展覧会案内・感想

2016年12月08日

 香月泰男展
香月泰男展 チラシ表

香月泰男展 チラシ表
瀬戸内市立美術館で「香月泰男展」が開かれています。2016年10月29日(土)〜12月18日(日)まで。開館9:00〜17:00 入館は16:30まで 休館 月曜日

 香月泰男、私が画学生の頃、良く聞いた名前です。当時、戦争の記憶とともに語られることも多かった様に記憶しています。シンプルで印象的な画風、代表的な作品で特徴的に使われている絵の具はカーボンブラックと方解末。なんと、日本画(と、呼ばれる絵画)で使われている絵の具と同じです。

 香月の絵を見る時、何画なんてカテゴライズすることはどうでも良いと今更ながらに思います。土、イエローオーカー、黄土、墨、ザラッとした質感、日本画を定義しようとする時、それが絵の具の違いだなんてことでは片付かないことを改めて思うのです。

 日本人の絵画、こう言えば今度は日本人とは?なんて話になりかねません。

 それほど「日本画」というのは、定義が難しい。いっそ「日本画なんて無い」としたほうがスッキリします。

 日本画がすでに存在すると思えばこそ、この悩みにとらわれるのかもわかりません。「無い」からこそ、「日本画」に意味を与える行為、新たにそれぞれが生み出す絵画だと思えば、まぎれもなく私は香月泰男の絵もまさに日本画だと思うのです。香月自身がそれを望むかどうかは別として。

 大きな作品といっても今時のそれに比べれば、はるかに小さなもの、より小さな身近な大きさの作品が並びます。浮き上がるシルエット、絵の持つ肌合い、言葉を必要としない何かしらを感じる絵。

 現代表現・平面と呼ばれる存在との違いを考える意味でも興味深い展覧会となっていると思いました。もちろん、現在の日本画と呼ばれている存在との比較においても。