9/23//2001 材料技法 記事
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「ドーサ」について
■ 日本画の基底材である、紙や絹に安定に絵の具を定着させたいと思った場合、もしくは、滲みなく描きたいと思った場合、基底材への準備としてドーサを塗ります。
ドーサ液とは、明礬(ミョウバン)を溶かした溶液に膠を加えたものですが、紙、絹の繊維の間にこのミョウバン液が浸透し、乾燥する課程で皮膜を作ることを利用して、描くときに定着材となる膠がただ素通りするのではなく、安定に固着するベースを作るものです。

■ ミョウバン |
| ■ ミョウバン(硫酸カリウムアルミニュウム)の結晶を乳鉢で砕き、水に解けやすくします。
ただし、このドーサの濃さというものも、描法に密接に関係していますから、一概に薄い方が良いとか、濃い方がよいとかは言えませんが、酸性紙の問題でも解るとおり、強すぎるドーサは、水分をはじいて描きにくいだけではなく、基底材そのものを酸化しやすくするものであることは覚えておいたほうがよいでしょう。 |

■ 三千本膠 |
| ■ 私は、ドーサ液を作る場合の定着材として三千本膠を用います。絵の具定着用の場合と違って、この場合は、前もって水に浸ける事はせず、鍋に入れた水に細かく割った三千本膠を直接煮ることより始めます。
煮るための鍋ですが、ホーローやガラスなど、金属で無いものの方が良い結果がるようです。やはり、金属?との化学反応があるのかもわかりません。 |

■ ドーサ液を作る。 |
| ■ 約一リットルの水に三千本膠、一本。ミョウバン約3グラムただし、これもあくまで目安で、紙、絹の違い、厚みの違い、描法などで使い分けられると表現の効果がまた違ってきます。
水より、膠を入れ、火を入れます。沸騰する課程で、全ての膠を溶かします。溶かすときにかき混ぜますが、この時にも、金属製のものでかき混ぜる事はせず、私の場合は、割り箸などを用います。 |

■ ミョウバンを入れる |
| ■ 膠が全て溶けて、水が膠色になります。不純物などが浮く事もありますが丁寧にとりましょう。完全に溶けたら、私は一度、強く沸騰させます。(このあたりはそれぞれのやり方があるでしょう。)そして、細かく砕いたミョウバンを加えます。このとき、火を止めるのですが、止めるタイミングもあります。それぞれの鍋自体の持つ冷め方の速度もなんだか関係するように思うのは私だけでしょうか? |

■ ドーサを塗る準備 |
| ■ ある程度ドーサ液が冷めたら、基底材(生紙、絹)に塗ります。
あんまり熱いまま塗ると、ミョウバンが基底材表面での結晶化が激しく結晶が光ってしまうこともあります。 |

■ 紙にドーサ液を塗る |
| ■ 実際に基底材に塗りはじめると気づくと思いますが、あんまりもたもた塗っていると、引っかかるような感触が手に還って来たりします。
たっぷりと、かといってたまるほどではなく均等に、何度もなでるようなことはせず、塗れるといいですね。
絹に塗る場合は、うすめのドーサで、厚い紙の場合はそれよりも濃い(ミョウバンの割合の多い)ドーサ液を使う。雲肌麻紙などの場合は、一度目に引くとき、すぐに吸い込んでしまうでしょう。(毛布などを下に敷いておきます。)
表から裏から、素材に応じて、また描法に応じて、表、裏、両方引く場合、片面からのみの場合。
描き続ける中で、自分にあったドーサ液の濃さ、引き方が出来てくると思います。
ちなみに、絹の場合、最後に引いた面が表と考える場合もあるようです。 |

■ 絹に引く |
| ■ 用いる基底材によって、ドーサを引く速度も変わります。 |
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