展覧会案内・感想

2016年11月15日

 鈴木其一 江戸琳派の旗手
鈴木其一 江戸琳派の旗手 姫路市立美術館チラシ表

鈴木其一 江戸琳派の旗手 姫路市立美術館チラシ表
 兵庫県の姫路市立美術館で<鈴木其一 江戸琳派の旗手展>が行われています。2016年11月12日(土)〜12月25日(日)まで。開館時間 10:00〜17:00 入館は閉館30分前まで 休館日 月曜日 <<東京・サントリー美術館での開催につづいての展覧です。<このあと(2017年1月)、京都・細見美術館で開催予定>

 あの!「朝顔図屏風」は、姫路市立美術館には並ばない。フライヤーの群鶴図屏風は、ファインバーグコレクションで数年前(2013年)に鳥取県立博物館で見たもののようです。すでに知っていたこととは言え、少々寂しい気持で向かいました。

 月に一度の姫路通い、姫路市立生涯学習大学校で日本画の講座を担当するようになって3年目。コース自体は2年で一区切り、基本的な材料、道具の扱い、古典的な描法を伝えることを一番の目的としています。美術館での鑑賞ももちろんこの講座の一部です。今年から講座をスタートした生徒さんたちも受講半年が過ぎ、絵の具などの材料に実際に触れ、描法の一部を実際に行ったことも有り、作品を見つめる目が変わったと会場で口々に感想を伝えてくれます。

 質問も「あの描き方は、どうやって?」とか、「あの絵の具は何?」とか。加えて「アレは片暈し?」「着物の模様は盛り上げて金泥?」とか、結構具体的です。実物に触れて学ぶ体験によって「自分自身に手繰り寄せる言葉」を得たことがわかります。

 講座で使用する絵の具は、ほとんどこの展覧会で目にするものと同じ(緑青はともかく、残念ながら細かく深い色の天然岩絵具紺青なんてのは使えませんが・・・)、また使い方、表現の仕方、制作のプロセスもほぼ同じなのですから、違うのは自分の腕!だけ。自分に何が足りないかが具体的に自覚出来るということも学ぶ上で大きい意味をもっているに違いありません。

 図録に収録されている屏風作品を見るにつけ、少々寂しい印象の展示と言わざる負えない今回の姫路会場訪問でしたが、いえいえどうして、混雑していない館内、気になった作品とじっくり向き合えるという意味では、これはこれであり!の展覧会となっていたように思います。明るさ、展示の具合といい、かなり画表面の様子も見ることが出来ました。

 身近なサイズ、身近なモチーフの表現が多いとはいえ、それぞれ描き出す筆に入った神経の細やかさは特別です。最近の展覧会の常、立派な図録も作られていました。日本画を学ぶ一つの手がかりに、短冊制作なども面白いかもわかりません。