8/28//2002 日本画  記事
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笠岡・小野竹喬美術館での小杉放菴展

笠岡諸島の取材がてら、案内をいただいていた「小杉放菴展」を見てきました。笠岡諸島の取材紹介については別の機会に譲るとして、今回は、「小杉放菴展」について書いてみます。

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 ■ 何分、美術館での絵画展ですので、、著作権等の問題もあり、参考画像を出すことが難しい・・・というわけで、左画像は笠岡諸島の一つ、白石島でのスナップです。

美術館を訪れたのが夕方、閉館間際と言うこともあって、人影もまばらでしたが、お陰様でゆっくりと鑑賞する事が出来ました。聞けば、入館者が思ったほど伸びていないとか・・・・私などは、なかなかまとまった姿で「小杉放菴作品」に触れる機会が無かったため、大変、楽しみにしていた企画なのに・・・と思うばかりでした。

たしかに、「小杉放菴」の名前は現在、一般社会でメジャーとは言えないかもわかりません・・(日本画をもし好きなら・・知っていて損はないと思いますが・・)ここのところ、ちょっと前?の方でも社会の中で忘れ去られる速度が早すぎる様に思うのは私だけでしょうか?もちろん、画業そのものが悪いわけでは決してありません。私などは大変先見性のあるお仕事、画業だと感心するばかりです。

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 ■ 若い頃にちゃんと西洋的な描写、モノの見方の基本を手に入れ、また実際に海外に出てその実物にも触れています。その吸収力の凄さは、洋画作品(油絵の具を使った作品を出品していたのです!)やスケッチに如実に現れています。画に対する志の高さを感じるばかりでした。

同時に、その作業を見るに付け、分析的であり、意図的な表現を着実にこなしているにもかかわらず、決してそれが冷たさを感じさせるモノでないのは、やはり放菴自身が持っているすばらしさなのでしょう。

アイデンティティーのあり方を知的に確信犯的に行っている表現作業!。今日に十分どころか、将来に渡って見直される仕事だと感心するばかりでした。声だかに叫ぶような表現ではないところが私は素晴らしいと思うのですが、なかなか伝わりにくいのかもわかりませんね。

今日、油絵の具を用いた絵画を描いていても、もちろん日本画絵の具を使っていても、素材とのこの国の関係、自然、文化についての示唆深い提案だと思いました。

聞けば、文壇との交流もあり、また書籍のカットなどもたくさん描いているとか・・・・縦横無尽!小さな枠に収まらない方だったのでしょう。大柄で頑丈そうな風体!豪放磊落な?人柄とは聞き及びますが、作品を見る限り、知的で確信犯!

なんだか凄く魅力を感じる画家の姿でした。なお、立派な図録もありますが、やはり本物に触れて生でご覧になることを勧めます。現在、コントラストの高い映像・画像の氾濫から見る方の人間の目も曇りがちです。柔らかな階調、繊細な筆裁きは、実物ならでは・・・・(だから、今の人々にわかりにくいのか・・)印刷物、現在のテクノロジは良くできているようで・・・抜け落ちている側面があるのです。

そんなことも再確認させてくれた展覧会でした。8月いっぱいは開催中です。ご覧になることをお勧めします。

日本とは何か、日本人とはどんな民族か?看破した表現が在るように思った展覧会でした。(個性表現!という言葉で小さく矮小化された現代表現のあり方とは異なったアプローチ、姿。長い時間を生き抜く価値観のひとつの表現の姿といっても良い姿ではないでしょうか?)

ただし・・・・この国の姿は痩せていくばかり、<知らない>という言葉がまた意味を持ってきそうです。そこには教育の問題もあるでしょう。

 


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