展覧会案内・感想

2015年03月28日

 竹内栖鳳の系譜
竹内栖鳳の系譜 チラシ表

竹内栖鳳の系譜 チラシ表
 笠岡市立竹喬美術館で「竹内栖鳳の系譜」が開催されています。2015年3月21日(土・祝)〜5月17日(日)開館時間 9:30〜17:00 入館は16時30分まで 休館日:毎週月曜日

 姫路市立美術館での「竹内栖鳳」展(3月29日まで)に続いての展覧会見学。岡山で日本画を学んでいる仲間たちと訪れました。
 師匠の栖鳳の描法については先日見たばかり、今回の目的は、そのおりの分析を基本として栖鳳門下の描画技術をじっくりと見て学ぶことでした。

 手がかりとなる、「1.線描き>2.地塗り>3.下塗り>4.背景>5.描き込み>6.調整>7.上塗り・仕上げ」という古典的な作画のプロセス。加えて、具絵の具、染料、土、天然の岩絵の具、それぞれの比重、水の中での挙動の違い。そして筆の使い方、運び方が生み出す発色の違い、エッジの違い。

 普段使っている材料は、基本的に同じもの。描き方・プロセスもほぼ同じ。違うのは、自分の体、手のコントロール、技術。違いが明らかであるからこそ見えてくること、理解に繋がることもあるのです。

 材料の理解、技法の理解。漠然とした絵画に対する価値観に、たとえ部分的であったとしても具体的な助けとなる言葉を持つことによって理解は進むのです。

「この地塗りは、黄土ベースですね」
「白緑・胡粉の下塗りがわかります」
「天然緑青もしくは群青を焼いて作った絵の具に見えます」
「金泥を使っていますね」
「滑らかでスピード感のある線ですが、実際には筆をゆっくりと運んでいます」
「この筆は渇筆」

 出てくる言葉は、全て見学会参加者ご本人達の具体的理解の結果なのです。

 元はといえば、このチラシ画像の絵の構成。構図についての質問から始まりました。何故、手桶が傾いて置かれているのか?散らされている竹の葉の意味とは?手桶にたまった水の表現、そして二羽の雀。
 傾いた手桶に貯まる水は雨水。その雨水は水準器宜しくあるべき水平を現すことでこの手桶が法面に置かれたこと、それも竹林の中であることが現されているのです。もちろん一番は、<竹に雀>というお決まりの縁起モノ。手桶の古び方、時の過ぎ行く有りさま。水の淀みはたまり水。ストーリーを感じさせるのです。

 円山応挙の写生を基本とした作画、そして呉春による四条派の完成。明治になっての円山四条派と言えば竹内栖鳳。京都、関西以西に流れる写生画の系譜。四条派の系譜、幸野楳嶺に学んだ川合玉堂は、のちに東京へと赴き、橋本雅邦門下となりました。その弟子の児玉希望。華鴒大塚美術館の「一鷺栄華」の模写を行ったことにもつながるのです。

 型としての流派とは言え、だからこそ具体的に個人と伝統をつなぐことが出来るのです。何が違って、何が違わないのか?、このような企画の展覧会に並ぶそれぞれの絵をじっくり眺めて比較してみることで、「伝統」といった言葉に何かしらの意味を見つけることが出来るのかもわからないと思うのです。