展覧会案内・感想

2016年05月20日

 特別展 我が名は鶴亭
特別展 我が名は鶴亭 チラシ表

特別展 我が名は鶴亭 チラシ表
兵庫県、神戸市立博物館で開催中(5月29日まで)の「特別展 我が名は鶴亭」に駆け足で行ってきました。神戸市立博物館がFacebookに発信している情報、画像が気になっていたのです。どうにか時間を作って神戸往復、その感想など。

「若冲、大雅も憧れた花鳥画!?」という煽り文句も気になっていました。また紹介の画像、ディスプレイ画面でのそれは、なかなかの雰囲気を持っているように見えます。東京都美術館での若冲展が入館に4時間待ちなんて情報を聞いていたこともあって、この鶴亭展、初の回顧展であることに加えて、後期には若冲作品も展示とあってはさぞ混んでいるのではないか・・・・・そんな不安も抱きつつの訪問でしたが、それなりに人は入っていましたが、ゆっくりじっくり観ることが出来ました。まだ知る人ぞ知るといった画家なのでしょう。

 さて、神戸市立博物館、立派な構えの施設です。エントランスに飾られた群鶴図屏風、そしていったん3階にエレベータで上がり、順に3階、2階と展示場を降りてくる構成です。かなりの数、作品が並んでいました。繊細に描かれた数々の鳥の姿、自然といえば自然な描写ではあるのですが、コンピュターのディスプレイで見ていたほどの存在感は感じませんでした。けなしているわけではなく、絵画的な柔らかさを持っていることは確かです。印刷物になったり、電子的な画像になった折により活き活きとしてくるといいますか、コントラストの強調によって現代人に見やすくなる・・・そんなことを思ったのです。
 このことは販売されているカタログにも言え、デザイン的な見せるセンス(トリミング、組み合わせるアクセントのカラー)によって、より人をひきつけることを可能にしているように見えます。会場展示においても同様の要素をみることが出来ました。

 ナカナカ凝った展覧会カタログです。ビジュアルな工夫が至る所にあり、デザイン・編集に関わられた方々のすばらしいお仕事を感じました。綺麗です。

 京都国立博物館所蔵の若冲作、水墨・群鶏図障壁画、全9面の襖絵は圧巻です。自分の見たいところの前に立ち、見たいだけ見ていられる・・・・。鶏の顔、描き込み、墨の乗せ方、筆を動かす時間感覚、墨の発色具合、墨着きをじっくり観ることが出来ました。予想外の収穫でした。菊、牡丹などの葉にみられる葉脈の描線、筆の運び、比較にと並べられている竹も、それぞれの運筆に関する時間感覚を見る上で参考になりました。

 あくまで個人的な感想ですが、「画もうまい!」と紹介されている佚山の作品、筆を当てる感覚という意味で若冲に近いのはこちらかも・・・そんなことを思いました。