10/16//2007 吉備雑感日記  
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吉備高原都市と黒川紀章さん

出会いは、友人の車に乗り、ひたすら真っ暗な山道を走ったあとに訪れた。結構な長さの真っ直ぐな坂道を上りきると、突然視界が開けた。山深い場所にはいかにも不似合いな片側二車線の道路が目の前に広がり、そのまま進むと前方に淡く銀色に輝く施設が見え始めた。

それが吉備高原都市のシンボル的建築物、「きびプラザ」だった。
<リンクは吉備高原都市ホームページ>
http://www.kibicity.ne.jp/
  

吉備高原都市センター区、きびプラザ入り口駐車場付近より施設を見る。※全ての画像はクリックすると横640ピクセルの大きさで見ることが出来ます。
■ 吉備高原都市センター区、きびプラザ入り口駐車場付近より施設を見る。
※全ての画像はクリックすると横640ピクセルの大きさで見ることが出来ます。


一番最初の画像の左端部分は長屋門と呼ばれる場所である。この下をくぐると円形コリドールが見えてくる。
■ 一番最初の画像の左端部分は長屋門と呼ばれる場所である。この下をくぐると円形コリドールが見えてくる。
 

■ 吉備高原都市の中心に位置するセンター区。設置、建設された一連の施設全体の設計が建築家黒川紀章さんの監修によるものと知ったのは、初めての出会いからしばらくたってからの事だった。

それまでの自然の地形、植生を生かしながら緑の中の都市センターを目指してプランニングされたそうである。


吉備中央公園側から円形コリドールを見る。
■ 吉備中央公園側から円形コリドールを見る。
 

■ 隣には吉備中央公園(面積約10.1ha)が整備されている。
センター区はこの公園と一体となった施設であり、左画像の円形広場を中心に、業務商業ビル、シティーホール、ホテル、行政の出先機関などが有機的に配置されている。


コリドールより円形広場を見る。
■ コリドールより円形広場を見る。
 

■ この広場を使って、いくつものイベントが年間を通して行われる。結婚式が行われたこともある。

行われるイベントの様子を、設置されたインターネットライブカメラによって中継した事もある。by kibicity


色づきはじめた銀杏の木
■ 色づきはじめた銀杏の木
 

■ 円形広場を取り囲むコリドール。見え隠れする山並み、紅葉、ダイナミックな視点を作り出している。


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■ 階段上部回廊を眺める


ホテル、管理施設のある建物
■ ホテル、管理施設のある建物
 

■ ホテルが入っている建物、一番奥一階ではスーパーマーケットも営業されている。吉備高原都市サービスがあるのは一階中央部分。


きびプラザエントランス部を東より見る
■ きびプラザエントランス部を東より見る
 

■ 2007年10月16日の山陽新聞文化欄に建築家磯崎新さんの「黒川紀章さんを悼む」という文章が掲載されていた。(黒川紀章さんは12日に亡くなった。73才だったそうだ)

文章の中で磯崎新さんは、黒川紀章さんのことを「日本ではじめて現れたメディア型建築家だった」と位置づけていた。社会の変化によって、たとえ建築家であったとしてもメディアの中でパフォーマンスする必要性・重要性が高まった。また、その場では、メーッセージを単純な言葉にし、なおかつ言い切らなければ人々に届かない。そうして発信されたメッセージは、広く伝播し、人々に記憶される。それも一回きりではすぐ消えてしまう、何度も何度もやり続けることの重要さを確信して行った初めての建築家、希有な存在として惜しんでいた。


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■ ここ吉備高原都市で暮らすようになって10年が過ぎた。確かに当初計画されたようにこの町は成長していない。

現状の住民数にしては立派すぎる施設とも言えるだろう。

それでも当初描かれた構想から言えば、このくらいの中心施設が相応しい計画であったことは確かな事のようだ。


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■ ここのところよく耳にする「共生」と言う言葉を初めて使ったのもこの黒川紀章さんだったそうだ。

現代の建築物の寿命は思う以上に短い、それに比べて思想は時を越えると最近黒川氏は言っていたそうだ。


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■ 今となって、今年に入っての選挙で見せたパフォーマンスの数々。テレビ画面で見ることが出来たそれらが、なんだかとても愛おしい姿に思えてくる。


私はこうした巨大な建築物が好きなわけではありません。それでもすでに残されたある一人の建築家の記憶として、なんとなく紹介したい気分になりました。

これから吉備高原都市は紅葉真っ盛り、気持ちの良い季節です。

 


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