展覧会案内・感想

2012年11月12日

 墨と紙が生み出す美の世界展
墨と紙が生み出す美の世界展 リーフレット表

墨と紙が生み出す美の世界展 リーフレット表
徳島県立近代美術館で 墨と紙が生み出す美の世界展が行われています。
2012年10月13日(土)〜12月9日(日)
開館時間 9:30〜17:00 休館日:毎週月曜日

 もともと「日本」という国の名前と「画」という絵を意味する言葉が組み合わされた言葉である「日本画」であるならば、この国の絵画の歴史に大きな存在感を持ち、また素晴らしい価値観の伝承が見られる「水墨」による作品も当然含まれるに違いありません。

 煤(すす)と膠(にかわ)で造られる「墨」。墨をどのように使うのか?。

 価値観が多様化した今日、絵画の良し悪しを言おうとすることは大変難しいことにちがいありませんが、はたして材料としての「墨」についてならば、その成立、どのような機能、性質を求めてきたかを手がかりにすることで、その良し悪しを一部分だけでも定義づけられるかもわかりません。

 昨日(11日)、日帰りで徳島県立近代美術館に出かけてきました。
 目的は、「きんびセミナー:墨の不思議」を拝聴するため。

 講師の松井重憲さんは、墨を造るプロもプロ!墨運堂の会長さんです。墨運堂のホームページ、墨についてのQ&Aを見るだけでも、どんなお話が拝聴できるか期待が高まるというものです。はたして、期待を裏切られることはありませんでした。それ以上!。私自身がここのところ考えていること、また探している事、まるで絵に描いたようにつながる興味深いお話を拝聴することが出来ました。

 墨には、「膠が重要」!まさしくです。
 墨が悪くなった原因とその解決方法について
 重要な素材、膠について、その製造、性質に科学的に着目する
       興味深いお話をお聞きすることが出来ました。

 すった墨にいかに水を加えて使うのか。
 固形墨の意味、メリットについて

 素晴らしい色と使い心地、古墨の秘密。
 墨の良し悪しを見極める目、手がかりについて。

この冬、私がチャレンジしようとしている事への具体的アドバイスもいただくことが出来、大変実り多いひとときとなりました。

 展覧会場では銘墨の姿を沢山見ることができます。もちろん、素晴らしい墨による作品の数々も。改めて思うのは墨の使い方も変わるということ、明治から大正、昭和初期、日本画の黄金期だったと思うばかりです。速水御舟、安田靫彦、改めて墨色、その紙への食いつき具合、肌に見入りました。