12/8//2007 吉備雑感日記
霧中アトリエ@ 森山知己のホームページ|■語句・項目検索|
「和紙の魅力」覚え書き
■ 徳島県立近代美術館で行われている「日本画-和紙の魅力を探る」展に関連したワークショップ開催が間近にせまりました。 前回は、2005年2月の鑑賞ワークショップ「日本画の季節」でした。墨を使った表現のバリエーション、それに胡粉を加えて材料と表現の関係などを紹介しました。季節はちょうど冬、「薄く引いた墨のうえに、無造作に散らした水が乾くに従って雪に見えてくる」など、いくつかの技術を実際に試していただきました。素材、技術は具体的な価値観の表現という私の捉え方が少しでも伝わっていれば幸いです。 さて、今回は、和紙素材自体が大きなテーマです。やはり、実際にさわって描いていただくことがメインとなる予定です。

■ 滲み止めのドーサを紙の一部分に塗って乾かせています。(結構な数になり事前準備も大変です^^;日本画を描く作業に段取りはつきもの、限られた講座時間で出来ないものは準備するしかありません。)生紙の状態とドーサを引くことによって加工紙(熟紙)になった違いをそれぞれ試してもらいます。 |
| ■ 美術館行事としては、 <実技講座:さまざまな和紙を使って古い日本画技法を試してみる>となっています。 「さまざまな・・」となっている以上、まずは、実際にいくつかの和紙に触れていただかないと話しになりませんね。
アワガミファクトリーから今回のために提供された和紙に加え、私の手持ちからも何種類か用意しました。また、市販されている色紙、葉書なども使用して7種類程度の紙には触れていただけそうです。
さて、それぞれの和紙の違いを体験出来るような教材作りとは? |

■ 描かれた動物の形を参考にする為の資料作り。シルエットとして捉え、たらし込みをおこなってみる。また作業の素材として取り上げることで、鑑賞者が展示作品の部分に注目するきっかけとする。
狩野興以による韃靼人狩猟図屏風の動物表現に注目。 |
| ■ 1.「紙に墨が滲む、滲まないという違い。」生紙の部分と加工紙の部分が同一の紙の中にあり、それを実際に使って描いてみる体験によって素材と表現の関係をとらえる。 (ドーサにより描く表現サンプルの提示も) 2.「紙がどのように求められ変化してきたか」和紙に求められた期待と時代の関係。和紙の違いを楽しむ。 (5種類の和紙を試す。) 3.「片ぼかし、堀塗り、たらし込み」江戸時代、多様な表現を生んだ琳派のテクニックなどを実際に使って「水」と和紙、筆、絵の具などを体験しながら、色紙、葉書を完成させる。 (1.宗達を参考に動物をモチーフにした線書き、堀塗り、たらし込み2.たらし込みで落ち葉を描く3.御舟の桔梗を題材に総合的な表現を色紙に)
|

■ 御舟の桔梗を参考にした制作見本と実習の参考作。金潜小色紙(きんせんこしきし) に描く。※金潜紙は、金箔を押した紙に薄紙を漉き重ねて作った紙。 |
| ■ 「学画と質画」狩野派の教育法を通して、価値観の維持に大切な事について考える。和紙だけにとどまらず、筆や絵の具といった材料に対する考え方、また描き方を通して価値観がどのように継承されるかについて思いを巡らせ、鑑賞、制作のための手がかりとして紹介する。
和紙の準備・加工、膠、絵の具の用意。筆、電熱器、タオル他 下図サンプルを用意。胡粉も事前準備(絵を描く作業を分解し整理する。今回は形を上手に描くという問題を回避し、より描く技術の中でもたらし込みなど、日本的な価値観と思われる部分にフォーカス出しやすくする。)純金泥、天然絵の具の使用で本物の質感に触れてもらう貴重なチャンスとしてもらう。
|
■
Copyright (C) tomoki All Rights Reserved. このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。< kibicity-記事発信支援システム>
|