展覧会案内・感想

2016年09月16日

 池田遥邨の世界 コレクション展
池田遥邨の世界 コレクション展 チラシ表

池田遥邨の世界 コレクション展 チラシ表
 倉敷市立美術館で「池田遥邨の世界 コレクション展」が行われています。2016年9月10日(土)〜10月16日(日)開館時間 9:00〜17:15 入場は16時45分まで 休館日毎週月曜日(9月19日(月)、10月10日(月)は開館・・9月20日(火)、10月11日(火)は休館)

 岡山県出身の日本画家・池田遥邨さん、代表作の多くがここ倉敷市立美術館に収蔵されています。活発な企画展の開催は、ともすると常設として見せられる作品が限られてしまうことにも繋がります。いつ見に行けばお目当てを見ることが出来るのか、会場スペースの都合もあります。全てとは言いませんが、今展覧会は、池田遥邨さんの作品、ずらっと代表作を並べて答えてくれる展覧会となっています。

 洋画を描いていた頃、そして日本画を本格的に学んだ1919年の「南郷の春」、具象絵画を大きく外れることはありませんでしたが、描画スタイルの変遷も見て取れる展覧会です。

 関東大震災に創を得た大正期の作品、また波切村を描いた「台風来」など、暗い画面の中、深い情感の現れを感じることが出来るように思いました。

 気になるのは絵の具の扱い、描画について。巧い方だということは現在の画面の様子を見るだけでも伝わってきます。ストレートな構図作り、基本を踏まえた塗り重ね、学べることがたくさんあります。ベタベタと厚塗りをしたように見えて、その実、計画的な塗り重ねは、強固な画面づくりという意味でも基本に忠実なようです。

 伝統と呼ぶ要素をどのように定義する事ができるのか?。
 また、それをどのように自作に活かすことが出来るのか?。

 古典と呼ばれる存在との関係の結び方。

興味深く拝見することが出来ました。

同時開催で、岡本唐貴展、所蔵油絵名品展が行われています。岡本唐貴さんの息子さん、そこそこの年令の方々なら知る人ぞ知る方です。その方の基にあった作品も多数出品されて、日本のある時代のエネルギー、ビジュアルな表現の果たした意味など再び考えることに繋がりました。

この他の展覧会感想
森陶岳の全貌展(瀬戸内市立美術館)、岡本唐貴展(倉敷市立美術館)