展覧会案内・感想

2015年07月26日

 画鬼暁齋 
画鬼暁齋 展 パンフレット表

画鬼暁齋 展 パンフレット表
 東京に出た事もあって、気になっていた展覧会を見てきました。東京駅から程近い三菱一号館美術館での「画鬼暁齋」展です。2015年6月27日(土)〜9月6日(日)まで、開館時間は10:00〜18:00 月曜休館 後期展は、8月4日〜

 何かのおりに、昔、外国人が日本人に日本画を習い、入門書を書いたという話を聞き、とても興味を持ったことが有りました。その後それが、ジョサイア・コンドル著/山口静一訳の「河鍋暁斎」であることを知り、外国の方がどのように日本画について言語化するのか知りたいと、すぐに求めようとしたのですが、その当時は、この本を手に入れることができませんでした。今年の初めの頃、他の調べ物をしているうちに、この本がamazonで在庫になっているのを見つけたのです。もちろん購入したのは言うまでもありません。

 展示を拝見していて「筆技」という言葉がまず頭に浮かびました。太く細く、勢い良く、またゆったりと。縦横無尽とはまさにこの姿でしょうか。絵を描いて生きていくということは、社会に何らかのわかりやすい価値観の提示ということが求められる様に思います。工芸の作家がまず認められるためには、超絶技法を見せるのもひとつのやり方と聞いたことが有りますが、まさにそれを地で行く姿です。

 師匠の描くお手本通り、再現、描くことが出来るかどうか?。「倣う」という習熟方法。お手本を見て描いているからか、コンドルの描く鯉の頭、エラあたりの表現、ちょっと不自然に見えるのは私だけでしょうか。材料の使いこなし、描く作業は、大したものなのですが・・。一方でコンドルが建築関係というのは腑に落ちるところがあります。古典的な日本画がもつ作画プロセスは、建築、今で言えばCG表現にも通じるところがあるからです。

 描く体毛、髪の毛の細さ、その描写、全体のまとまり。普通の人がとても出来そうに無いということ、絶対の力を絵で見せることが出来るかどうか?。時代が変わろうともプロフェッショナル暁齋はそれを見せ続けることが出来たからこそ、変化の時代に継続して人気作家でいることが出来たように思うのです。

 じっくりと時間をかけた描き込みの世界。出来る限り描く!ということの大切さをあらためて感じる展覧会でした。