展覧会案内・感想

2017年06月10日

 一木一草一花 美といのちの輝き
一木一草一花 美といのちの輝き 展チラシ表

一木一草一花 美といのちの輝き 展チラシ表
 井原市にある華鴒大塚美術館で「一木一草一花 美といのちの輝き」展が開かれています。平成29年4月21日(金)〜6月11日(日)月曜日休館 午前9時〜午後5時 ただし入館は4時30分まで

 この展覧会を見に行き、感想・紹介を書こうと思いつつもいつの間にか時が過ぎ、明日が最終日となってしまいました。館蔵品を中心にした展示です。見たことがあると記憶に残る作品が並びます。

 ちょうど笠岡市立竹喬美術館での「土田麦僊塾の画家たち 山南宿回顧 開館35周年記念」展もこの11日、明日が最終日、笠岡、井原と美術館を回る休日というのはいかがでしょう。もう一つ加えて井原市立田中美術館での「竹工芸の人間国宝 勝城蒼鳳展」(6月18日まで)も開催中です。


 指先の感覚、筆を通して絵具を画面に置いていく当たり前の作業。「絵肌」といったものを注目してみるとまた違った何かが見えてくるように思います。時に勢いといったものを見せつつも、あまりにスムーズにそして静かに見える表面それは、人間の手業によるものであることを忘れさせ、当たり前のように作品世界に招き入れてくれます。もちろん世の中、歴史の中には、作業こそがエネルギーの見せ所と行った作品が多くあります。しかし一方で、目に見える時間と、込められた時間の違いを見とる評価軸といったこともこの国の絵画の中にはあったように思うのです。それらがどのようにして画家に培われ、伝承されてきたのか。表現・絵画表面上の自由さの中にこの国の歴史的価値観を担保してきた存在として絵具の扱い、筆との交歓、素材選びが画塾での親交、学びの中で伝承されてきていたのではないかと思うのです。
 もちろん、思索の面でもそういったことは認められたことでしょう。それぞれの画塾の持つ空気は、一人の人間、キャラクターを超えた共通する何かを醸し出しているのかもわかりません。それは情報共有といったものが殊更強調される今にあっても、東と西、暮らす地域、学ぶ場所、光、使う水や出会う人々なんてものも解る人だけわかる何かしらが存在するのかと思うのです。

※  土田麦僊塾の画家たち 山南宿回顧 開館35周年記念
 笠岡市立竹喬美術館 2017年4月14日(金)〜6月11日(日)