展覧会案内・感想

2009年07月21日

 建仁寺-高台寺・圓徳院・備中足守藩主木下家の名宝とともに-
建仁寺展 チラシ表

建仁寺展 チラシ表
岡山県立美術館で特別展「建仁寺-高台寺・圓徳院・備中足守藩主木下家の名宝とともに-」が開かれています。
平成21年7月17日(金)〜8月23日(日)
休館日/7月27日(月)、8月3日(月)

言わずと知れた国宝・俵屋宗達作「風神雷神図」に、海北友松作「雲龍図」、使われているロゴ、文字デザインも含め印象的なポスター、案内の姿です。
昨年、大々的に行われた大琳派展(東京国立博物館)。今回出品の宗達作「風神雷神図」も、光琳、抱一、其一らのそれと共に飾られ、さながら風神雷神比べ?という趣向もあって強い印象を残しました。同時に大変多くの観客を集めたことも記憶に残った展覧会でした。その!宗達作「風神雷神図」がこの岡山でも今回、見る事が出来るのです。ただし、その展示は、会期末の8月17日〜23日とのこと、短い期間ですが岡山県美の空間はきっと見やすい飾り方になるに違い有りません。期待大です。


というわけで?、会期末に「風神雷神」に会いに行こうと決めてはいるのですが、その前にまずは一度と今日、土砂降りの雨の中、会場に出かけて来ました。

いや〜!!!良かった。

凄い雨も午後には弱まりました。また、連休明けの火曜日です。普段の美術館なら休館日ですが、今日は開館。そのおかげもあってか、会場はゆっくり、じっくりと見られる状態でした。

さて、会場に入ってすぐは建仁寺開祖の明庵栄西像ほか、ゆかりの人物像のお軸が並びます。そして貴重なお経、袈裟、法具関係と続きます。

ひと呼吸あって

狩野山雪、曾我蕭白の「山水図」、伊藤若冲の「雪梅雄鶏図」長沢蘆雪の「牧童吹笛図」。
若冲の鶏!、ただ一点の展示ですが、鶏の描写、胸の羽毛と羽の堅さの描き分け、それぞれの絵具の発色など、展示が見やすいこともあって細部をきっちり見る事が出来ます。
雲谷等顔の達磨図の墨色、生み出された奥行き、空間の面白さ。

さて、、、、ここから。

海北友松コーナー!かって襖絵だったそれぞれが、巨大な軸装として迎えてくれます。個別に紹介することは止めます。出口の前室、一つの壁。潔く「雲龍図」のみ並べてあります。他の壁には何も飾らない空間の素晴らしさ。今回、この空間でこの飾り方、この絵に出会えた喜びです。

絵の大きさ!の意味。
墨色、運筆、地隈の妙。
雷の表現と思われる部分に残る淡い朱の存在。

印刷物では味わえない、目の前のそのものでなければならない出会いがあります。龍の角を描く筆の墨の濃さ、含み。鱗を描くちょっと粘ったような筆触。地隈、雲間の重層する墨色によってのみ造られる奥行き、深さも強さも得たその姿。画面の大きさ、残された痕跡!運動する身体、リアルな時間の集積、触感として響いてくるようです。八幅並べて9メートルを越える横幅、紹介しているこの頭の部分だけで小学生の体程もあるのです。

地階にももちろん展示はあるのですが、まずは、今回、「雲龍図」のあるこの空間を体験することを是非ともとお勧めします。そして会期末、「風神雷神」にもう一度会いに行きましょう。

※建仁寺の開祖、明庵栄西はなんと岡山出身!。また、栄西は喫茶法を伝えた「茶祖」でもあり、その遺徳をたたえた茶会が今年創刊130周年をむかえた山陽新聞社により毎年後楽園で開催されているという縁もあっての実現とのことです。


8月17日追記:俵屋宗達作 風神雷神 登場!
展覧会ラスト1週間だけの特別公開作品、宗達の「風神雷神」がとうとう展示されました。期待の作品です。
私が今回見たかったのは、いわばこの絵の「醸し出しているなんともゆったりとした気分の秘密」です。この言葉をあえて具体的に説明しようと試みるなら、それは描かれた形もさることながら「線を描く速度」や「絵具の発色、定着のさせかた」に、時間の表現を見ることです。
伝統的な絵具や材料、道具をもちいてこのような「気分」の絵を描こうとするとき、すべての場面において「水の使い方」が重要な意味を持ちます。この「水の使い方」を詳細に見る事で線を描く時の速度であるとか、絵具を塗る時の時間、描法がみえてくるのです。
これらのことは、今また同じ水の使い方を試みようとすることで、この国の平安時代頃から変わらぬある種の価値観を伝えてくれるような気がします。なぜなら水、水の性質はその昔から変わらないからです。
材料、絵具の使い方を通して知る時を越えた価値観の存在。手がかりとしての「水」ということを思うのです。

焼いた群青の置かれた厚み、髪の毛や、形自体を描いた線の速度、胡粉、緑青の発色、下塗りと上塗りの関係などなど、、、たらし込み風の雲が風神雷神にかかっているところなど見る事で描かれた作業工程、実際に描いていた時の時間が伝わってくるようです。

絵に興味をもって、また描くようになったのなら、こんな見方もまた手に入れることが出来るのです。

< 森山知己ホームページ >