展覧会案内・感想

2012年09月15日

 山口華楊展
山口華楊展 図録表紙 部分

山口華楊展 図録表紙 部分
笠岡市立竹喬美術館で 山口華楊展が始まりました。
2012年9月15日(土)〜10月21日(日)
開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで 休館日毎週月曜日(9月17日、10月8日開館:9月18日、10月9日休館)開館記念30周年記念無料開館日、9月29日(土)、9月30日(日)


 最近、日本画を学び始めたばかりの方々と話していると、山口華楊さんという名前、また、作品は印象が薄いらしく、学習のための参考例としてあげても「知らない」という反応に、いまさらながら時が過ぎたのだと感じることがあります。

 私が日本画を学び始めた頃、すでに35年ほど前になりましたが、当時は、大スター!、技術のしっかりとした繊細な表現の作家として日本画に関わるものなら誰しもが一目も二目もおくような大作家だったのです。

 個人的には、当時の日曜美術館で放送された山口華楊さんの暈しの技法が大変参考になりました。狐の描写、作画の様子の一部でしたが、空刷毛の使い方の実例として大変貴重な出会い、私自身の制作のためのヒントとなったのです。つい最近、幸運にもこの映像をふたたび見る機会を得たのですが、思い込みとは怖いもので、自分の記憶のいい加減さを痛感することになりました。てっきり毛の硬い空刷毛を使っていたとばかり思っていましたが、再び見た映像では、通常の白い羊毛素材の筆を使っていたのです。時が過ぎ、用法、作業での手応えの感覚が自分なりに理解できた今だからこそ、またその姿、選択の意味もまたわかるような気がしています。

 「洋犬図」の描写、毛を描く筆の速度、雪の上のカラス「霽」群青の輝き、「葦」「青柿」「行潦」の緑青の輝き、「罌粟」の朱、「鶏頭」、、、線の使い方と発色。絵の具を水に遊ばせるような使い方。

 しっかりとした作画計画、プロセスを大切にする伝統の技、実現されたみずみずしい色の世界。下絵、素描の段階で、あれほど!緻密に計画されているからこそ手に入れることができた世界。そしてそれ以上への要求、結果への期待、探求。「貼り交ぜ屏風」に貼られた一つ一つを眺め、また本画にもどって何が変わったか、どうしてそうなったのかを見比べ、考えるなど楽しめる展示です。

 基本的な描く作業、手順の確認など、色を、日本画の絵の具をちゃんと使う勉強の手がかりになる箇所もたくさんあります。日本画を学んでいる方、ご覧になることを是非ともとお勧めする展覧会です。