4/6//2003 吉備雑感日記  記事
霧中アトリエ 森山知己のホームページ|■語句・項目検索


笠岡・島根(竹喬美術館・足立美術館)

先週は美術館での企画展をいくつか見て来ました。岡山県笠岡市立竹喬美術館での「水墨画」(富山県水墨美術館名品展)平成15年4月5日〜5月5日まで、島根県の足立美術館春季特別展「動物にそそぐ画家のまなざし」展平成15年3月1日〜5月31日です。

simg0406215331.jpg
 ■ 竹喬美術館での「水墨画」展

竹内栖鳳、横山大観、前田青邨、小林古径、榊原紫峰、入江波光、村上華岳などの作品が並びます。

竹喬美術館ならではの企画と思われるのは、やはり、並べられたその作品選択でしょう。岡山県笠岡市にある竹喬美術館。もちろん館の名前にもなっている笠岡出身の日本画家、小野竹喬の作品収蔵、公開がメインとはいえ、行われる特別展、企画展は大変興味深く、東京の美術館でもなかなかお目にかかれない素晴らしい企画が活発に行われています。優れた学芸員の存在、またそれを生かせる美術館の体制!は、注目に値します。地方の地域美術館、ある時期たくさん生まれたもののなかなか活発な活動を行っている所は少ないのです。

今回の水墨画展でもその作品展示、選ばれた作品群、なかなか興味深いものでした。作品制作とその時代背景、作家の思い。作家が大切にしている事、価値観。

私自身は今回の展覧会で再び「やわらかさ」というキーワードを確認したように思います。それは、情報表現のありかたです。

時代が今に近づくほど作品に内包されるモノ・事が少なくなるように思いましたが・・・・・・。ただし、下保昭さんの近作にはまた違った試みが見られたことも収穫でした。

絵手紙、水墨画を今楽しんでおられる方々、一度、ご覧になってみてはいかがですか。おすすめします。

私自身は、新館に飾られていた小茂田青樹の小品に引かれました。同時代の速水御舟作品とも通じる豊かさ、柔らかさ、展示されている大きなサイズの作品に決して引けをとらない存在感。技術のありようも含めて楽しませてもらいました。(水墨画展ではありますが、彩色が在ります。)

simg0406221847.jpg
 ■ 足立美術館での「動物にそそぐ画家のまなざし」展

現在、私自身が動物をモチーフにした作品制作を行っていることもあり、その表現研究のためにもと島根まで足を伸ばしました。

久々に訪れた足立美術館でしたが、桜の季節と言うこともあって多くの方々で賑わっていました。館内も以前訪れた時とは幾分異なった印象がありましたが、立派な日本庭園は変わらぬ行き届いた手入れを感じさせるモノでした。

さて、この美術館での横山大観の作品群公開は有名ですが、目的の今回の特別展はどうだっか?

結論からいえば、大変楽しませてもらいました。本当はもっとたくさんの作品が見られるかと期待していたのですが、数的には少なく、その意味では少し期待を裏切られた気分反面、なかなか見られない焦点を絞った企画だけに興味深く、作品を見て回ることが出来ました。

注目は、大正、昭和初期に描かれた作品群の姿です。

とられた描法、素材感も相まって、今日なかなか見られなくなった<何か>に直に触れられたように思います。

竹喬美術館での展示、また足立美術館での展示、私自身が確認したい、探している<何か>の存在に対して大変有意義なものでした。日本画と呼ばれるものたちがこの数十年で失った価値観の一つの姿です。

さて、ここで得られた<何か>をいかに生かせるかは私自身の問題ですが・・・・・。



simg0406223531.jpg
 ■ 島根県立美術館にも立ち寄りました。ローケーションもよく、素晴らしい美術館です。企画展は、写真家「森山大道」。館内では、昨年お世話になった徳島県立近代美術館の学芸員の方に偶然にもお目にかかるなど、嬉しい出会いもありました。

simg0406223756.jpg
 ■ 欲張りに?島根の自然も取材。

立ち寄った熊野大社!。子供達が今注目している漫画の一ページにこの建物を参考にしたと思われる絵が在るのを思い出しました。

境内に立ちこめる「気」の存在。川面と桜。

 


Copyright (C) 2003 tomoki All Rights Reserved.
このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。< kibicity-記事発信支援システム>