展覧会案内・感想

2013年09月25日

 倉敷仏教寺院の至宝
倉敷仏教寺院の至宝 リーフレット表

倉敷仏教寺院の至宝 リーフレット表
倉敷市立美術館開館30周年記念 倉敷仏教寺院の至宝 が行われています(10月8日追記)。2013年10月5日(土)〜11月24日(月・祝)開館時間 9:00〜17:15 入場は16時45分まで 休館日毎週月曜日 ただし10月14日(月)、11月4日(月)は開館、10月15日(火)、11月5日(火)は休館

 京都や鎌倉、もちろん奈良など、観光で訪れた地で拝観するお寺での楽しみには、その建物や庭、ロケーションのみならず所蔵する文物の素晴らしさもあります。特別な宝物館・美術館を敷地内に作って、その拝観自体も観光の目的と出来るようなお寺もありますね。一方、規模的にそこまでとはいかなくてもお寺自体はここ倉敷にもたくさんあります。すでに地域に知られたお宝もあるとは思いますが、あえて日常生活、拝観させていただくことも無いのが実情でしょう。

 子供時代の遊び、境内の記憶。そんなお寺のお宝を集めての企画展。美術館という特別な空間で間近に見ることが出来るチャンスです。背景も白くニュートラルであり、また照明もあたっています。そのもの自体、そして細部を見るには持ってこいの状況が作りだされているのです。倉敷といっても広く、お寺の数もかなりの数です。縁のある所もあればそうでないところももちろんあります。一箇所に集められたそれぞれ、すでにみたこともあるものがありましたが、美術館の壁面という場所を得て印象もあらたになったものもありました。長い時間を生き抜いてきた文物、信仰心の力ももちろんですが、大切にされてきたからこそに違いありません。

 会場、入ってすぐの般若院蔵の釈迦三尊像、リーフレット表に印刷されています。南北朝時代の作だとか、この画面の暗さは、とてつもなく長い時間、お寺での煙にいぶされてきた証なのです。繊細に描きこまれた図像、詳細に見えれば見るほど味わいも出てくるようです。

 隣に並ぶ受法寺蔵の仏涅槃図、とても大きなお軸です。画面中央上の一部分だけが色が鮮やかなのは何故か?右側辺りには修復のあとのようなものも見られます。どうしてこのような差が生まれたのかを考えてみるのも面白いもの。個人的には集まった動物の形、描写に心惹かれました。

 軸装の裂の良し悪し、表具の具合を見るといった楽しみ方もあります。

 保存修復・・・・時代を経た味わいも確かに素晴らしいのですが、出来上がった頃の姿を想像しながら見ようとしてみるのもまたひとつの楽しみです。

 子供の頃から何度も入ったことのある由加山蓮台寺。柴田是真の板戸絵「牡丹に唐獅子図」もこのような引きで見ることが出来るのはとてもありがたいことです。全体の構成のみならず、筆の動きなども詳細に見ることが出来ました。絵の具もとても良く残っていることがあらためてわかりました。

 仏像ももちろん陳列されています。身近な場所にあるお寺の宝。見に行って見ませんか?