展覧会案内・感想

2014年08月25日

 光琳を慕う 中村芳中展
光琳を慕う 中村芳中展チラシ表

光琳を慕う 中村芳中展チラシ表
 岡山県立美術館で<光琳を慕う 中村芳中展>が行われます。2014年9月26日(金)〜11月3日(月・祝)開館時間 9:00〜17:00 9月26日(金曜)、10月24日(金)は午後7時まで開館 入館は閉館30分前まで 休館日 9月29日(月)、10月6日(月)、14日(火)、20日(月)、27日(月)

 千葉市美術館を皮切りに京都の細見美術館での展覧会を経て巡回最後の予定地、とうとうこの岡山での開催です。

 琳派とははたしてどんなグループ・流派なのか?、尾形光琳の「琳」の字を使ってのこの呼称が意味する対象とは・・・・。俵屋宗達を始祖とするという説明がされる中、時に光悦・宗達派なんて呼ばれたこともあると聞いたことがあります。その後いつしか光琳の名前が全面に出て、琳派となり、今に至るわけです。有名な話に琳派と呼ばれる画家の多くが宗達の描いた「風神・雷神」を、それぞれ真似て描いているということがあります。2008年に尾形光琳生誕350周年記念として東京国立博物館で行われた「大琳派展」では、宗達>光琳>酒井抱一>鈴木其一が描いた風神雷神が一同に並びました。

 2008年に華鴒大塚美術館で開かれた”花鳥画を考える”という講演会・シンポジウムで、「現代日本画家が挑む花鳥画」と題してお話させていただいたおり、この風神・雷神に描かれたそれぞれの髪の描線に着目して考えることで、運筆、価値観の継承についてを私なりにまとめる事が出来ました。その後、光琳の紅白梅図屏風を実際に描いて再現させていただいたおりに一番気を使った、勘所となったのは、このおりに考え、確認したことであったことは言うまでもありません。

 尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」、原寸大で時間軸を大切にする形で模写を行わせていただいた経験は、日本美術における「たらし込み」についての考え方、価値観、「琳派」に対しての私なりのより具体的な理解へとつながり、このおり作成した屏風は、「倣光琳筆意」として屏風とすることが出来ました。光琳に倣った・・・・プライベートでは、名づけて「倣光琳屏風」です。

 今回の展覧会、<光琳を慕う>がキーワード。なんと中村芳中は、時代的にあの酒井抱一とオーバーラップ、同時代の絵描きなのだそうです。特徴的なたらし込み技法、「ほのぼの」と評されるその作風の中に果たして何を見ることが出来るのか?ある意味でより根本的な琳派の何かに触れることが出来る展覧会なのかも分かりません。
 
※10月4日追記
 展覧会オープニング、そしてワークショップ打ち合わせなどもあり、なんどか会場に足を運びました。とにかく大量!作品数があります。また、尾形光琳の作品もそれなりの数出品されており、企画タイトルとの関連性も展示により表現されているようです。

 会場に入ってすぐの尾形光琳作「四季草花図」。展示ケースが小さいこともあり、じっくりと見ることが出来ます。画面下方をよ〜く見ると金泥が紙の凹凸、凹みに沿って静かに入っているところや、上部には薄い具引きがあるようなこともわかりました。これも収穫。

 渡辺始興の「白象図屏風」も見ることが出来ました。この作品、京都、養源院の宗達作を意識していることは明らかでしょう。宗達との明らかな違いは、実際の象を見たであろう描写・表現の違いです。

 「たらし込み表現を用いる意味」毛筆という道具がこの国の文化の中で果たした意味はとても大きいと思われます。線を書く、安定な記録のための筆法がその「用」のエッセンス拡張する形で生み出した水との関係。宗達の時には光悦が側にいたことも大きいでしょう。また光琳は書にも長けていました。抱一はお殿様。そしてこの芳中は、あるいみでその本質、「時間を溜める」その作業のみに注目した筆運び。

 「足るを知る」

 個人の際限のない拡大を望むような近代の美術とは違った選択のあり方、日本の美術の一つの考え方、そんなことを思う展覧会でした。




 10月11日(土)ワークショップ「琳派独特の技法<たらし込み>に挑戦」
 13時半〜15時 講師としてお手伝いいたします。
  ※申し込み等は、岡山県立美術館のホームページを御覧ください

※ありがたいことに私が描いた再現紅白梅図屏風も同時開催される岡山の美術のコーナーで関連資料とともに展示くださるとのことです。以下、関連イベントが行われます。

 10月12日(日)「黒い水流の謎 光琳「紅白梅図屏風」の描法を再現する」
 14時〜15時半 馬場秀雄先生、棚橋映水先生とご一緒してお話する予定です。