展覧会案内・感想

2015年11月11日

 自然と語らう 猪原大華展
自然と語らう 猪原大華展 チラシ表

自然と語らう 猪原大華展 チラシ表
 井原市にある華鴒大塚美術館で「自然と語らう 猪原大華展」が開かれています。平成27年10月24日(土)〜11月29日(日)月曜日休館 ※祝日の場合はその翌日 午前9時〜午後5時 ただし入館は4時30分まで

 猪原大華は、明治30(1897)年に現在の広島県福山市神辺町に生まれ、そして1980年に亡くなった(展覧会カタログより)のだそうです。先日紹介した倉敷市立美術館で行われている池田遙邨展、遙邨さんが1895年生まれですから、まさしく同世代、同じ社会環境で絵を描かれてきたことがわかります。お二方共に京都市立絵画専門学校卒・京都を中心に活躍されました。

 私は、猪原大華という画家を東京で暮らしていた頃は意識したことがありませんでした。約20年前に再びここ岡山での暮らしを始めて、華鴒大塚美術館で絵を拝見するようになり気に留めるようになったのです。小品を見ることはあっても、今回のように大作をこれだけまとめて拝見したのは初めてのことです。

 正直、一同に並んだ大作群に認識を新たにしました。新しい日本画の創成と呼ばれた流れの中に大きく位置する、存在感を示す作家だったように思うです。

 以前、徳島県立近代美術館で開かれた「京都画壇に咲いた夢 幸田春耕、暁治父子と京都・徳島の日本画家たち」という展覧会を思い出しました。父春耕が1897年生まれ、まさしく同じ年です。このおり、展覧会自体は拝見できなかったのですが、図録を送っていただき、いろいろな意味でよく知らなかった、同じ頃各地で生まれ、そして京都で活動された方々の刺激的な制作に感銘を受けたのです。当時の京都には新しい日本画を創りだすいろいろな才能、人を集める魅力、エネルギーがあったことを遅ればせながら知ったのです。

 こうした活発な動きがあったことを、私は何故知ることが出来なかったのか・・・・

 私が東京に出て日本画を学び始めたのが1977年頃、それ以後、京都の画家・竹内栖鳳や、国画創作協会の創立会員の方々の展覧会は頻繁にありました。加えて当時活躍されていた方々の個展等も確かに見に行ったのです。しかしそれより少し前、私が岡山で暮らしていた頃にちょうど活躍をされた、刺激的な発表を行っていた方々の作品は、ある意味時代的に近すぎて?知った方々には既知のことであり、同時に東京では異なった流れ(のちのちこのあたり、意識せざる負えなくなるのですが・・・・)であったためか、回顧されることが無かったように思うのです(当時わたしの興味・関心がそこに無かっただけだったのかもわかりませんが・・・)

 逆に、その方々の作品にインスパイアーされ、制作されたと思われる作品は、見ていたのです・・・。

 それから30年以上過ぎた今、わかりやすさは無いかもわかりませんが、そのオリジナルを描いた方々、苦闘の末に何かしらを見つけ出した方々に冷静に目を向ける、もしくは光の当たる時が来たのかもわかりません。

 小野竹喬に続いた池田遙邨、加えて岡山では稲葉春生、先の徳島出身の幸田父子、それぞれ創りあげたり、所属したり、絵画集団に交友を見て取ることが出来ます。

 時代は、日本画の黎明期から発展期へ、より個性が問われる近代と呼ばれるような時代に大華はいかに自身の制作を深めたか。淡々と追求する作品群。決して古びることのない、生き生きとした取り組みと出会えたように思います。オススメの展覧会です。
 
 「自分と自然のあいだを、行きつ戻りつする時間が長ければ長いほど、いい作品が出来る」(猪原大華の言葉より)