帯において、バンド切替操作を要しないパワーアンプの完成です(10MHz帯を除く/756PROVにその出力がない! 1.8MHz帯もバンド切り替えだけはできますが、今度はアンプ能力が追いつかない!)
現状のままでは、CWブレークインなどには同軸リレーがうるさくて不向きですが、SSB運用なら実用になります
パワーゲインの違いなどで、各バンドごとにドライブパワーの調整は必要ですが(オーバードライブ防止のALCなど考慮していません)、そこはアマチュア無線で、日頃からこれらの操作は必須で何とも思っていませんので、ここはスルーです
入力インピーダンスマッチについては、無線機本体のアンテナチューナのお世話になることでクリアします
2013.10.08
       
TR → FET その結果は? 
色々遊んでいる?うちに、TR 2SC2652 1本を飛ばしてしまいました
帰還容量など変更して遊んでいたときに、寄生振動?を起こしたようです(28MHz帯で)
入手しずらいTRでもあるし、また別の興味からMosFETに挑戦をしてみようと、材料集めをスタートしました(パワーMosFET以外は、手持ち品を流用)
50V動作で、出力回路に変更がなく使えそうなものということで、SD4933をチョイスしました
壊すのを前提に、使おうとする数の2倍の数を用意しました(実験ですから、壊すのは当たり前!?)
少なくても、TRよりは真空管に近い動作をするFETですから、我々にとっては扱いやすいかな?という期待があります
SD4933 
2SC2652よりサイズは一回り大きく、見た目からも少し余裕を感じます(Pc300W→Pd648W)
TR部基板の穴を大きく広げ、ヒートシンク取り付け用ビスのタップを開け直します

出力回路はTR時代のままで、入力回路(バイアスも含む)のみ、変更しました
取り外した部品の方が多い?
左写真のとおり、回路的には、ずいぶんシンプルです
帰還もかけていません

バイアス調整は個々に調整できるようにしましたが、FETの温度によって、アイドル電流はかなり変化します
本来、ここには温度補償が必要と思われます
このシンプルな回路(基板1枚)で300W以上の出力が出ました

このあと出力合成(コンバイナ)をつないで、アレッ出力が「0」、電流は流れているのに???
基板を片方ずつ動かせば、ちゃんとパワーが出る???
もしや・・・
その予想通り、位相が反転していました!(打ち消し)
片側の入力トランスの接続を入れ替えて、解決!
その前に、コンバイナの基板を外して見直しをしてしまいました!!
予備実験開始直後、バイアス回路をどうしようかと遊んでいたら、パシッという小さな音と、セラミック封じの中に青い閃光が走って、FET2本を昇天させてしまいました
一瞬の出来事・・・物の本に書いてあるとおりです
ここでは、バイアスはMax3.3Vで十分と言うことが分かりましたので、3端子REGと個々に半固定VRを用意しました

温度変化が少しでも小さくなるように、スタンバイ(非送信)時はバイアスをかけないように(アイドル電流を流さないように)スタンバイ回路を追加しました(TR時は、入出力の切り替えだけだった!)

ツートーン波形は、非常にきれい 
パワーも約30%アップしました

左写真は、ダミー負荷、21MHz帯で出力650W(最大時:入力は約10W) コンバイナで先の基板2枚の出力を合成した最終出力の波形です
ドライブ電力もTR時の半分程度と少なく、効率も良く、その分発熱も小さいと、今のところ良いことずくめです

LPF手動切替を活かせば
〜5W QRP → 200WのアンプとしてGOOD!
初代tArgonautで、ON-AIRしようかなぁ
いくら実験用装置だとは言っても、あちこちのものが引っかかるような構造では、どこにでもは置けないと言うことで、入出力系を中心に少し整理しました(切替リレーも、出力側を真空リレーにして動作音の低減を図りました)

上に乗っかっているのは、AMERITRON LPFユニット
このものへの接続は、直だしの同軸ケーブルと制御線(フラットケーブル)
ダミーロードへの出力も、直だしとしました
リアパネルの同軸は、RF入力側です
その下は、AC200V入力

TR → FET
個人的には、FETが正解かなと思います
入手も楽だし、素子の使い勝手は、予想通り真空管的です(ただし、実践事例は、少ないかも)
思った以上に簡易な回路構成で、トラブルなくそこそこ実用的なレベルまで到達しました
能力的には、今回の構成で1KW出力も可能そうな素子ですが、ここでご紹介のように、軽く作る?分には(元々500Wの高周波電源スタートです!)、少なくともTRよりは簡単というか、バイアスだけ気をつければ、あとは大きな障害はないように思います
もし(古い)TR式のアンプが壊れて、素子の入手が困難とか言うケースには、こちらの策(FET化)もありかと!
CWフル・ブレークインなどで実用するには、バイアス電圧の立ち上がりを早くするなど工夫が必要になるかもしれません


今回の取り組みは、真空管世代の私にとっては貴重な実験(体験)となりました
2014.01.06  JA4FUQ

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