展覧会案内・感想

2013年10月19日

 明清の絵画 山岡コレクション
明清の絵画 山岡コレクション チラシ表

明清の絵画 山岡コレクション チラシ表
笠岡市立竹喬美術館で「明清の絵画 山岡コレクション」が開催されています。2013年10月12日(土)〜12月8日(日)開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで 休館日:毎週月曜日(11月4日開館:11月5日休館)
 
 日本画と呼ばれている存在の成り立ちを考える時、その源流に中国絵画があったことを無視することは出来ません。なぜなら使用する画材他、多くはシルクロードを通り、中国を経由してきたものたちであるからです。
 また、宗教との関わりも含め、画題とする対象の選択や、その描き方、筆という道具との関わりなどを考えれば、ますますその存在は大きなものとなります。
 
 だからといってこの国の絵画の伝統がずっと中国絵画のコピーであったかと言われると、それは違うように思います。カナ文字が生まれ、また制作に対しての評価の仕方、ポイントも変わってきたように思うのです。限られた国土、海に囲まれた環境、恵まれた水の存在、温暖な気候などは、他の国々と接し、同じ国家であったとしても言葉が大きく異なるような大陸とは異なった地政学的な要素が大きく働いたことは明らかでしょう。

 閉じられた場所での長い年月は、洗練の度合いを深めると同時に、そのそもそもを見えにくくする副作用もあるように思います。何時の時代も変わらず、価値観が見えにくくなった時に立ち返って見直す手がかりは過去の歴史、残された文物。
 明治生まれの日本画家が西欧化するこの国の動き、流れの中で自分たちの立地を確認する手がかりにしたのも中国、宋・元の時代の絵画だったと聞いた事があります。

 今回の展覧会を拝見して感じたことは、あたりまえのことながら「中国にもいろいろある」ということでした。西洋の写実とは違った方法論ながら、私の中では、中国は「写実」・「具象」の国というイメージがあったのですが、展示品の中には写実的な中に創作、意匠的な形が見え隠れしているのです。また、堅いと思っていた中国の表現の中にある種の柔らかさを今回は感じました。コレクションを行った山岡さんの「目」によるものなのかも分かりませんが、これも嬉しい出会いの一つです。

 カタログも作られています。「中国絵画史の構造」と題された山岡泰三さんの文書が掲載されていました。簡潔にまとめられた文章、絵画と社会の関係、中国のみならず、それぞれ場を西洋、日本に置き換えて流れを読み直すことが可能なように思います。絵が好きな事は当たり前・・・・だからこそもっと知りたい、それもより自分が納得できる形で・・・・そして多くの方々に伝わる言葉で語ろう。そんな気持ちが伝わってくるような文章と感じました。好きな語り口です^^。