展覧会案内・感想

2010年07月11日

 稲垣仲静・稔次郎兄弟展
夭折の日本画家・型絵染の人間国宝 ちらし

夭折の日本画家・型絵染の人間国宝 ちらし
笠岡市立竹喬美術館で「夭折の日本画家・型絵染の人間国宝 稲垣仲静・稔次郎兄弟展」が開かれます。
平成22年7月17日(土)〜8月29日(日)

京都国立近代美術館での展示を終え、ここ岡山、笠岡市立竹喬美術館での開催です。
稲垣仲静は知る人ぞ知る日本画家です。私が初めてこの作家を知ったのは1984年芸術新潮特集「蘇れ大正デカダンス」の記事中だったように思います。花魁の絵、白黒で掲載された猫が印象に残っています。その後、実物を見ることが出来たのは、1986年(昭和61年)京都国立近代美術館で暮れに開かれた「京都の日本画1910〜1930」展でした。ちょうど京都国立近代美術館新館が開館した年、ほど近い星野画廊では、「京の異色日本画家たち」という企画展が行われ、今回の展覧会でも展示される「猫」も展示されたようです。(頻繁な展示替えがあったようで、私はこの時、猫の子の素描が印象的でした。)この二カ所での展示を見るべく当時暮らしていた東京から京都を訪れたのです。展覧会では、現在につながるいわゆる東京的な描き方だけではないありかたを確認する事が出来、勇気づけられたことを思い出します。

25歳で亡くなったとの事、もともと残された作品自体が少ない中、集められた本画に素描の数々。画家が対象と素で向き合う姿!、素描も見所です。

稲垣仲静・稔次郎兄弟のそれぞれの素描、そして作品を通して見えてくるもの。作品の大きさと内容の結びつき。見所の多い展覧会です。