展覧会案内・感想

2011年05月01日

 秋野不矩展
秋野不矩展 リーフレット表

秋野不矩展 リーフレット表
笠岡市立竹喬美術館で浜松市秋野不矩美術館コレクションを中心とする 秋野不矩展 が行われています。 
2011年4月23日(土)〜6月5日(日)
開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで
休館日毎週月曜日 ただし5月2日(月)は開館
 
女性の日本画家。絵を描くのに女性も男性も無いとは言うものの、小倉遊亀さん、そして今回の秋野不矩さん、男には出来ない女性ならではの表現を出来る方々と、かねてより憧れる好きな作家の方々です。

先ずは「色」。もちろん構図であるとか、何をテーマ、モーチフに描くかといったことを離れて(本当はそんなに簡単に分けられるモノで無い事は重々承知していますが、)とにかく色がよいのです。

写真、印刷物ではなかなか伝わらない色、絵肌。


学生時代より好きな作家で、かねがね展示されるおりには作品をじっくりと見て来たつもりでしたが、今回、竹喬美術館で見る事が出来ると知り、他の美術館よりもよりその秘密を見る事が出来るのではないか?(大変作品が見やすい美術館なのです)と、期待しての訪問となりました。

もちろん、大正解でした。これまで見た時には気づかなかったことと出会えたように思います。

先ずは、大きく分けて70歳以前の制作とそれ以後では絵の具の使い方に変化があるように感じられた事でした。確かに、A展示室の最初あたりにある古典的な人物像などの作品は、見たままの伝統的な絵の具の使い方、それも着物では絵の具を置くように筆を運んだ跡がハッキリと見て取れ、日本画ならではの発色を狙って行っているとあきらかに理解出来るものでした。色価、バルールと呼ばれたりしますが、絵の具の使いこなし、デッサン力を感じさせる色使いです。基礎的な事が充分に出来る作家(当たり前ですね!!)とあらためて感じさせてくれたのです。

少し進んで、大きな筆遣い、粗い粒子を盛り上げる様に描いた作品が出て来ます。現在、多くの方々がいだく現代日本画のイメージ、絵肌かと思います。印刷物などで秋野不矩さんの作品を見ると、どうしてもこの現代日本画の描き方を想定してしまいがちですが、実際は違うのです。会場の壁面が変わり、A展示室入り口から見て正面中央あたりからそれ以後に飾られている絵(70歳以降の制作)を実際に見れば、思う以上に薄塗りであることがわかると思います。絵の具のコントロール、濁らない、発色をさせる作業が自然と行われ、自由に材料が生かされているのです。
絵肌を注意深く見れば、厚塗りの為の厚塗りを行わず、深い絵肌、求める色の表現のために箔を多用している事が見て取れるのです。確かに表面にそれとわかる箔の使い方もみられますが、表面に塗られた絵の具の下、いわば下塗りとして箔がとても多く効果的に使われているのです。このように箔を使う事、その発見、絵の具を載せる順序、また確信犯的に行われる筆の運び。男だと、、、つい計算でなんて思ってしまうのですが、必然として行われているように素直に思える表現。だからカッコいい!、憧れてしまうのです。

絵画表現では、一般に色は単独で存在せず、その取り合わせ、配色、バランスによって印象はかわります。色が生かされる構図というのもあれば、先に問題にした絵肌も、特に自然素材を使う日本画では大きな意味を持ってくるのです。同じ黒と一口で片付けられない色の存在。群青を焼いた黒、墨、木炭、効果的に使われています。

色の取り合わせの妙、自由自在の発色。自由自在な筆遣い。
日本画の素材、絵の具を、伝統も加味しながら今日的に使う手法、技術の存在。

そんな事を感じさせてくれる、また具体的に出会わせてくれる希有な展覧会です。
実際に会場に行ってじっくりと見る事をお勧めします。必見の展覧会です。