展覧会案内・感想

2009年04月30日

 追悼 片岡球子展
追悼 片岡球子展チラシ 表

追悼 片岡球子展チラシ 表
岡山県立美術館で「追悼 片岡球子展」が開かれています。平成21年4月29日(水・祝)〜5月17日(日)※会期中無休

私の片岡球子さんの作品に対するイメージは、やはり「面構」シリーズによるものです。約30年前、院展、創画会、日展など主要な日本画の公募展を見て回る中、好き嫌いを別として強烈な印象を残す作家の一人でした。

当時、幻想的な作風が流行を始めた頃でもあり、また綺麗に画面をまとめる作家が多くなる中、本当に個性的、我が道を行く姿にあこがれのようなもの感じたことを思い出します。同じような特別な存在として小松均さんもいらっしゃいました。

今回の収穫は、私が東京に出る前の作品、昭和50年以前の作風に触れられたことです。もちろん、それ以外の作品も良かったのですが、知らなかった昭和40年頃の絵と向き合う姿や、スタイルが確立される前のひたむきさなどを感じることが出来ました。

人生の中で何度もピークと呼べるような高揚した作品を生み出す凄さ、103歳まで描き続けるエネルギー!。

教授を勤めた愛知県立芸術大学日本画科、生徒に対する愛情も深く、展覧会の開催、応援、画商界への紹介などずいぶん尽力されたと聞きました。

おとなしい日本画だけが日本画ではない。線の強さ、色の選択、配置、それぞれを見直す良い機会となりました。人物表現に用いられた線描は大変興味深かったです。用いられた絵の具の発色に毛筆の感触、ある種の伝統を止めているのを見て安心する一方、絵肌、絵の具が割れた部分が何カ所も目にとまりました。古画と呼ばれるほど昔の作品では無いだけに、少々寂しい気持ちがしたことも事実です。

●2階では、写真、絵画の展示とともに特別企画、作庭家・庭園史家、重森三鈴展が開かれていました。豊富な資料、図面があり、目に見える実物展示としの茶室も良かったです。
出身の吉備中央町には記念館や残された茶室もあります。普段そこで見られるそれぞれが美術館に飾られたときにまた違った姿に見えたことも収穫でした。(こちらは5月31日まで)

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