展覧会案内・感想

2014年06月21日

 新発見、再発見の竹喬
新発見、再発見の竹喬展 チラシ表

新発見、再発見の竹喬展 チラシ表
 笠岡市立竹喬美術館で「新発見、再発見の竹喬 蘇(よみがえ)った作品との対話」が開催されています。2014年5月31日(土)〜7月21日(月・祝)開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで 休館日:毎週月曜日(※7月21日開館)

 描き上げた絵がその後どのように扱われていくのか?。絵を趣味にしている人、また画家と呼ばれている人、それぞれではあるにしても、描いた本人が全て把握できるような場合は、ごく限られたことでしょう。もちろん本人が死んでしまえば、管理も何も、その後のことは生きている人に委ねるしかありません。

 竹喬さんが生前描かれた絵の枚数、そして竹喬さん自身の手を離れた枚数。離れたあと、何らかの事故などで失われてしまったものもあるかも分かりません。

 今回の展覧会、描かれたことはわかってはいても、所在が明らかでなかったものや、新しく発見された作品が集められた展覧会なのだそうです。どちらにしても大切にされた存在、大切に伝えていきたい存在だからこそこうして集まってくるのでしょう。

 画家本人が古い自分の作品と向き合った時の気持ち。はたしてどうであったか。ある時は不本意で描き直しを行い新しい絵として返したなんて話も聞いたことがあります。また、どうしても手元に置きたくなるものもあったかもわかりません。

 描かれた時の姿形ではないものもあります。

 今回、私はススキを描いた屏風「秋草図」に目に停まりました。本来は、おそらくこうした形では無かったのでしょう。不自然なつなぎの部分が絵の中にありました。それを誰かが屏風に仕立てたのです。もしかしたら、書棚の扉などに描かれていたものかも分かりません。

 注目したのは、金泥のススキです。このように金泥を発色させるような筆法、筆の動かし方に日本的な何か、用具・用材に関する特別な意識があるように思うのです。話がわからない・・・・方はご自身で同じように真似て描いてみれば良いかもわかりません。なかなかこのようには描けないのです。比較には、ちょうど会期が重なっている華鴒大塚美術館美術館の「筆さばき」展で展示されている金泥で書かれた書が良いかもわかりません。明らかに動かす筆の速度が違うのです。

 おそらく同じスケッチから描かれたと思われる二点の竹の絵も並んでいます。このよく似た二点の違いは何か?そんなことも考えてみると、また違った面白さも湧いてくるでしょう。

 用具、用材、発色には筆法が大きな影響を及ぼします。竹喬の画風の変遷のなかで、変わらず何を大切にしてきたか。材料の使い方の中に何かを見つけることが出来るように思います。それこそが日本画が日本画であることの秘密、そんな風に思うのです。