STAR SR-550
1965年に販売されたもので、発売当時の定価は、¥39,000でした
同様のデザインで、SR-500Xとしてキットがあったように記憶しています
こちらは、55KHzの可変フィルタのない、シングルスーパーヘテロダイン方式でした

純正の外部スピーカー、(例えばSP-5とかSP-500等)いうものは用意されていなかったと思います
記憶では、SR-700用のSP-7しかなかったように思います
そのSP-7と一緒に写してみました

本機は、MT管11球(内スタビロ1本、整流はシリコンダイオード)を使用した、1st IF 1.650MHz 2nd IF 55KHz のダブルスーパーヘテロダイン方式です
コリンズタイプではありません、ハリクラフターズのパクリかと・・・
可変(選択)できるIF帯域、プロダクト検波を採用、1.8MHz 〜 54MHzと7バンドをカバーします
同社製 ST-333という送信機(AM/CW)の仕様にマッチします

受信範囲
1.8 − 2.0MHz
3.5 − 4.0MHz
7.0 − 7.5MHz
14.0 − 14.5MHz
21.0 − 21.5MHz
28.0 − 30.0MHz
50.0 − 54.0MHz

選択度
 以下の4段階の切替が可能
    0.5KHz 1.2KHz 2.5KHz 4KHz

感度
 HF帯
   2μV入力時S/N 10db以上(AM 30%変調時)
   1μV入力 信号ON/OFF S/N10db以上(SSB/CW)
 50MHz帯
   5μV入力時S/N 10db以上(AM 30%変調時)
   2μV入力 信号ON/OFF S/N10db以上(SSB/CW)

標準で3.5MHzマーカーの用意があります
フロントパネル中央部分のアップ
一目で「STAR」製品と分かるデザインです
同様のデザインで、SR-500Xというキットがあったように記憶しています

SR-550は、完成品だけの販売だったと思います

シャーシ下の様子

整然・・・とは、言えないですね
それでもメーカー完成品です
シャーシはアルミニウム製です
上写真の右側
方向を90度変えて写していますが、BFO部です
右のフロントパネルから、リアに配されている発振コイルのダストトコアを直接回して周波数を可変します
シャーシ上面 リアから
背面に用意されている端子は
アンテナ端子(M型レセプタクルとワイヤーアンテナ用)
外部スピーカー接続端子
スタンバイ端子
調整VRは、Sメーターのゼロ点調整用

極めてシンプルです
照明は、3ヵ所からこんな感じ
ダイヤル両端と、中央のメーターの裏にランプが配されています
VCが二つ見えています
上に見える小型のものは、ダイヤル校正用のものですダイヤルは、お決まりの糸掛け方式です
1650KHzの第一IFから55KHzの第二IFへの変換は、自励発振です(縦に二つ見えているIFTの下側がOSCコイル)
シャーシ上面 

手前右端にマーカー用3.500MHzクリスタルが見えます
ヒューズホルダも旧式ですね
シャーシ上面 もう片方のサイドから

シールドBOXは、55KHz可変フィルタ部
手前は、検波からオーディオ出力です
こちらが、今回一番の問題を抱えていたRF部です
フロントパネルとリアパネルの間のレールは取り外し写しています
写真右がアンテナ入力コイル群
中間がRF増幅部のプレート側同調コイル群
左が、OSCコイル群です
奥に見えるVCは、RF部の同調用です
両端が使用されており、中はいわばシールド(壁)です

まずフロントパネルの清掃が大変でした
たばこによる燻製状態だったと思われます
フロントパネルに配されたスライドSW接点の接触が、なかなか改善されません
バンドSWなどシャーシ下にあるものは、そこまで酷くはありませんでした

決定的だったトラブルは、7MHz帯RF同調回路と50MHz帯ANT同調コイルの2つの配線が、バンドSWの端子から外れていたこと
7MHz帯については、シャーシあるいはどこかを突っつくと感度が大きく変わる・・・接触不良を疑ってアースベロほかビスの締め直しを行いましたが改善されません
怪しい半田箇所もつけ直してみましたが、改善しません
最終的に分かった原因は、なんとバンドSW端子に同調コイルへの配線がきちんと半田付けされていなかった!!
50MHz帯は、OSCが発振していないのかと思えるくらいSSG信号が受信できませんでした(思わずカウンターを用意して、OSC発振を確認しました)
いずれも、目視では異常には見えない状態で、ピンセットで配線をつまんでチェックして見つけました
なぜこうなったのかは???です
半田付けのやり辛いこと、この上ありませんでした

最終的に得られた受信感度について
いずれもS/N 10dBが得られる条件です
SSB 信号ON/OFF AM 30%変調 ON/OFF
 7.10MHz 0.5μV 2μV
14.15MHz 0.5μV 2μV
21.20MHz 0.5μV 2μV
51.00MHz 1μV 5μV
AMについては、仕様通り
SSBについては、仕様以上の感度が得られました
ただし50MHz帯について、SSBは実用レベルとは言えません
RFチューンを取るだけで周波数が動きます
上記の感度表記は、信号が聞こえるかどうかというレベルでの値で、ちゃんと復調できるかどうかは別のお話です
この製品の発売当時、50MHz帯でSSBの電波を出す方は、ほぼほぼ「0」だったと思います
7〜21MHz帯については、SSBもなんとか実用になります
RFゲイン調整は微妙です(回路的にも)
55KHzの可変フィルタは、それなりに機能しています

余談ながら SR-500Xについて
資料が出てきました
その資料によると、基本モデル(IF:1650KHz シングル・スーパー・ヘテロダイン方式)に対し、多くのオプションというか追加回路の用意があったことが分かります
ベースモデルであるキットには、真空管は含まれていません
SR-550では標準装備である1.8〜2.0MHzは、オプション設定ですし、マーカー・クリスタルの用意もありません(発振回路もない)
IFフィルタについては、クリスタル2個によるハーフラティス方式の採用で可変帯域(0.5〜10KHz)となっています

追加回路・部品・キットについて 7球から13球へ、というコメントが記してあります
・SR-550と同様になる、IF:55KHzダブル・コンバージョン・キット
・IF:455KHzダブル・コンバージョン・キット(メカフィルなどの利用を可能にします)
・100KHzクリスタル・キャリブレータ・キット
・500KHzクリスタル・キャリブレータ・キット
・160mバンド(1.8〜2.0MHz)・コイル・キット
・5MHzJJY受信用コイル・キット
・10MHzJJY受信用コイル・キット
    バンド切替SWは、7バンド この範囲内での選択です
・バンドパス用1651KHzクリスタル
・バンドパス用1652KHzクリスタル
・高級脚(SR-600と同じもの)
とまあ、なかなかの用意です
キットというより自分の好みの受信機に仕上げることが可能なモデル・・・型式最後の「X」に持たせたであろう可能性を感じます
現在入手できるとしたら中古・・・その中身は、ユーザーご自身のコメントがない限り、現物を手にしてみないと分からないということになりそうです
 2022.05   JA4FUQ

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