展覧会案内・感想

2014年07月17日

 巨匠の眼 川端康成と東山魁夷
巨匠の眼 川端康成と東山魁夷 チラシ表

巨匠の眼 川端康成と東山魁夷 チラシ表
 岡山県立美術館で<巨匠の眼 川端康成と東山魁夷」展>が行われています。2014年7月16日(水)〜8月24日(日)開館時間 9:00〜17:00 7月25日(金曜)、8月22日(金)は午後7時まで開館 入館は閉館30分前まで 休館日 7月22日(火)、28日(月)、8月4日(月)、11日(月)、18日(月)

 東山魁夷といえば、唐招提寺障壁画制作第二期、その一連の展覧会が思い出されます。とにかく人気作家、一世を風靡するとはこういうことなのかと思われるほど、当時、頻繁な発表、メディアへの登場があったように思います。この日本という国、国民が持っている詩情といったものを表現する作家といったイメージ、文脈で語られていました。ちょうど私が画学生であった頃の話です。

 1981年夏に行われた東京国立近代美術館・東山魁夷展の図録が手元にあります。今回の展覧会を見て帰り、本当に久々に開いてみました。何度も見た絵、記憶が蘇ります。
 今回の岡山県立美術館では、大きい作品もあれば小さな作品もありましたが、昔の記憶通り、イメージを裏切られることはありませんでした。ある意味での「個人」・「普通の生活」を感じさせる、小さな作品が並んでいることもあって、より身近に感じられたようにも思いました。

 オリエントの遺物、銀化の進んだガラスなどもありました。絵画だけにとどまらずとにかく多様な作品が並びます。そんな中、安田靫彦による川端康成全集の装丁画が目にとまりました。イチゴ2つ、アザミの花一輪・・・・ほんのワンカット。筆数で言えばごくわずかのそれらですが、時間をためること、筆という道具の機能、用法を知った筆意を感じるそれらに惹かれたのです。小林古径の何気ない小品が軸装されて並びます。日本画を学ぶということ、「筆」という道具、長い年月に渡って使われてきた絵の具がどのような存在、どんな価値観によってこの国の文化とか変わってきたのか・・・・・。日本画を学んでいるひとりとして、この何気なさの中にその広がりを感じたのです。書、仏画もありました。それぞれの表具のこだわりも眼に入ってきます。そんな部分も楽しませてもらえる展覧会です。

 川端のコレクション、有名な国宝・浦上玉堂作「凍雲篩雪図」の展示は、7月29日〜8月10日までの期間限定展示です。こちらは展示期間を確かめて行かないとお目当ての作品を見逃してしまいます。お間違いなく。


 川端康成さんの恋文が新たに発見され、この展覧会で初公開という話題もありました。通常の作家企画展ではない所蔵品の展示によりその個人に迫ろうというアプローチ。モノを創る人、そしてコレクター、「眼の人」という存在、今後こうしたアプローチも多くなっていくに違いありません。何故なら作り手だけでは作品は生き続けないから・・・・それらは、大切にされ愛されることで長い命を得るのです。
 
 美術館二階の「岡山の美術展」展示では、林皓幹の作品が数多く並んでいました。