TRIO TR-1000
私が高校に入学し、その学校のアマチュア無線クラブで初めて出会った仲間と一緒に、地元のデパートの屋上などに出かけては運用していた懐かしいTR-1000です
私は、HFしか運用していなかったもので、当時の私にとっては珍しい体験でした
この大きさ、重さでもコンパクトと称せられた移動用トランシーバです

改造・・メーター及び送受信メーターリレー切替、メーラーバックライト(PHONE端子にSW)
1967年/昭和42年頃の発売だと思います
巾275 高さ77 奥行172mm  重量3.8Kg と、かなりの大型!

なんだか様子/雰囲気が違いますね
メーターが違うし、その横にあったメーター切替SWもないし、イヤホン・ジャックのところにはトグルSWが付いている・・・今回入手したものは、オリジナルの状態のものではありません

本機は、
送信部:50〜52MHz AM 出力1W 
受信部:AM ダブル・スーパー・ヘテロダイン方式(1stIF:7.0〜9.0MHz、2ndIF:455KHz) 
携帯用トランシーバとは言っても、単一電池を8本内蔵(総重量3.8Kg)と、かなり重たいトランシーバです

送信は、3ステージ 3rdオーバートーンクリスタル5個を実装(デフォルト:50.3MHzのみ)
π型フィルタ(LPF)も何もない、リンク出力と言うことで、固定ではTVI発生器になっていましたので、移動中心の運用というのが当を得ていたかも知れません

受信は、7MHzIF2段の受信機(普通のMW/SWラジオのイメージ)に、コンバータを前付けしたもので、構成的には高1中2のダブルスーパーヘテロダイン方式です
ただ1stIFが7MHz帶で、すっぽ抜けが多かった印象があります(大陸方面から、強いラジオ放送が)
付属のロッドアンテナの利用が無難、みたいなところがあったように記憶しています
いずれにしても、移動で使うことを目的というか、運用シーンとして捉えたものと考えられます

その後、送信もVFOを搭載したモデル  ICOM FD−AM3  Panasonic RJX−601 とかいう対抗馬が現れ、TRIOも 1100 1100B 1200 と、次々とモデルを発表することになりましたが、その第一弾と言うことが本機の価値でしょう(FD−AM3 の登場で、そのデザイン、VFO搭載/4MHzフルカバーという機能で、本機は商品価値を失ってしまいました)

ケースから取り出した中身です
左から、受信コンバータ部
受信IF部
AF(変調)部
送信部
フロントパネルにくっついて見えるのは受信第二OSCです
その横に、送信用クリスタルが見えます
1枚基板ではありませんが、平面(1面)のシンプルな構造です
その下側には単一電池を8本収納します
今回、調整をしてみて、なかなかやっかいというか手強い点があったのでご紹介します
ポイントは、赤丸3箇所
受信第二OSCのVCのひとつが第1IFのトラッキングを取るようになっています
真ん中にある赤丸のトランスがその第1IFの出力トランスです
右の赤丸が43MHz第1局発用の発振コイル(負荷コイル)
この3つの調整如何で、スプリアス受信/感度が大きく異なります
CAL信号での調整では、きっと上手くできません
きちんと外部から信号を与えてやる必要があります
 まだNPN型のトランジスタの出始めの頃・・・送信ファイナルとドライバを除く全てが、PNP型のトランジスタで構成されています
電源も+接地です
鉄製のシャーシにケースと言うことで、重量はあるし錆びに弱いと、日本製の十八番と言って良い作られ方です(コスト最優先、ですきっと)

改造:
メーターの変更に合わせ、送受表示の切り替えを不要としてありました
またメータのバックライトのON/OFFと言うことで、イヤホンジャックの穴を利用してトグルSWが取付られていました

さて、最後はお決まりのスペック紹介
外部DC12V供給
送信は、50.2〜52.0MHz(内蔵クリスタルの関係)で、1.2W
受信は、AM1KHz30%変調のON/OFFで、S/N10dbが得られるアンテナ入力 1μV
仕様上は、2μVとなっていますが、51.0MHzで追い込むと、上記のような結果になりました
50.1〜52.0MHzをある程度均等に調整して、S/N10dbが得られるアンテナ入力1.6μV以下、というところで手を打ちました
やはり夕方になるとIFのすっぽ抜けが気になりますし、VFO(第二局発)の安定度も今一歩です(VFOは動くもの、動くからVFOと言う理屈なら、それなりに許せる範囲です!?)
混信問題など言わず、感度だけで言うなら、十分今に通用しそうです
あと、元々か経年変化が定かではありませんが、送信クリスタルの周波数に結構誤差がありました(3KHz〜9KHz)
手持ちぶさた・・・歴史を刻む何かがなかったもので、つい手を出してしまったのが、このTR-1000ということになりました
 2018.06   JA4FUQ

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