展覧会案内・感想

2012年01月29日

 長谷川等伯と雪舟流
長谷川等伯と雪舟流 展リーフレット表

長谷川等伯と雪舟流 展リーフレット表
岡山県立美術館で 特別展 長谷川等伯と雪舟流 が開かれています。 
平成24年1月20日(金)〜2月19日(日)
9:00〜17:00 入館は閉館30分前まで
休館:月曜日

タイトルの長谷川等伯、そしてもちろん雪舟も、この国の絵画を語る上で外せないビッグネームであることを疑う人はいないでしょう。またこの展覧会を紹介する「等伯、雪舟五代を名乗る」というキャッチの妙もあって、どんな展示をしているのか期待の展覧会でもあります。まして岡山県立美術館が誇る水墨画コレクションの名品が一同に並ぶと聞いては、これは是非とも見に行かねば必見の展覧会です。

長谷川等伯の作品、残念ながらあの有名な「松林図」は来ていませんが、六曲屏風形式の「花鳥図屏風」や大作の波濤図の一部、柳橋水車図屏風、対比の妙、烏鷺図屏風もあり、なかなか見せてくれます。雪舟流の展示では、岡山県立美術館の宝、雪舟作品がずらりと並んでいます。そのほか等春の「花鳥人物図貼交屏風」秋月等観の作、作者不詳ながらなかなかの名品、室町の花鳥図屏風他、出し惜しみなく?見せてくれる力の入った展覧会となっていました。

昨日28日(土曜日)は「等伯・雪舟五代を名乗る」と題して京都国立博物館学芸部美術室長の山本英男氏の記念講演会がありました。210名定員いっぱい、入れなかった方もいらした程の大盛況!。この展覧会で使われているキャッチフレーズは山本氏のアイデアだとか。等伯の画業を紹介し、雪舟とのつながりを解説してくださいました。ギャグも随所に織り交ぜながら1時間半の講演、楽しませてもらいました。

美術史のフィールド、文書などの資料、史実をたんねんに追い、落款(印)に使われている字体をもとに関係を解き明かしたり、雅号の秘密から狩野派との関係、そして雪舟との関係を解き明かすあたりの謎解き、なかなかワクワク感のある講演となっていました。最期の質疑応答では、岡山恐るべし!なかなか渋い質問が飛び出しても流石の答え方をされ、こちらも楽しめました。

ちなみにこの山本英男氏、なんと私の中学高校の同級生!。講演後、ちょとだけ話す時間がとれました。中学、高校時代には考えられなかったお互いの現在。今やバリバリの日本美術研究者と、絵描きになった私。不思議な人生の巡り合わせでした。

水墨絵画、中国の色濃いルーツから次第に日本的な価値観、ニュアンスを醸し出していく変化の過程、そんな流れを一堂に見る事が出来る展覧会、必見です。