Youkits Technolgy社  TJ4A Kit
カナダ Youkits Technology社製
最新デジタル技術でもってキット化されたHFトランシーバー

・3.5/7/14/21MHz の4バンド
・SSB/CW(エレキーチップ内蔵)/AM(受信のみ)
・RF出力 20W
これが公称スペックで、完成すれば、左写真のようになるはず・・・
 キットの梱包を開けると、このような部品の山が・・・
 ユニットで完成しているのは、表示LCDユニット(左下)くらいのもの
 トロイダルコアも巻かなくてはなりません(ホルマル線が見えてます)
 青のビニル袋の中身は、ビス類です
 右下端っこに見えるのはチップ部品・・・ここまで半田付けを要求されます
 老眼にはキツイかも!?
 昔のヒースキット以上にバラバラ・・・ その上、組立説明書はWEBにあるものが全て
 ある程度回路を理解し、部品を確かめながらピッキングして組み立てないといけないところもあります
 また写真と異なる同等品が入っているものもあります
 このままでは、初心者には難しいかも・・・
 パーツに変更が無ければ、使用パーツを基板ごとに分類し、写真を中心に組立説明書を整備することで、万人向けになるようには思います
 デジタル化のおかげで調整箇所はありません
 その点はとても楽そうですが(組立前の想像!)、組立そのもの・・・まずパーツのピッキングから少々苦労します
 いずれにしても、ひとつずつ正確にピッキングして半田付けする必要があります
ケース及び、送信ファイナル部を取り付けるヒートシンク兼用L型金具(白く見えるアルミ板)

左中のパネルは、電池収納部との仕切り用です(電線を通す穴が空いています)
こちらが基板すべて
右上のDDSボードは、ほとんど完成した形で用意されています
チップ部品(C/R/L)、X’tal、液晶パネル輝度調整VR、接続コネクタの半田付けとトロダイル・トランス1個の線巻き+半田付けが残されています
右下の台紙は、キースイッチ用
左下のメインボードの半田付けでは、特に下面に取り付けるTr・FETほか小型パーツが多く、これは大変な作業です
それ以外の半田付けは一般のキットと大差ありません
部品の選択さえ間違わなければOKかと・・・
以下、組立中ほかレポート
キットとして、半田付けの機会を一杯用意してくれています
チップ部品など、わざわざ手で半田付けする部分が残してあります
0.5mm以下の半田と、こて先の細い半田ごても必要です
組み立て(半田付け・トロイダルトランスの線巻き中心)以外、調整などはほとんどありません

キットとして、多くの方に買っていただくためにイマイチ問題(解決した方が良い)と思われることについて

■部品リスト
組み立てることを主眼においたキットという事から、
部品のチェックリストが無い・・・せめて基板単位にでも部品が整理してあればいいのですが、抵抗・コンデンサのように種類を分けただけで、がさっと袋に収まっているため、組立を進めて最後に過不足が分かるような状況になりがちです
途中から、基板別に部品を仕分けして組み立てました
その仕分けにおいても、RFCか抵抗か見分けに悩んだり・・・今の梱包状態であるなら、結局テスターなりLCRメーターを使って部品を確認しながらの組み立て(部品選択)になります
このあたりは、旧ヒースキットのマニュアル/パーツリストを見習うべきです

■過不足
海外製品ならあって当然くらいに思っていますが、やはり・・・抵抗・スペーサーなど、入手に困るようなようなものはありませんでした

■組立説明(の不備)
説明・写真とは異なる形状の部品・アッセンブリもありました
何処にも説明がないこと・・・例えば、マイクジャックとメイン基板コネクタの接続先が書いてありません
全体の回路図を見ると、分かる・・・というように組立説明書だけでは分からない事もあります
半田付けをする前の時間が結構かかります(ある程度の広い作業スペースが必要)

■物理的精度
基板を穴に合わせて歪めて取り付ける・・・フロントパネルとメイン基板(スピーカー端子など直接表に出るジャックがある)の関係など、日本では考えられないような状況もありますが、使える使えないから言えば問題ない!でしょうね
いきなり締め付けたら合わない・・・これは海外製品では良くあることです
取付は、まず仮止めして様子を見ながら行います
それでも手を入れないと解決できないことも・・・取付位置/後述

ある程度の環境と知識(経験)が必要・・・というのが現状のキットです
もう少し整備すると、半田付けさえきっちり出来れば組立OKというキットになるように思います

■調整など組み立て以外のことは後述します
出来上がった性能を確かめる方法・・・簡単に行うには難しいことでしょうが、ここに工夫があると「よし出来た!」と言う判断が当事者に出来るようになるでしょう
使いながら確かめて、成長させる・・・これはまた別な趣味の世界です

メインボード 手前の水晶群はフィルタです
 
メインボード 手前がフロントパネル面

DDSユニットとスイッチユニット
 
ファイナル(パワー)ユニット

フロントパネル背面

フロントパネル 完成形が見えてきました
全体を配線して調整にかかりました
CPU設定部、キャリアポイントなどの調整は問題なくスルー、ところが送受信できません
カウンターで見るとLo信号がありません(出ていません)
DDSユニットの欠品があったところの抵抗1本を付け忘れていました(電源供給なし、動作するはずは
無い!)
これでとりあえず受信は出来るようになりましたが、今度は送信しない(PTTがONしない)
このようなトラブルの場合、回路から追っかける方が手っ取り早い・・・
こちらも欠品だった抵抗2本つの付け忘れでした!
トラブル対処については、ある程度の知識がある方が楽ですというか、部品の取付チェックのやり直し
では大変な時間を要してしまうことになりそうです
そういった意味でも、全体の回路図を付けて欲しいところです(パーツ入手や仕様の変更など多いという
予想でしょうか、それともコピーを嫌ってか、全体を示す回路図は公開されていません)
さて、これで一応の送受信が出来るようになりましたが、ここで何が正しいのか分からないと言うトラブル
?に遭遇です
・消費電流・・・マニュアルには、200mA/受信時とありますが、400mA近く流れています???
・送信・・・13〜20W程度 マニュアル(仕様)は20Wとなっていますので、これはまずOKとしましょう
・バッテリ電圧表示の調整が、規定の回路では100%まで表示させることが出来ません
 こちらは、分圧抵抗を交換して解決しました
・クリスタルフィルタの帯域幅調整も、マニュアル通りの電圧設定では、USB時のキャリア漏れが半端
ではありません
 CRオシレータからマイク端子に信号を入れて、出力特性でフィルタの周波数特性を予想することにし
ました
 これがまたLSB/USBで状況が著しく異なるなど、何を基準に・・・例えば上を1.8Kで切るのか、
2.1Kはたまた2.4Kまで見るのかなど特性が合うところを探すしかないかな状態です(マニュアルの
仕様では2.1KHz)

こういう結果が得られたら、完成度80%でキットとしては100点ですよ、位までのことが分かるチェック
方法を準備することが必要そうに思います(言うは簡単、実際は難しいことかも)

現状で、一応の動作をするところまで来ましたが、まだふたを閉めてしまおうという気にはなっていません
・受信感度が今一歩
  1μV入力で、SN10dbあるかないか ローバンド運用は問題ないレベルかも知れません
  耳で実際に信号を聞いたSNは良いので、
 本来の使用目的・・・BACKPACK TRANSCEIVER
 背中に担いで・・・戦争シーンを思い出しそうですが、移動運用を意識したQRP製品とすれば、これは
これでOKのようにも思います
  マニュアル(仕様)には、受信感度0.3μVとだけ書いてあります
  0.3μVの信号が聞き分けられる・・・と言う意味なら、ぎりぎりセーフです(聴力検査みたい!)
・弱い信号の場合、AFゲインを一杯上げてやってもAF出力が小さい(ヘッドホン運用を意識?)
  シンプルな構成ですから、強い信号は強く、弱い信号は弱く聞こえる・・・これは、仕方ないのかも
・IFフィルタの設定
 上を1.8KHzあたりで切れば、LSB/USBの差は無くなるが、いかにも狭帯域な感じ!
 キャリアサプレッションも良くないし・・・キャリアポイントと合わせもう少し追い込んでみましょう

BFOの出力レベルを下げることと、キャリア周波数とフィルタの特性を調整してみました
消費電流のことが一番気になりますが、こちらはまだ分かりません(解決できていません)
電池運用を考えるとここのところの追求は重要ですが、私の場合は電池運用は考えていません

受信については聞き易さを重視し、プロダクト検波入力レベルを少し下げて(結合を粗にして)、
1.ノイズの軽減
2.大入力(強力信号)で生じやすい歪みを押さえる
感度を犠牲にしても、この方向でとりあえずの終了にしようと思います
その結果、計測上は、1μV(0dBμ)入力時S/N6〜8db程度 −10dBμの信号が聴力検査レベル?
で聞こえると言ったところです(10〜20Wの出力で、応答のある範囲で聞こえれば良い!?)

実際にアンテナをつないで受信したところ、聴感では非常にSNが良く、信号強度が一定以上得られる
と、無線であることを忘れるくらい!?ノイズが気になりません
音色は硬めです(帯域が狭い感じの音)
S5以下の信号の局は呼ぶ気がしない・・・飛びそうにない、こういった判断をすぐにしてしまいそうな
感じです(お分かりになります?この感じ!)

送信出力は、13〜20W程度(高い周波数ほど低下します)
CWは、エレキー・チップ内蔵で、パドルの接続でフル・ブレークイン・オペレーションが可能です
もちろんサイド・トーン機能があります
SSBについては、モニタする限り音質はまずまず、ただしキャリア・サプレッションがあまり良く
ありません
スペアナで確認すると30dB位しか取れていません
なにかミスがあるかも・・・です(DBM−IC/NE602で調整箇所はないし・・・)
ON−AIRレポートでは、非常に柔らかい感じの音色で、K3のような音とのこと
AM受信は、短波ラジオ以上の動作をします

不要輻射ですが、各バンド2倍高調波については−50db以上は取れています
周波数安定度についてはDDS方式で問題はありませんが、チューニングにはコツがいります
(下段の写真参照:STEPボタンで、対象の桁を選んでUP/DOWNボタンで選局 100KHz〜10Hz
単位でチューニングが出来ます)
デジタル機能・・・メモリ(周波数・モード)、A/BデュアルVFOなどは高級マシン並みです
IFフィルタ帯域もモードにより、AM:6KHz SSB:2.1KHz CW:700Hz と自動でセットされます

デジタル処理中心で作られているせいではないのでしょうが、聞こえ方までデジタル式!?・・・非常に
SN良く良く聞こえるか、ほとんど聞こえないか(真剣に聞く気にならない!)のどちらかです
アナログ世代の者にとっては、ちょっと感性に合わないですし、このパワーでQSO出来る聞こえ方は
これくらいと言われるとそれまでですが、もう少し受信感度を得たい(受信全体の利得アップをしたい)
・・・というのが正直な感想です

■余談
 手持ちの口径3.5インチ小型のトランペットスピーカーを接続してワッチしてみました
 音質は別にして(チューニングが取りづらい)、弱い信号もヘッドホンでなくてもそこそこ聞くことが
出来ます
 この手はありかと・・・早速、高音圧でそこそこ再生帯域の広いスピーカーを探して見つけました
 あと、使い勝手で気になるのは、M−R インチしか締まりません・・・これは、交換しなくては!
 これで実戦機として、使用できそうです(十分楽しめそうです!)

 21MHz帯のLPFの定数を変更するというパワー対策がWEB上に出ていました
 出力が15W以下の場合・・・実測13W位ですからやってみる価値はあるかもです
 この件も受信は、無関係・・・Atlas同様ポストアンプを組み入れようかな、でもフィルタ性能はAtlas内
蔵ほど良くなさそうですから、フィルタ前の信号増幅は危険かなぁ!? 本機も受信部はTopMixerです

ご覧のように、フロント以外に、なにも出っ張りはありません
リアのスペースは、きっと電池の収納スペース LiPo等使用すればかなりの容量が得られそう・・・
また、ご覧のようにスピーカーの内蔵はありません

STEPボタンで、UP/DOWNさせる桁を選択してから、▲▼ボタンを押してチューニング操作します
フロントパネルにボードを取り付けるのですが、この取付位置精度が問題!
元のままでは、このキーSWのタッチがスムーズではありません(引っかかるキーがある)
要は基板の取付位置がフロントパネル穴と合っていない、です
色々やってみましたが、結局は基板取付穴を楕円形に削って、正しく取り付くよう加工しました
このあたりも、海外製品です(良く言えば、手作り感一杯!?)
頻繁に使用する「STEP」のキートップを他とは形状の違うものに交換しました(上写真は標準品)

底面もフラットなため、このように立てて置くことも出来ますし、アンテナもマイクも2系統用意されています
アンテナはM/BNC並列接続(排他利用)  
マイクはデータ通信用と2系統です(AF出力も出ています)
実用向けに、最後にスピーカー&マイクを用意しました
手元にあった古いKENWOODのSMC-30を改造したものですが、スピーカー音圧も高く、コンデンサマイクの採用で高感度です
ちょっと気がかりなのは、送信時に受信AFノイズ(シャー音)がいくらか残っているいる点で、スピーカー&マイクですから、もしかしたら交信相手に気付かれるかも・・・
7MHz帯もバンドが広くなってからは、3KHzおきの運用も増え、1KHz台のUP/DOWNのみで実用になりそうです
マイクジャック下に見えるφ3.5ジャックは、外部スピーカー接続用とKEY接続用の二つです
KEYジャックは、φ3.5 3Pのもので、エレキー・チップ内蔵によりパドルの接続用となっています
2012.05.03 - 2012.05.17   JA4FUQ

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