展覧会案内・感想

2013年10月30日

 江戸絵画の奇跡 ファインバーグ・コレクション展
江戸絵画の奇跡 ファインバーグ・コレクション展 リーフレット表紙

江戸絵画の奇跡 ファインバーグ・コレクション展 リーフレット表紙
 鳥取県立博物館で開催されている<江戸絵画の奇跡 ファインバーグ・コレクション展>に行ってきました。2013年10月5日(土)〜11月10日(日)

 東京の江戸東京博物館をかわきりに滋賀のMIHO MUSEUMと続き、とうとう最終地である鳥取県立博物館での開催です。どこかで見ることができればと思いつつ日は過ぎ、今日やっと鳥取で見ることが出来ました。

 住まいする吉備高原都市から片道約125km、一部無料高速区間なんてのもありましたが、ひたすら地道を走ります。出発して約2時間半後、鳥取県立博物館に到着しました。
 
 まず最初は宗達の虎図、大らかで柔らかいこの雰囲気、素直にいいな〜と思います。これが見たかった。

 続いて光琳の団扇絵、乾山の百合扇面、渋い出迎えです。乾山の百合の葉、茎の部分の上塗りの落ちた後が何かしら厚みを感じさせており、生でよく見たいな〜と思いつつもガラス越し・・・残念でした。 堀り塗りの面白さを感じる人物表現。俵屋宗理の楓図屏風、かねてより知っている図柄でしたが、実物は意外と小さな絵であることを改めて実感しました。
 見たかった鈴木其一の群鶴図屏風、鶴自体はしっかりと描かれており、足などなかなか切れのよい感じでしたが、黄色い部分は箔ではなく絵の具であり、水流の部分の描写も含めて、なんとなく最終的な本画というよりは、草稿ぽい感覚を覚えました。図版では墨に見えた流水の描線、部分的に銀を感じさせるところもあり、墨と銀を混ぜたのかも?。・・・そんなことを思いました。
 池大雅の団扇、墨の色。谷文晁の秋夜名月図、応挙の滝山水図屏風、森狙仙の親子鹿図扇子、森徹山の春鶴秋鹿図屏風、鈴木松年の月に雲図、それぞれ興味深く拝見。もちろん抱一の12ヶ月も絵の具の使い方などそれなりに・・。
 若冲の松図の背景部、薄墨との解説だけれど、銀など、かなにかしらの絵の具が混ざっているように感じたことなど、、、、実物を見ることが出来ると、いろいろと気づかせてくれます。

 柔らかさ、絵の具の感じ、表具の面白さ、大きさ。
 筆の速度。

 実物を見るからこそ伝わってくること

 ここのところ、琳派について考えていることに叙情性ということがあります。装飾性、意匠性、単純化、もちろん構成の面白さ、構図ということもあるのですが、それらを実現してもなお残る叙情性に私は惹かれているのかもわかりません。先日の高村光太郎の木彫もしかり。手数の程よさ・・・・説明は難しいのですが、これ以上でもこれ以下でも無い手数での仕事ということに何かを感じているのです。